2019年2月19日に行われた、ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社2018年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社 代表取締役社長 吉村昇 氏
ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社 取締役会長 中野淳文 氏

2018年12月期決算説明会

中野淳文氏:みなさま、本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。会長の中野でございます。

四半期ごとの開示のご説明を、このようなかたちでは行っておりませんで。機関投資家さまのご要望に応えまして、個別にご訪問させていただいているのですが、その際は私がご訪問させていただいているのですが。

なかなか社長の吉村が、いろいろな業務で海外を飛び回ったりしておりまして、みなさまにもお目にかかる機会が少なくございますので。今日は吉村から、昨年度の業績の報告ならびに今後の戦略を含めましてご説明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2018年度の出来事

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吉村昇氏:吉村と言います、よろしくお願いいたします。本日は私から、2018年の決算の説明ということでお話しさせていただきたいと思います。

まず数字に入る前に、2018年の出来事を簡単に振り返らせていただきたいと思いますが、一言で言うと、ビジネスプラットフォーム拡張の1年になったなと感じております。

2017年度が9ヶ月決算だったものですから、昨年度が第一化成とウルトラファブリックスが一緒になって、12ヶ月を過ごす初めての年となりました。

毎年、世界のいろいろなところでショーですとか、そのようなものがありまして、出席をしたりしているのですが。まず最初に4月……今年もやりますけれど、ドイツのハンブルグで国内の航空機内装ショーをやるんですが。こちらで従来、この分野でTapis Corporationというところとウルトラファブリックスが共同でビジネスをやっていたんですが、昨年度初めてこのハンブルグで、ウルトラファブリックスとしてブースを出したということがございました。

それから第一化成で、日本におきましては5月に八王子の本社スペースを拡張したということがございました。また同じ5月に、ロンドンでデザインウィークを、クラーケンウェルという場所になるのですが、毎年やっておりまして。これは家具向けが中心の、デザイナーが集まってくる催しものなのですが。こちらにショールームを、ウルトラファブリックスとして初めて開設したということがございました。

それから6月には、投資家さまとの面談等をはじめとして、さまざまな方々とのコミュニケーションを円滑にしていくということで、なにかあると八王子に来ていただくとか、非常に遠いものですから、渋谷にサテライトオフィスを開設させていただきました。

それから非常に大きなイベントとしては、去年の8月の夏休みの期間に、第一化成ではフル2ライン化の工事が完了したということです。

このような出来事があった1年でございました。

航空機内装ショー(4月、ドイツハンブルグ)

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ちょっと写真を見て説明させていただきますと、これがブースです。ちょっとこれだけだとわかりにくいのですが、ここはTapisという航空の内装業界では名の知れた商社さんになるんです。ここと組んでやっていたのですが、その中に、ウルトラファブリックスも共同でブースを出したということがございました。

実は、シートメーカーさんに展示していた航空機用のシートで、ここに貼られているレザーがウルトラファブリックスのレザーになっていたということです。このようなうちの素材を使ったシートを、シートメーカーさんを始め、いくつかご展示をいただいたというショーでございました。

デザインウィーク(5月、イギリスロンドン)

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それからデザインウィークは、クラーケンウェルという場所でやるのですが、その一画にショールームを開設をいたしました。ちょっとこれだけだとわかりにくいんですが、それなりにけっこう大きさのある立派なショールームで、これはデザインウィークだけではなくて、通年で開設しておりまして。

お客さまとの商談ですとか。あと、どうしても実際にお客さまに聞きますと、「お宅の製品というのは、いったいどこで見ることができるんですか?」。どうしても我々の製品をそのまま見せると、このように(写真などで)ぺらっとなっちゃうものですから。

それが実際に家具になっていたりとか、いろいろなものになっているのを見たいというデザイナーのお声がありまして、そのようなことがショールームに来ていただくと見ていただけますよということで、ご案内ができるようになっております。

フル2ライン化工事完了(8月)

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それから、第一化成はフル2ライン化工事完了ということで。

これは行田の工場・事業所になるのですが、古いほうの溶剤の回収タワーになりまして。約築40年ということで、やはり故障のリスクも抱えながら、ずっとフル稼働を続けている状態でございました。

