去っていくお客様のつなぎとめ方〜「恐怖の卒業モデル」をストックビジネス化する

たとえば金融のスキルを習得する目的から考えてみましょう。

習得したスキルで転職を有利に運びたい
習得したスキルを使ってファイナンシャルプランナーになって稼ぎたい
習得したスキルを活かして自分の資産を増やしたい
習得したスキルを使って・・・

金融のスキルと一口に言っても、幅も広く奥が深いわけです。ですから、学んだ結果一定のスキルが身に付いたのはあくまでほんの一部分。そこから先、実際にそのスキルをすぐ使えるわけではありませんので、卒業してからも受講生には課題は残っていたのです。

そこで受講生や受講修了者を対象に、相談し放題のプランを作りました。

「プロにいつでも相談できる」

これは相当な価値があると思いますが、提供する側にもリスクはあると思いませんか?

一つには分野が多岐にわたるのでひとりで全部網羅するのは難しいし、すべてを人が受ければ属人的になってすぐに限界がきてしまいます。また、相談を受ける先生によりばらつきも出てしまうでしょう。実際に相談を受ける側に相当負荷がかかる。拘束時間が長くコスト高になってしまうのです。

どうしたものかと相談の内容を調べてみると、実際には同じようなものが多いことに気がついた。そこで、相談する内容に対しての対応を標準化してプログラム化し、動画にしたそうです。対応するスタッフは相手の話を聞いて必要なプログラムを伝え、動画を見てもらうというわけです。

この方式は、きちんと人が対応することもあり満足度は高いといいます。これで、相談し放題という最もお客様にとって価値あるサービスと運営側の負担のバランスをうまくとることができたのです。

このサービスの提供価値は「安心」ですが、これが実現して安心を提供できるとお客様の求めるものが変わり、次は楽しみたいというニーズが出てきたそうです。今ではスキルを学んだ方々のコミュニティの要素が強くなり、そこでは楽しむことを皆で共有することが価値になってきました。

「卒業」のない顧客の欲求とは?

ここまでの話を整理してみましょう。

学ぶという改善分野だけでは卒業モデルですが、次に「学んだスキルを維持して使う」「資産を維持する」という、つまり守りの欲求が現れます。

この欲求に対していつでも相談に乗ることで安心してもらうという対応をしました。

安心したいという欲求には卒業がありません。そして、安心したお客様が今度は楽しみたいという欲求に対し、コミュニティで集まったり情報共有することで価値を提供。こうして卒業モデルから「継続的な価値提供モデル」つまり「ストックビジネス」に近づけたのです。

ストックビジネスを作る作業は、自分たちの強みの認識、長期的視点でのお客様の欲求探しから始まります。そして、ここから「サービスの再定義」をするのですが、今回はスキルを維持するという先に継続的価値を見つけて「恐怖の卒業モデル」からの脱却が見えてきたのです。

読者の皆さんも、ぜひ参考にして試してみてください。

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大竹 啓裕

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大竹 啓裕
  • 大竹 啓裕
  • 株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO

福島県出身、株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO、株式会社ストック総研 取締役会長
20代はセコム株式会社にて理想的なストックビジネスの原点を経験、その後、30歳でラーメンFCチェーンの創業メンバーとして参画、ラーメンFCとしては全国一位となる約300店のストックビジネスモデル構築の原動力となる。
40代は(株)ハッチ・ワークにて貸会議室「アットビジネスセンター」や月極駐車場探し「アットパーキング」にて国内オンリーワンのサービスを次々開発して事業拡大する。これまでの新規事業立ち上げは20事業以上。
経営者塾ストックビジネスアカデミーではストックビジネス構築を指導。
近著に『ストックビジネスの教科書』(ポプラ社)、『ストックビジネスの教科書 プロフェッショナル』(ポプラ社)がある。

 

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