非上場会社として家族的な経営を行ってきた吉本興業。闇営業や反社会勢力との金銭授受疑惑から岡本昭彦社長の記者会見に至る一連の流れの中で、図らずも同社の家族経営の限界が見えることになりました。

大阪万博にも関与するなど事業意欲旺盛な吉本ですが、同社は2010年に上場廃止したことで近代的なエンタメビジネスの企業に脱皮する芽を自ら摘んでしまったのかもしれません。

記者会見で明るみに出た負の側面

反社会的勢力からの金銭授受疑惑で契約解除となった宮迫博之、そして田村亮両名の記者会見。その後の岡本社長の会見を機に、吉本が抱える負の側面が明るみに出ています。

吉本自体は非上場会社です。しかし同社が関連するプロジェクトには官民ファンドであるクールジャパン支援機構から多額の資金が投入され、また大阪万博にも関与しているため、その経営体質には公正取引委員会などからも物言いがつく事態となっています。

2010年にTOBで上場廃止

吉本興業(正式には吉本興業ホールディングス)はかつて上場していました。しかし、2009年9月に元ソニー会長の出井伸之氏が代表を務める投資会社による株式公開買い付け(TOB)を受け入れ、2010年に上場廃止(大阪証券取引所、東京証券取引所)となっています。

日本の芸能史は裏社会との関わり抜きに語ることができないと言われます。吉本が上場していた間も、そうした論点は所属芸人の不祥事などが発生するたびに浮上していました。そして最終的に同社は上場廃止を決断しています。

また、今回の騒動では吉本興業と民放各局との関係にも注目が集まりました。というのも、上場廃止後に各局が同社の株主となり、株式を通じて持ちつ持たれつの関係を構築するに至っているからです。

上場廃止で経営近代化の芽を自ら摘んだ?