ちょっとこちらが手前に建っているので、単純に大きさを比べられないんですが、これがキャパシティーで言うと2倍の新しいタワーです。これが建ったことによって、操業の安定性というものを確保できるようになったかなと考えております。

2018年度について

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これらのいろいろな事業の拡張をやりながら、数字ということで言いますと、最終的な決算の着地が、売上で言いますと119億円。それから、営業利益で言いますと11億6,800万円。それから、純利益にいくと3億7,700万円というような結果になりました。

これは、もともと2017年の1月に発表させていただいていました中計との比較とちょっと為替前提が違いますので、この為替で割返してドルベースで比較をすると、この中計に対してドルベースで4.3パーセントの増加ということです。当初、統合をするときに想定していた中計の数字を少し上回る分析になっているということでございます。

それから、この昨年の2月に出していました2018年の期初見込みと比較しても、かなり伸びたということです。このあたりは、自動車用の内装材が年の後半に増えたことが寄与して、この分に関して言うと、年初の見込みからプラス6.3パーセントというできあがりになっております。

その中身に関しては、これは短信に出ているセグメント情報を単純に割っていただくと出てくる数字なのですが、家具は28.3パーセント、自動車用が31パーセントということで、初めて自動車用が家具用を上回ったということです。

絶対数量として家具用が減ったわけではないのですが、全体の伸びに占める自動車の部分が大きかっただけに、このような逆転が起こったということ。

それから、この後も何回かお話をさせていただくのですが、我々が非常に重要視している航空機向けに関しましては、全体の割合も1パーセント程度増えているということで、ここも増加しております。

2018年度の決算について

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主な内容につきましては、今申し上げたとおりです。

自動車用シート向けを中心とした内装材が伸びて、ドルベースでの売上が当社の見込みを上回ったということではあるのですが。

どうしても、ちょっと費用のところが……2017年度から、いろいろとそのような費用項目で想定していたもの・想定していなかったものを含めて、いろいろちょうどどったんばったんありまして、数字がわかりにくくなって大変恐縮なのですが、昨年度も若干そのような傾向を、若干引きずったかなと感じております。

費用項目に関してコメントさせていただきますと、まずはしっかりとした組織、それからビジネスの増加に対応できる組織を作っていくために、人を増やしたということがありまして、人件費が増加したということがございます。

それから2ライン化が稼働して、年末にかけて生産遅延は解消していったのですが、それまでの稼働の遅れですとか。それから、生産量が増える前に人の数が増えるものですから、人件費が前倒しで増加したということ等を含めて、製造原価が上昇していたということがございます。

それから、若干テクニカルな理由なのですが、今年度から連結納税制度の導入を予定しておりますが、こちらの見直しが期初と期末で変わりまして、法人税費用が増加したということ。

それから、販売はおかげさまで好調だったものですから、販促費用は増加したことが、とくにウルトラファブリックス側で顕著にあった。それから、これはある程度わかっていたことではありますが、株式報酬費用が若干減少したということ。

それから、意外に減ったということで言うと、2017年度は内部統制整備とか組織再編に関してかなり費用がかかったのですが、2017~2018年に関してはこれが落ち着いてきたということで、このような費用項目のどったんばったんというあたりが、最終的なP/Lのところには影響があったのかなと思っています。

このような費用項目について、工事をしながら生産をするですとか、事業をしながら統合を進めるですとか、そのようなことがありましたので、多少はご容赦いただきたい部分もございますが。

やはり今期以降は、このような費用項目に関する見込みというのも、制度をより上げなければいけないということもございまして、昨年にここにおります河辺に管理部長になっていただいたということ。

それから、もともとウルトラファブリックスでCFOをやっている人間がいるのですが、彼をグループのCFOに今年の1月1日から任命しました。グループ全体として、迅速かつ正確な数字・費用の把握……とくに税金のところは若干遅れ気味になるので、そこのところがきっちり対応できるような体制を敷いて、対応をしていきたいと考えております。

こちらが、2018年度の決算の振り返りです。

2019年度について

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2019年度につきましては、売上は129億円。それから営業利益が18億円、純利益は9億5,000万円というような数字を、為替レートは110円という前提で書かせていただいております。

