半導体メモリー大手の米マイクロンテクノロジーは、2019年度第2四半期(18年12月~19年2月)決算にあわせて、メモリーの減産を発表した。DRAMは生産能力の5%を休止、NANDはウエハー投入量の5%を削減する。供給量を抑えることで、DRAM、NANDなどメモリー需給環境の引き締めを図りたい考え。

 これまでに、メモリーメーカーでは東芝メモリと四日市工場を共同運営するウエスタンデジタル(WD)がNANDのウエハー投入カット(東芝投入分は減産せず)を明らかにしているが、公表ベースではこれが2例目となる。NANDは投入ベースでは5%削減となるが、レガシーノードを中心に減産を行うため、ビットベースでは5%未満にとどまる見通し。

通期設備投資も2度目の下方修正

 あわせて、19年度(19年8月期)通期の設備投資金額も、従来の90億~95億ドルから90億ドルに引き下げた。期初段階では105億ドルを計画していたが、2四半期連続で投資金額を下方修正した。依然として前年度比では増額となるが、同社によれば、設備投資の大半がクリーンルーム建設費用や組立・テスト工程投資に充てられるため、前工程装置投資は前年度比で減少する見通し。

 なお、クリーンルーム建設に関してはDRAMの次世代プロセスに対応すべく、台中工場(Fab16)の拡張に向けた用地手当に入ったと公表。建設タイミングなどは最終決定していないものの、21年内のアウトプット開始を計画する。

期末在庫は過去最高水準

 第2四半期業績は、売上高が58.35億ドル(前四半期比26%減/前年同期比21%減)、営業利益が21.1億ドル(同46%減/同42%減)となり、大幅な減収減益だった。売上高は当初ガイダンスの下限近くになったほか、粗利益率も50.2%となり、当初予想(50~53%)の下限値となった。

 売上高の64%を占めたDRAMは、前四半期比30%減の37.34億ドル。ビット出荷は前四半期比10%台前半の減少、ビットASP(平均売価)は同20%台前半の下落となった。また、売上高で30%を占めたNANDは、同17%減の17.51億ドル。ビット出荷は同1桁台後半の増加、ビットASPは同20%台半ばの下落を記録した。

 期末在庫は前四半期比で約5億ドル増加の43.9億ドルとなり、過去最高水準となった。在庫回転日数は第1四半期末の107日から134日に長期化した。同社によれば、ウエハー投入量や投資額の削減など対策は講じているものの、効果が出てくるには時間がかかるため、5月末の在庫金額も前四半期比で増加する可能性があると言及している。

ハイパースケーラーの在庫水準は減少

 ただ、ハイパースケーラー顧客のメモリー在庫水準は減少している兆候を確認しており、19年半ばまでには顧客側の在庫水準は適正化するとしている。これに伴い、19年後半には前半と比較して需要は回復に向かうとコメントしている。なお、第3四半期見通しは売上高が48億ドル(±2億ドル、前四半期比18%減)、粗利益率は37~40%(中心値は同12ポイント減)を予想する。

 市場全体の見通しについては、19年(暦年)のDRAMビット需要が前年比10%台前半から半ばの成長、供給は10%半ばから後半の成長と予想。減産により同社は自社生産を需要並みの成長率にコントロールする方針だ。一方、NANDはビット需要が30%台半ばの成長、供給は30%台後半の成長を見込む。DRAM同様に、自社分の供給は需要並みの成長率にコントロールしていく。

NANDは高付加価値戦略を推進

 DRAMでは現在、1Xnm世代を中心に量産を行っているが、次世代の1Ynmについても立ち上げを順次進めている。19年度後半から1Xnmから1Ynmへの転換が進む見通しであるほか、1Znmもサンプル対応を開始した。

 NANDでは96層世代の立ち上げに注力しており、同社によれば、これまでのどの世代よりも立ち上げスピードが早いとしている。また、SSDなど高付加価値市場に軸足を移す戦略を推し進めており、19年度上期はこれら高付加価値市場が占める売上高構成比は3分の2まで上昇した。

 具体的な事例として、同社独自設計のコントローラーICを搭載した初のNVMe対応SSD製品を、大手PCメーカー向けに出荷するなどの成果を見せている。また、96層品ベースのコンシューマーおよびクライアント向けSATA-SSD製品の出荷を開始しているほか、次世代不揮発性メモリーの1つである、3D-Xpointメモリーに関しても19年末からのサンプル出荷を予定している。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