とはいえ、婚姻率はゆるやかに減少している。(「婚姻件数と婚姻率」の表を参照)

婚姻件数と婚姻率(厚生労働省の資料を参考に筆者作成)

結婚の意志がある未婚者に、「1年以内に結婚するとしたら何か障害になることがあるか」とたずねたところ、男性女性ともに「結婚資金」をあげた人がもっとも多かった。(男性43.3%、女性41.9%)
また女性においては「職業や仕事上の問題」も増加傾向にあり、仕事と結婚の両立を悩む女性が多いことがうかがえる。

女性は妊娠・出産をすることから、「結婚」を考える機会が多いといえる。その「結婚へのイメージ」は、「結婚する/しない」を決めるときに影響を与えているのだろうか。

未婚女性と有配偶女性の考え方の違い

未婚女性と有配偶女性の結婚や家族に関する考え方を比較すると、未婚女性の方が伝統的な考えをもっていることが分かっている。(「配偶関係別、伝統的な考えを支持する回答の割合(%)」の表を参照)

配偶関係別、伝統的な考えを支持する回答の割合(%)(国立社会保障・人口問題研究所の資料を参考に筆者作成)

もっともポイント差が大きい項目は「母親は家に」に賛成している割合だ。未婚女性は73%、有配偶女性は60.2%と約13%ポイント差もある。また「婚前交渉かまわない」に反対している割合は、未婚女性は14.8%、有配偶女性は6.1%と約9%ポイント差だ。

この他にも、「子どもは持つべき」に賛成、「離婚避けるべき」に賛成、「男は仕事より家族」に反対、「夫は仕事、妻は家」に賛成なども、約3%ポイントほど未婚女性の方が高い。

「伝統的な考え」とは、「結婚したら、男性が稼いで女性は家を守る」といった、結婚を機に生活が大きく変わる場合を想定しているということだろうか。女性の社会進出が進む現代では、この考え方でいると「結婚」は女性にとって大きな犠牲をともなうものとなってしまう。

…と、思いきや、「結婚に犠牲当然」に賛成している割合は、未婚女性が47.2%。有配偶女性が53.9%と有配偶女性の方が高い。未婚女性の中には、「結婚したら、男性が稼いで女性は家を守る」というライフスタイルが、女性にとって「犠牲」ではないと捉えている人が多いのかもしれない。

おわりに

上述の調査で、「生涯独身よくない」に賛成している割合は、未婚女性が58.2%、有配偶女性が52.5%と未婚女性の方が高い結果というのも印象的であった。

生涯未婚率は増加傾向にあるが、それでも「生涯独身よくない」と思う女性は半数以上いることと、実際に独身の人がそう思っている割合が高いというのは、「未婚」にネガティブなイメージがある人が多いのかもしれない。

「結婚」に「夢」を抱いていなくても、何となく精神的・経済的な安心感が得られる気がする…。しかし実際は、「結婚」により不安や悩みを抱えることも多いのだが…。

男性も女性も、「結婚」について1度は考えたことがあるだろう。今回は女性に絞って、その考え方を未婚/既婚で比較したが、未婚女性の方が伝統的な考えをもっていることが分かった。それが「結婚」のハードルを上げている原因の1つなのかもしれない。

【参考】
「第15回出生動向基本調査結果の概要」国立社会保障・人口問題研究所
「人口動態統計」厚生労働省

尾藤 ちよ子