これは先ほどと同じ議論で、ドルベースに引き直した中計の数字とここの数字を比べると、中計対比プラス2.9パーセントということで、事業そのものはほぼ中計のシナリオに沿って、順調に拡大をしているかなと思います。

先ほどからわかりにくい、この利益のところなのですが。2018年の売上のできあがりの119億円に対して、今年度が129億円というプラス10億円に対して、営業利益が昨年度の11億6,800万円のできあがりに対して18億円ということで、大幅に増加をしておりますが。

ここの要因に関しまして、まずはこれは最初からわかっていることですが、株式報酬費用がかなり減るということ。それから、生産力が上がりましたので、昨年度にかなり重りになった生産の遅れにともなう輸送コストの増加の部分で、コスト削減ができるということ。

それから、これは生産に関わられた方にはおわかりいただけると思うのですが、ラインというのは入ってきたらすぐにぱっと生産できるわけではないんです。とくに我々が作っているようなものは、実際にできたラインでモノが順調にできるようになるまで時間がかかるというのが、常なのでございまして。

そのような意味では、第一化成の現場は非常に良い仕事をやったと思うのですが、それでもやはり立ち上がりのところで新しいラインからのロスというものが、ある程度出ております。

これに関しましては、今年度はこの区分の原価のロスというものができるということで、もうわかっている株式関連報酬が減ることというのもありますが、一方で生産の効率化等によって輸送コストを減らしていく、それから原価ロスをなくしていく。このような努力によって賄える部分を含んだ上での、営業利益の数字になっております。

2019年度の見通しについて

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2019年度の見通しに関しまして、ここに経営上の重点項目を並べさせていいただいております。

まず1つは、先ほどから自動車用内装材が増えてきているということなのですが。やっぱりビジネスで非常に重視されるのが、需要の増減に柔軟に対応できる生産体制を持てるかどうかということです。

やっぱり需要とは一定ではなく、お客さまの需要に合わせて在庫レス等に対して非常にブレるものですから。とくにピークになったときに、そのピークのマインドに応えられるような生産体制をきっちり敷いておくということが、プログラムを獲る上で重要になりますので。

昨年度は残念ながら、そのような余裕がなかなかなかったものですから、どったんばったんがあったのですが、今年はラインが2つありますので、このような体制を最大限に活かして柔軟に対応できるようにしていきたいと考えております。

一方で、車に関しては自然体でやっているとたぶん増えていくんだろうと思っていますが、この部分のコンセントレーションを和らげていくという意味で言うと、これは従来から申し上げているのですが、新規航空機向けビジネスを拡大をしていくこと。

航空機向けの製品では難燃性が非常に重視されますので、このような難燃性の高い製品を開発していく。あるいは、航空機会社にマーケティングを拡充していくということです。

自動車のビジネスの場合は、まずプログラムを獲得しても、車が売れる・売れないで需要は変わっていきます。それから、獲得したときは需要は伸びるのですが、そのプロブラムがそれが2年なのか4年なのか……モノによると思うのですが、失うとその分どーんと減るわけで、非常にボラタイルな部分があるのですが。

実は航空機向けは、1回入ってしまうと簡単に切り替わらないところがございます。それから、これは航空機会社さんの考え方とかモノによるのですが、何年か1回に張り替え需要が必ず発生します。

ですから、航空機の場合は自動車と違って入ってくるのに時間はかかるのですが、一度入りますと安定した利用が見込めるという特徴がありますので、我々としては伸びていく自動車のビジネスに対して、積極的に航空機ビジネスを伸ばすことによって、全体の分散性を維持していきたいと考えております。

それから自動車の内装材についても、それそのものはボラティリティを持っておりますが、メーカーさん・お客さまを分散させる。それから、お客さまの中でもアプリケーションを分散させるというようなことも、意図的にやっていこうと考えております。

このあたりがビジネスラインに関する議論なのですが、このような伸びていくビジネスを支えていく……このような事業の質とか規模に見合った組織を構築していくということ。これは人の獲得も含めて時間のかかる部分でございますので、このようなことをより競争力を持って行うために、従業員向けのRSの報酬制度を今年から開始いたします。

これは日本の場合は、かなり純粋に全体のコンペンセーションの底上げを狙っていくというのが主目的なのですが、アメリカの場合はやっぱり引き留めです。

ディテンションのところをやる制度が非常に有効だということもありまして、プログラムの目的とは、日本とアメリカで若干異なってくる部分はあるのですが。いずれにせよ、実際に強い組織を作っていくために、非常に有効な手段だろうと考えております。

