2019年5月30日に行われた、八洲電機株式会社2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:八洲電機株式会社 代表取締役会長 兼 社長 太田明夫 氏
八洲電機株式会社 取締役 兼 副社長執行役員 社長室長 白石誠仁 氏

2018年度 経営成績

太田明夫氏:まず経営成績について説明いたします。

2018年度の我が国の経済は緩やかな回復基調にありましたが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動などの影響で、不透明な状況が続いていました。

このような状況のなか、当社では「ソリューション・エンジニアリング力の強化」「ビジネスチャンスの拡大」「グループ会社の収益力強化と事業規模(領域)の拡大」などを重点施策として取り組んできました。

その結果、2018年度はプラント事業での大型工事案件の延伸により、売上高は5パーセント減の698億2,000万円となりましたが、利益面では、営業利益が17.2パーセント増の23億4,000万円で、経常利益が16.2パーセント増の25億2,000万円でした。当期純利益は固定資産の売却による特別利益を含んで、16.5パーセント増の18億3,000万円と増益となり、上場以来最高益となりました。

業績推移

スライドは2009年度からの業績の推移です。先ほど述べましたように利益面については、(2009年6月の)上場以来最高益となっております。

主な要因は、従来は製品の販売を中心に行ってきた当社が、最近ではエンジニアリング会社として、設計・施工などを行うことに注力したことと、時代の変化に対応してきた成果だと思っております。

2019年度 重点施策①

2019年度の重点施策について説明いたします。2018年度は第14次中期経営計画の最終年度として、付加価値の高いビジネスを展開するとともに、目標値を達成するという基本方針のもと、2018年度に引き続き、6つの重点施策に取り組んでまいります。

2019年度 重点施策②

スライド「重点施策」の1番から3番までを簡単に説明しますと、1番目の「ソリューション・エンジニアリング力の強化」では、ユーザーの抱える問題や課題を解決するエンジニアリング力をさらに強化し、お客さまに貢献してまいります。

具体的には、2018年度はとくに鉄鋼業界のお客さまに注力します。みなさまも新聞等によってご存知可と思いますが、(鉄鋼業界は)高炉のトラブルなど、いろいろな問題を抱えています。

鉄鋼業界においては、自動車を中心に2019年度以降も堅調な内需に応えるため、設備トラブルをなくして安全対策をさらに強化し、老朽化更新を計画的に進めていくこととしております。これに関する予算も多く確保しています。

お客さまの技術員不足などの課題を当社の技術力で解消し、最適なソリューションを提供することにより、ビジネスの拡大を実現していきたいと思っております。

2019年度 重点施策③

2番目の「ビジネスチャンスの拡大」では、製品販売力をさらに強化して、受注高ならびに売上高を増やします。また、トップセールスによるパートナー企業との取引や、新規分野への事業領域の拡大を目指します。

具体的には、本社ビルを建設していただいたスーパーゼネコンとタッグを組み、事業を展開します。東京オリンピック・パラリンピック関連、都市部での再開発やインフラ老朽化対策、継続して盛んなビル建設のニーズに応え、空調衛生設備や電源設備、照明設備などを納めていきます。

加えて、第5世代移動通信システム「5G」やIoT、AIに対応した設備のほか、2025年の大阪万博の開催や、総合的リゾートのIRの建設も予定されておりますので、このあたりもしっかりと対応してまいります。

また、製品販売力を強化するとともに、新しい商材の取り扱いも始めるなど、さらに製品力も強化して事業領域の拡大を目指します。

2019年度 重点施策④

3番目の「グループ会社の収益力強化と事業規模(領域)の拡大」では、今は(グループ全体で)12社でございます。八洲電機の各ビジネスユニットと各グループ会社との連携を強化することで、シナジー効果を発揮して事業領域の拡大を図ります。

2019年度 業績予想

2019年度の業績予想です。売上高は前期比で6パーセントプラスの740億円で、営業利益は2.2パーセントプラスの24億円です。経常利益は3パーセントプラスの26億円で、当期純利益は、2019年度は固定資産の売却がないため17億円と予想しております。

「健康経営優良法⼈2019(ホワイト500)」に認定

当社は現在、健康経営に注力しております。2019年2月に、経済産業省と日本健康会議が共同で選定している「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」に認定されました。

当社はこれまで、従業員と家族の健康保持・増進のため、生活習慣病対策やメンタルヘルスの対策など、各種施策に取り組んできました。今後もこの取り組みをより一層強化するとともに、「働き方改革」や「ダイバーシティマネジメント」と連携しながら、健康経営を推進してまいります。

