メガネスーパー復活劇、価格破壊で疲弊した事業のV字回復を「ストック思考」で解読

成長し続けるビジネスの仕組みである「ストックビジネス」についてお伝えしていく本シリーズ。今回は不振に陥った物販ビジネスを劇的に復活させた事例を紹介します。

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先日、品川で税理士事務所を20年やっているベテラン税理士さんと会ったとき、こんな話が出ました。

「顧問をやっていた物販のお客さんは全部だめになりました。今はほとんどがストックビジネスのお客様です」

アパートマンション投資の大家さんとのコネクションで拡大してきた有名な先生ですが、それにしてもそこまではっきり言われると驚きます。

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「モノが売れなくなりコト消費へ」と言われてはきましたが、物販業はいよいよ厳しい時代に入っているようです。そこで今回は、売れなくなった物販事業をV字回復させたメガネスーパーの事例から、ストックビジネスのエッセンスを読み解いていきます。

ストック思考で疲弊した事業をV字回復!

皆さんもメガネスーパーの名前はご存知だと思いますが、最盛期には540店舗380億円の規模を誇った業界大手の一角です。しかし、まさに売れなくなる時代がやって来ます。

10年ほど前から「JINS(ジンズ)」や「Zoff(ゾフ)」等のSPA(製造小売業)型の企業が、商品企画から生産、販売まで自社で管理することでコストを大幅に低減し、急成長しました。別料金が一般的だった眼鏡フレームとレンズをセットで1万円以下という圧倒的な安値で売り、若者を中心に顧客の心をつかんだのです。

それに対し、メガネスーパーなどの量販店は守勢に回ります。2008年4月期に営業赤字に転落し、11年4月期には債務超過に陥りました。抜本的な再建に向けて2013年に星﨑尚彦社長が就任し、V字回復を果たすのですが、その手法はまさにモノ消費からコト消費への転換であり、その着眼点にはストックビジネス構築へのヒントが隠されています。

メガネスーパーを含むビジョナリーホールディングスのEBITDA・営業利益の推移

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出所:同社2019年4月期決算説明会資料・中期経営計画(20/04期~23/04期)より抜粋

カギとなる「再定義」とはどういうことか?

価格破壊が起きたメガネ業界の再建を任されたとしたら、あなたはどう考えますか?

その時の世の流れが1万円以下への価格破壊なら、苦しいことはわかっていてもつい同じ土俵に入っていくと思います。ただしそれでは延命程度で、いずれ耐えられなくなる可能性が高い。同じような悩みを抱えている経営者はたくさんいると思います。債務超過で限られた時間の中での経営判断・・・悩みます。

ここでのカギは「再定義」です。長期的にも市場が拡大する中高年の市場とそこへのアプローチの方法は何か? それを考えていくわけです。

ここではストックビジネスの構築の手順に沿って、メガネスーパーのケースを考えてみましょう。

1.「長期的視点」で成長分野を見つける
2. メガネ店の「本質的価値」を明確にする
3. お客様が求める「継続的価値」にフォーカスする
4. その「継続的価値」を提供するための新たなアプローチ法を作る
5.「ストック思考」を使い、今の商品サービスを一言で言える新たなコンセプトに変える

これで、ストックビジネスを生み出す最小ユニットが完成するので、ここからはチューニングです。

6. リピートする仕組みを入れる
7.「アイドル」(使っていない、または非効率な無駄なもの)を使い効率を上げる

このプロセスを通して、既存の自社の強みを「再定義」することになります。

では、実際のメガネスーパーの復活劇はどういったものだったのでしょうか。

参考記事

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大竹 啓裕
  • 大竹 啓裕
  • 株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO

福島県出身、株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO、株式会社ストック総研 取締役会長
20代はセコム株式会社にて理想的なストックビジネスの原点を経験、その後、30歳でラーメンFCチェーンの創業メンバーとして参画、ラーメンFCとしては全国一位となる約300店のストックビジネスモデル構築の原動力となる。
40代は(株)ハッチ・ワークにて貸会議室「アットビジネスセンター」や月極駐車場探し「アットパーキング」にて国内オンリーワンのサービスを次々開発して事業拡大する。これまでの新規事業立ち上げは20事業以上。
経営者塾ストックビジネスアカデミーではストックビジネス構築を指導。
近著に『ストックビジネスの教科書』(ポプラ社)、『ストックビジネスの教科書 プロフェッショナル』(ポプラ社)がある。

 

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