それからもう1つ、我々がこのビジネスをやる上で重要なのは、サステナビリティストーリーです。これは私もそうなのですが、やっぱりお客さんのところへ行くと、我々のお客さんは一番最初はデザイナーなのですが。デザイナーから「あなたの製品のサステナビリティストーリーはなんなんですか?」と、もう聞かれるんです。

これに対する答え方はいくつかありますし、会社さんによってその答え方は違ってくるのですが、いずれにせよ我々なりの、ウルトラファブリックスとしてのサステナビリティストーリーを構築していく必要がある。

非常に重要だということで、ちょっと古くなってしまったのですが、お手元にとりあえず我々なりのサステナビリティストーリーを作ろうということで(お配りしています)。これは、去年の株主総会で株主のみなさまにお配りさせていただいたものなのですが。

これを、まずとりあえず作ってみようというものだったのですが、ここからさらに拡充していきたいということで、今年度版に関してはまず、バイオ製品を発売をする予定にしております。

「バイオ」といっても定義が曖昧なものですから、USDA英国労務省のバイオプリファードプログラムという認証制度がありますので、この認証を取った製品を販売をしていくということ。

それから、先ほどの蒸留塔というタワーが2本ありましたが、新しいタワーができましたので、今年は古いタワーを撤去して、その撤去したところに水処理・再利用施設を検討ということで、設置を予定しております。

これもやはり、お客さんから「製品を作るのに、CO2をどのくらい排出するのか?」はもちろん、「水をどのくらい使えるのか?」ということも聞かれますので、このあたりの水の使用を、より効率化していきたいということ。

それから今年に関しましては、ISO14001を取得することを予定しております。また、全体の包装に関しては、とくにウルトラファブリックス側でエコパッケージの採用を推進しております。

それから、このようなこともやっていかなければならないことの1つなのですが、トリーダムという組織がありまして。ヨーロッパやアジアやアフリカで植林活動をやっているのですが、このようなところと提携して、我々なりのサステナビリティストーリーを作っていこうということで、今年はそのような内容が記載される予定になっています。

2020年度以降の方針について

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2020年度以降の方針といいますか……方針そのものは、今年も含めての中期的なものになりますが。

1つ申し上げたいのが、現時点では2020年度の業績見込みについては、開示を控えさせていただきたいと考えております。

大きな理由が、先ほどから何回も出ている話なのですが、自動車向けのプログラムが走り始めてそれなりの量になってきているのが、既存プログラムとしてある一方で、2020年に向けて新しいプログラム獲得も進めております。このような新規のプログラムが実際に入ってくるのか、こないのか。それから、今のプログラムが数量が増えていくのか、それとも減っていくのか。

このようなことによって大きく影響されてしまうものですから、非常に精度の高い予測を立てることが難しいという判断をしておりますので、2020年度以降の業績見通しにつきましては、開示を控えさせていただきたいと考えております。

事業の運営方針そのものについては、先ほど申し上げた部分と重複する部分があるのですが。やはり、従来からある事業ポートフォリオの分散性を、車のシート向けの需要が増えていく中でどう維持していくかということです。当面は航空機向けに注力していきたいということなのですが、それだけではなくて。基本的な考え方としては、やはり今ある事業、ポートフォリオの分散性を維持していきたいということを考えております。

それから、先ほどから2ライン化ということで、「生産能力が上がりました」というお話ではあるのですが。我々は、ビジネスを自動車会社さんですとかエアライン向けにやっておりますので、「量が増えたから質が落ちました」というわけにはいかないんです。

量が増えても常に質を維持する、あるいは質を上げていくということが求められますので。第一化成においては人も増えましたし、ラインも増えて生産量も増えているのですが、今の品質をどうやって維持していくのかと、そのような生産体制をきっちり構築していくことは非常に重要だと考えております。

そのような問題意識を非常に高く持っている1つの理由として、実は他社の……これは分野がいくつかあるのですが、品質問題。例えば我々のようなマテリアルで、一番致命的な品質問題とは、「剥がれる」ということなんです。「擦ったら剥がれてしまいました」「ぺらっと剥がれてしまいました」ということがあると、基本的には「もう使わない」という話になります。