株価・時価総額推移

20ページは2009年6月の上場以来、半期ごとの期末の株価と時価総額の推移です。

当社はおかげさまで、2019年6月25日で上場してから丸10年となりました。振り返りますと、いろいろなことがありましたが、2011年には東証1部指定となり、2016年の創立70周年には、本社ビルも完成することができました。

これもひとえに、株主さまをはじめとしたみなさまのご支援によるものと、深く感謝申し上げます。引き続き、企業価値向上に全力で注力してまいりますので、みなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

連結貸借対照表

白石誠仁氏:2018年度の決算について説明させていただきます。連結貸借対照表はご覧のとおりです。

スライド表の真ん中あたりが2018年度のものですが、資産合計は587億8,300万円となり、前期末に対し、15億4,800万円減少しました。これは、前期に比べ売上高が減少したことにより、受取手形及び売掛金が14億9,900万円減少したためであります。

また、負債合計も386億9,400万円と、前期末に対し29億600万円減少しております。これは、支払手形及び買掛金が20億2,000万円減少したためであります。

純資産合計は200億8,900万円で、前期末に対し13億5,700万円増加しております。これは、利益剰余金が14億4,500万円増加したためであります。

連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書についてです。スライドの右側が2018年度でございます。営業活動によるキャッシュフローは、残念ながら16億5,500万円のマイナスとなりました。これは主に売上債権の減少額である16億5,100万円がプラス要因となった一方で、仕入債務の減少額が36億4,700万円となったことによるものです。

投資活動によるキャッシュフローは、26億500万円のマイナスとなりました。主な要因としましては、有形固定資産の取得による支出17億2,000万円と、投資有価証券の取得による支出10億4,300万円がマイナス要因となったことであります。

また、財務活動によるキャッシュフローは、8億5,000万円のマイナスとなりました。主な要因としましては、長期借入金の返済による支出7億9,400万円と、配当金の支払額3億9,000万円がマイナス要因となったことです。

その結果、現金同等物期末残高は51億1,100万円減少し、78億9,800万円となりました。

配当⾦

配当につきましては、当社は株主への利益還元と内部留保の充実を総合的に勘案したうえで、収益性、成長性、安定性、企業体質の強化を考慮しつつ、安定的な配当の維持・継続を基本方針としております。

2018年度の配当金につきましては、業績及び財務状態を総合的に勘案し、普通配当を18円から2円増額し、20円といたしました。また、2019年度の配当予想は、同じく20円としております。

2019年度 重点施策

先ほど社長の太田からご説明した項目以外の、2019年度の重点施策について説明いたします。

「ワークスタイル変革」ですが、柔軟な働き方の追求と働きがいのある職場環境のもと、生産性の向上・収益力の強化を実現します。

「コンプライアンス及びCSR活動の推進」では、グループ会社が一体となってコンプライアンスの徹底を図るとともに、企業の社会的責任を果たしてまいります。

「次期中期経営計画への基盤の構築」では、持続的な成長基盤を構築することにより、次期中期経営計画に向けて更なる企業価値の向上を目指してまいります。

なお、次期中期経営計画の初年度は2020年度でございます。

プラント事業/2018年度経営成績

セグメント別の経営成績についてご説明いたします。

プラント事業についてですが、鉄鋼分野では足もとの景気は需給環境を維持しているものの、前期のような大型定期修繕案件などがなく、売上が低調に推移しました。

石油・化学プラント・非鉄分野では、非鉄分野の大型投資が目立ったものの、石油分野において前期集中した大型計画がなく、同じく売上が低調に推移しました。

その結果、プラント事業の売上高は、前期に対し7.1パーセント減の174億700万円となりました。しかし、高付加価値案件の増加と原価低減を行った結果、営業利益では3.1パーセント増の13億4,200万円となりました。

なお、ご参考までに説明いたしますが、2018年度末の受注残は、その前々期に比べ18.8パーセント増の147億4,600万円となっております。

2019年度のプラント事業を取り巻く環境は、稼働を始めてから50年を経過している設備、もしくは老朽化が進んでいる設備が多いことから、それらの更新需要も拡大しております。

また、安全・安心・品質や収益性向上などのニーズも多いため、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

産業・交通事業/2018年度経営成績

産業・交通事業についてです。産業機器分野の設備機械関連ではセットメーカーからの継続注文製品が好調で、かつ都市部を中心とした再開発案件も継続しており、堅調に推移しました。

