2019年6月3日、金融庁は「長寿化が進んで人生100年時代を迎えると、夫婦で約2000万円が足りなくなる」という試算報告書を公表しました。

収入が増える見込みはないのに、消費増税など支出は増す一方で、「一体どうやって老後のためのお金を捻出をすればいいのか」と頭を抱える家庭も多いと思います。そんな中、一切の無駄を削ぎ落とし、極限までモノを減らしているミニマリストのしぶさんは「お金もモノも必要としない生き方を身につければ、人生100年時代も全く怖くない」といいます。

著書『手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』の中から、しぶさんの考え方をご紹介します。

■ミニマリズムとの出合いで「お金」から解放され 自由を手に入れた

僕は現在、福岡の家具や家電がほぼない4畳半の部屋に、家賃2万円で暮らしています。
月の生活費は7万円。財布は持たず、服と靴は毎日同じ。食べるのは1日に1食だけ。

僕の生活を律しているのは、「ミニマリズム」という考え方です。よりストイックに、よりミニマルに自分を整えていく。この考え方に出合ったことで、僕の人生は一変しました。

僕はもともと、まわりからも「お金持ちのボンボンだね」と言われるような、とても裕福な家庭で育ちました。しかし、中学進学の頃、父の自己破産が原因で両親が離婚。なんでも手に入る裕福な生活が一変、「お金がない」状況へと転落したのです。その後大学受験に失敗した僕は、狭いアパートで母と暮らしながらフリーターをしていました。実家を離れてひとり暮らしをしたいと夢見るようになりましたが、当然ながら経済的な余裕は全くありません。

そんなある日、Google で「冷蔵庫 なし」と検索したことが、僕の人生を変えることになります。たどりついたのは、冷蔵庫を持たないどころか、電子レンジや洗濯機、テレビなど、 一般的に必要とされる家具や家電をいっさい持たずに生活する人たちのブログでした。
こんなに少ない持ち物で、こんなに幸せそうに生活できるなんて。衝撃を受けると同時に、その生き方に強烈に惹かれていく僕がいました。

このミニマリズムとの出合いは、「とにかくお金を稼いで、物質的に豊かになれば 幸せになれる」と思い込んでいた僕に、「物では幸せになれない」ということを気づかせてくれました。

■自分の「ミニマムライフコスト」がわかれば、お金の不安はなくなる

「あなたは毎月、いくらお金があれば生活できますか?」この質問に即答できる人は、意外に少ないでしょう。僕は7万円だと一瞬で答えられます。

毎月かかる必要最小限のコストを把握すれば「これだけ稼げば十分に生きられる」という目安となり、「漠然としたお金の不安」から自由になれます。これは四角大輔さんが著書『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと 』 の中で提唱している「ミニマム・ライフコスト」という考え方です。

もちろん、暮らし方が変われば、ミニマム・ライフコストも変わるでしょう。僕は東京のシェアハウスで数カ月生活していたことがありますが、その頃のミニマム・ライフコストは11万円。11万円なら、どれだけ仕事が低調なときでも稼げるし、いざとなったらコンビニバイト110時間でまかなえる金額です。

僕の独立当時の収入は、毎月9万円程度。そんな崖っぷちの状況下でひとり暮らしを始め、独立しようと踏み切れたのは、毎月に必要な生活費を限界までそぎ落としていたからだと断言できます。「毎月7万円稼げば、死なないし大丈夫だろう」と楽観的に考えられるから、思い切った挑戦ができたのです。

■「1日3食」にとらわれないと、体も心も楽になる