2019年3月4日に行われた、AOI TYO Holdings株式会社2018年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:AOI TYO Holdings株式会社 代表取締役会長 CEO 吉田博昭 氏
AOI TYO Holdings株式会社 代表取締役社長 COO 中江康人 氏
AOI TYO Holdings株式会社 専務取締役 譲原理 氏

事業環境① - 動画広告市場の拡大

吉田博昭氏:こんにちは、吉田でございます。いつものようにたくさん集まっていただいて、どうもありがとうございます。それでは、説明していきたいと思います。

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まず、一般的な事業環境について、私からお話しいたします。

一番始めの要素です。これは大変いいことですが、ネット動画も含めました、いわゆる動画広告市場。これが、これから我々の主たる市場になるものです。テレビCMも動画です。ネットが中心の動画広告市場は1,843億円で、前年比で134パーセントという、大変大きな成長をしています。

2020年には2,900億円、2024年には4,957億円に達すると予測されています。今までのテレビCMが約2,000億円弱くらいですので、もうすでにそれを超えていく方向です。これは(制作)本数も増えていますが、よりお金のかかった、よりクオリティーの高い動画広告が必要とされていると(いうことです)。

その反面、今は「1億総カメラマン時代」と言われています。そこら中にスマホがあります。そうすると、そこら中に動画を撮っている人がいる。これは、昔じゃちょっと考えられないような、「すべての人が動画を撮っている」という時代です。

しかしこれは、(例えば)「YouTube」をご覧になれば誰にでもわかることですが、本当にクオリティーの高いもの、本当にきれいなもの、説得力のあるもの……対価を得られるものに至っては、全然ないのがリアリティ(のある現状)であります。

そのような「1億総カメラマン時代」でありながら、本当にプロの作った(ような)優れた品質の動画が求められている。(動画で)対価が得られる時代になっていっている、ということだと考えられます。

事業環境② - テレビCM制作費の推移

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次のスライドにいきましょうか。事業環境の、テレビCMの制作費(の推移です)。これは(ご覧いただくと)ちょっと興味深いことがわかります。

左から見ていっていただきますと、(グラフが)2007年から出てきます。2009年・2010年・2011年……リーマンショックから東日本大震災に至る、平成の中での、日本にとっての最低の3年間。テレビCM制作費・テレビメディア広告費は底を打っています。

つまり、1兆7,139億円というのが2009年にあります。実は、2007年の前には2兆円以上あったわけです。これが、ネット広告に押されたことも1つの原因ですが、下がっていって。(スライドのグラフにはありませんが)1996年くらいから見ると、2009年・2010年・2011年に比べてずっと下がってきたものが、この約3年間で底を打ちました。

その後は逆に、だんだんと今は上がってきている状態です。これは、実感としてもございます。(その要因の)1つは、テレビCMの広告主が大幅に入れ替わっています。かつて主流だった、自動車・家電・飲料・食品メーカーなど、グローバルに展開するような大企業が、かつてはゴールデンタイムにCMを打っていました。

(しかし)今みなさまがテレビをご覧になっていて、出てくるもの。(変わらず)大手メーカーも出てきますが、(領域として増えてきたものは)ウエルネスですね。健康食品だったり、あるいはサプリメントだったり。そのような会社が、ゴールデンタイムの提供枠を持っているというかたちで、入れ替わりが生じています。このようなことも含めまして、テレビ広告費は2010年あたりでいったん底を打って、今は微増している状態です。

もう1つは、あらためて今、テレビメディアのリーチ力に対する広告主の評価が出てきている状況があります。つまり、今度は、インターネット広告の信頼性も広告主に指摘されています。そのような中で、これはなかなか(いろいろと)動くものなんです。一直線上に、リニアに「テレビからネットへ!」というふうに、まっすぐに動くものではない。

テレビが一人勝ちだった時代は、明らかに終わりました。

事業環境③ - 働き方改革

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次は、事業環境です。

これも1つ大きなことは、働き方改革。これは、それほど細かい話はありません。我々の、映像を作る業界。私が若いころ……今から半世紀も前は、本当に3日間の徹夜が当たり前みたいな、もうどうにもならないくらい過酷な労働を、若い人が強いられていた世界でございました。