一般産業分野では、電気・精密、通信会社向け入退室管理システムの老朽化更新が増加し、堅調に推移しました。

空調設備分野では、首都圏を中心とした空調機器の販売や、空調設備工事などが増加し、堅調に推移しました。

交通分野では、鉄道車両関連の電気品や車体改造、鉄道車両工場向けの機械設備リニューアル工事などが増加し、堅調に推移しました。

その結果、産業・交通事業の売上高は、前期に対して2.6パーセント減の447億2,000万円となりました。しかし、プラント事業と同じく、高付加価値案件の増加と原価低減を行った結果、営業利益面では0.6パーセント増の25億9,000万円となりました。

なお、同じくご参考までに説明いたしますと、2018年度末の受注残は、8.5パーセント増の250億200万円となっております。

2019年度の産業・交通事業を取り巻く環境は、5Gに向けたデータセンターの建設や、都市部のインフラ老朽化対策、継続的なインバウンドに対応するための設備投資などの需要が増加しておりますので、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

電⼦デバイス・コンポーネント事業/2018年度経営成績

電子デバイス・コンポーネント事業では、アミューズメント分野でメーカーの構造改革による製品廃止があり、低調に推移しました。

産業機器分野の工作機械関連では好調感が薄れ、設備投資意欲の低下とともに減速しましたが、IoT関連需要を中心に、好調なソフトウェアを含めたシステム基盤の提案に注力した結果、堅調に推移しました。

その結果、電子デバイス・コンポーネント事業の売上高は、前期に対し13.1パーセント減の77億円となりました。しかしながら営業利益はソフト受託開発などの高付加価値案件により、36.5パーセント増の2億5,100万円となりました。

2019年度の電子デバイス・コンポーネント事業は、中国市場の不透明感がありますが、新商材の拡大及びソフト受託開発などの高付加価値案件に取り組んでいくことで、堅調に推移すると見込んでおります。

⼋洲電機グループについて

トピックスを3点を紹介いたします。1点目に、スライドの子会社3社について説明いたします。

1社目は、当社の情報・通信システム事業を会社分割し、八洲情報システム株式会社が4月に営業を開始しました。

この会社では、情報・通信システム機器に関連する電気工事・電気通信工事及びそれらの附帯工事の設計、施工、情報・通信システム機器の販売及び保守、修理、ならびにクラウド・コンピューティング・サービスに関する事業のトータル的なソリューションを提供してまいります。

これまでの当社の情報システム事業は、工場などでのセキュリティシステムが中心でしたが、今後はこの会社において製造現場でIoTやAIを活用したICTソリューションを提供してまいります。

2社目として、九州地区の電力会社に水力発電機器の販売や保守・メンテナンスを行う株式会社西日本パワーシステムを設立しました。2019年4月に営業を開始しております。これまでも水力発電機器の販売等々は、中国地方では行っておりましたが、これを九州地区に拡大するものでございます。

3社目といたしまして、2019年4月1日に、空調及び産業設備機器のサービスならびに関連設備のリニューアル工事など、エンジニアリングに関する事業を展開する、株式会社ヤシマ・エコ・システムの商号を、八洲ファシリティサービス株式会社に変更いたしました。

事業主体であるサービス及びエンジニアリング事業発展に向け、さらなる飛躍を目指してまいります。

エンジニアリングセンター移転

2つ目のトピックスとして、2019年6月3日にエンジニアリングセンターを、3月に取得した港区芝の八洲芝公園ビルに移転します。日暮里にありましたエンジニアリングセンターの部隊を含め、当社のエンジニアリング部門とグループ会社の一部を集約することで、各技術分野の連携ならびに本社各部門との連携を一層強化してまいります。

また、業務環境のさらなる整備を進め、ソリューション・エンジニアリング力の強化に取り組んでまいります。

賃⾦改定

4月16日付けで日経産業新聞に掲載されました賃金改定率ランキングにおいて、当社の実施内容をお知らせいたします。

これは、日本経済新聞社が行っている、上場企業や主要な非上場企業を対象とした賃金動向に関する調査結果です。そのなかで、当社は賃金改定率の10位にランクインいたしました。

当社では、6年連続のベースアップを行っており、2019年度は電機大手各社の水準を超える、1人あたり月額2,000円のベースアップを実施しました。これからも社員を大切にするとともに、さらなる成長に向けた社員の一致協力と一層の奮起を促してまいります。

私からの説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

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