ですから、このような品質問題を起こさないというのが基本なのですが。やはり他社さんでそのような品質問題が起こってしまったので、うちにきていますというようなケースも、実際に出てきています。

ここをリスクと見るのか、それともチャンスと見るかというのは、対応によると思うのですが、我々としてはきっちりやっていくことで、チャンスが広がっていくのかなということ。

もう1つは、これもけっこう意外だったと言えば意外だったのですが。実は、「サービスの質が悪い」ということがあって。サービスの質が悪いとはどのようなことかというと、これは私が実際にお客さんから聞いた話なのですが。

例えば、お客さんが監査に来られるのですが。監査に来られた時、我々は「見たい」というものは全部見せるし、質問されたことには全部答えるようにしているのですが、実は世界を見回すと、みなさんがそうではないという話なんです。

ウルトラファブリックスでも、実はお客さんとの情報の透明性……彼らは英語で「トランスパレンシー」と言っていますが、それをやはり非常に重要視している。

トランスパレントになるということは、必ずしも調子のよいことばかり言うわけではなくて。「今どんな問題を抱えているのか」と、「それに対して、どうやろうとしているのか」ということを、正直に話さなければいけないことでもあるのですが。

安易にそのようなことをやっていくことが、やはりお客さんとの信頼関係を築いていく上で、日本だけではなくて全世界で重要なことなんだというのを、日々業務をやっていて感じる部分であります。

このようなことを組織全体で遂行していくためには、やはり人の質が非常に重要になってまいりますので、このような部分においても品質だけではなくて、サービスの質を維持することと、さらに上げていくために、人への投資を全体として積極的に展開していきたいと考えております。

それから、もう1つやっていきたいと思っているのが、国内のパートナーさんとのアライアンスの強化です。

「国内パートナーとは、じゃあどのような人たちなんですか?」ということなのですが。1つは、サプライヤーさんです。今回の先ほどご説明したバイオ製品に関しても、認証を取るバイオ製品を作るためには、実はもともと石油だけで作られていた樹脂をバイオ原料に切り替える必要があるんです。

それそのものは、新しい樹脂の開発になります。この部分で我々の取引先のサプライヤーである樹脂会社さんとかで、新しい樹脂を開発していただけたということが、我々の新しい製品の開発につながっている部分がございます。

これは当然のこととして、売っているものを買ってきたわけではなくて、「このような割合のバイオコンテントのものを作ってください」とお願いして作っていただいている部分がありますので、同じことが他の人にはたぶん簡単にできないだろうと思っていることとともに、これは樹脂の話ですが、その他も含めて築いていくことが非常に重要です。

それからもう1つは、製品のパートナーがございます。第一化成の作るレザーは世界でNo.1のレザーなのですが、お客さんは他のものも求めるわけです。

自社の技術だけで対応するのではなくて、やはり日本の他のメーカーさんが持っている強みを、我々のプラットフォームの中で活かしていきたいということを考えております。

実は、これは統合の効果と言える部分がございまして。従来から我々は日本のメーカーとして、他の日本のメーカーさんがどのような優れた技術・製品を持っているかを知っているのですが。

それを、ウルトラファブリックスに紹介するインセンティブはないわけです。それは第一化成の立場からすれば何の商売にもならないので、インセンティブはないのですが。

今はグループですので、我々の第一化成の製品価値が優れているとすれば、積極的にウルトラファブリックスには、ネットワークを通してそのような製品を拡販していくというインセンティブがございます。これは、非常に大きな統合の効果となることとも考えられております。全体として、このあたりのことも、抽象論・一般論ではなく具体的な成果として、来年以降お話ができるようになればいいかなと思います。

それから、従前から申し上げているグローバルブランドの確立です。だいぶウルトラレザー・ウルトラファブリックスというものの知名度が上がってきている実感があるのですが、これをさらに推進をしていくこと。

これは、先ほど申し上げましたサステナビリティストーリーは常に問われ続けるものですので、これを我々のウルトラファブリックス独自のサステナビリティストーリーを、今後作っていけるように注力していきたいと考えております。

簡単ではございますが、以上になります。

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