それがだんだんと改善され、我々のような制作会社が、東証一部の上場企業になるということが起きる。広告代理店もかつては、上場していなかったわけです。そのような会社が上場して、「コンプライアンス」という言葉が言われるようになった。

ここへきて、この3者(で協議の場を持ちました)。このページの図は、広告会社の関係図です。これらは業界団体として(存在しており、右下は)日本広告業協会のJAAAとなります。これは広告会社です。(それ以外は)クライアント団体(JAA)、映像制作会社の団体(JAC)。

これらの3者がこの数年間、やっと真面目に働き方改革に取り組むようになりました。その結果、残業時間は大幅に減っています。完全に100点満点が取れる状況には、正直に言ってまだなっていませんが。これはもう、数年後には間違いなく、残業(時間)が適正以下に抑えられる、大変ちゃんとした労働環境が守られている業界になると考えています。

当社グループの強み

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また、今日は中計について、これから中江(からのご説明)も含めまして、お話ししていきます。まず、私からは冒頭だけ申し上げます。

当社グループの強みは、人材です。現在はグループで約1,650人の人がいますが、約1,400人はクリエイティブワークに従事している、広い意味でのクリエイターです。実績としましては、テレビCMは制作では(業界)No.1です。年間で2,000本以上のCMを作っています。それ以外にも、現在は連結決算でCM(が占める割合)は半分以下ですから、それ以外の広告コンテンツ……Web動画・PR・イベントやら、すべてを含めまして、大変たくさん作っています。

映像も作っています。去年(2018年)はご承知の(とおり)『万引き家族』という映画で、カンヌ国際映画祭のグランプリのパルムドールを受賞いたしました。我々は、人材の力を最大限に活用することが大事だ、それだけが大事だと言ってもいいくらいです。

多少語弊はありますが、これから先に大事なのは、AIを使って人をクビにする会社ではなくて、人を雇う会社です。「より多くの人に給料を払える会社」こそが社会的にいい会社だと、我々経営陣は考えています。

それでは、ここで中江にバトンタッチします。

「規模より質」の経営へ

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中江康人氏:代わりまして、中江でございます。「『規模より質』の経営を目指してまいりたい」ということです。

これまでは、CMを中心に「受注、受注!」「営業、営業!」ということで、たくさんのお仕事をいただいて「量」の拡大をやってまいりました。「成長イコール規模」ということでやってきたんですが、今は大きな環境変化(があります)。それは我々の業界だけではなくて、社会全体で大きな環境変化がある。

なので、企業として一番大事にするべきは、よく言われる「サステナブルな企業」ということで、我々自体も力強く事業をずっと続けられる(こと)。しかも、それが社会にとって貢献できる企業ということです。これから大きな変化が起こっていきますが、いかなる時代にも対応する力強い企業体であり続けることを、経営の目標にしていきたいと思っています。

そのためには、先ほど吉田からも(ご説明が)ありましたが、人材の力(を最大限活用すること)。これは、質の高い人材を我々の企業の中でより多く育て、活躍してもらうこと。

それから「変化(が起こっていく)」と申しましたが、それに応じたニーズも変わってくると思います。この後ご説明しますが、我々の強みの映像制作を掘り下げていきつつ、そのあたりをきちんと拡げていくことが不可欠かなと思っています。

そして、そのような活動の中で、結果として安定的な収益がきちんと出て、みなさまに還元していけることを目標にしていきたい。

「掘り下げる」「拡げる」

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まず「掘り下げる」と「拡げる」とは、どのようなことか。

我々は、やはり動画制作・映像制作が、今いる人材が一番の強みに持っているものです。そこのニーズがどんどん高まっていっている(ものが)インターネットのブランド動画です。

ブランデッドコンテンツみたいなものも今はどんどん必要になっているし、しかも質が問われてきているところです。そこは、我々が徹底的に掘り下げていって、「動画広告イコールAOI TYO」ということで圧倒的なポジション(を確立していきます)。今はCMの世界では築けていますが、インターネットのブランデッドコンテンツの中でも、我々はNo.1というポジションを築きたいと考えています。

「掘り下げつつ拡げていく」ところは、要は「我々がテクノロジー自体を開発します」みたいなところに飛んでいったりとか、「いやいや、新しい飲食の事業をやっていきます」とか(別の領域まで)飛んでいってもいいのですが、我々は、我々にできる強みを活かして拡げていけるところで戦っていきたいと考えています。

1つは、「プロモーション」です。我々もプロモーションの中に存在する動画は作っていますが、もっとリアルなもの。イベントやPRとか、そのようなところにも拡げていきたい。

それから、「コンテンツ」です。1つは(2018年の『万引き家族』などの)映画もありましたし、「Netflix」の中の動画とかもありますし。我々が所有するIPを活用して多方面に展開していって、収益をあげていくものぐらいの幅の中で、まずはちょっとやっていきたいと考えています。

「掘り下げる」:動画広告の巻き取り

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「掘り下げること」で言うと、オンラインの動画がかなり必要とされているところに加えて、来年(2020年)からやってくる5Gです。大容量のコンテンツ・動画を瞬時に送れるようになりますので、そのような中でのニーズが高まっていく。

高単価(動画の需要増加)……要は、ハイクオリティーな動画がノンストレスで送れるというところで言うと、ブランデッドコンテンツにはものすごく適した環境になってくるので、そのあたりを徹底的に掘っていきます。

そのために(対応方針として掲げているものが)1つはブランディング(動画制作の巻き取り)。ブランデッドコンテンツは、きっちり取っていく。

CMではNo.1ですし、これからもそのポジションは確保していく。それと、オンラインの中の高単価……いわゆる、ブランデッドコンテンツ。今までの我々が培ってきたビジネスモデルで通用するものなので、これはそのままやります。

それから、インターネットの中の動画で言うと、「きちんと作ること」と同時に「届けること」が大事です。そのようなデータをきちんと、分析自体を我々がするかどうかは置いておいて、きちんとフィードバックを受けて、最適なクリエイティブの開発ができるかどうかという「届けること」もきちんと意識して、もちろん事業としても取り込んでいきたいと考えています。

先ほど申し上げた「拡げていくこと」、要は統合的にプロモーションなり企業のマーケティング活動なりに関わっていくことで、幅広く動画以外のものも取っていくことが、掘り下げつつできることかなと。

「拡げる」:周辺ソリューションの強化

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同じようなこと(のご説明)になりますが、続いて「拡げる」です。

我々の動画・映像という作り出すコンテンツに、非常に親和性が高いタッチポイントがバーッと増えているのが、今の環境の変化としてありますので。

1つは、動画自体を「コンテンツ」というふうにきちんととらえて、制作受けするだけではなく、作ったもの自体でビジネスをしていける……今は映画とか「Netflix」の動画だけですが、これからは、先ほど冒頭に(本日の決算説明会の流れなどについて)ご説明したVTuberやバーチャルアーティストにも出資したり、資本業務提携したりしています。いろいろなコンテンツのありよう、ビジネスモデルのありようにチャレンジしていこうと(考えています)。

それから、リアルな部分やイベント・PRというものは、今の我々のグループの中にあるソリューションにくっつけて拡大していくやり方もありますし、まったくさらに(新しく作る)というやり方もあるのですが、いずれにしても資本業務提携なりM&Aは確実に必要です。こちらは今一生懸命検討して、アプローチをかけたりしております。

それから、先ほども申し上げましたが、ビジネスモデルが多様化していきますので、その中できちんと付加価値をもって我々の事業に取り込んでいくものも、いくつも作り上げていきたいと考えています。

「人材」について

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それから、人材です。

「強みは人材です」と言いましたので、やはり映像制作・動画制作で動画をきちんと届けるというところは、今いる人材を活用してどんどん掘り下げていける部分だと思いますので、そちらをやっていくということなのですが。

拡げていくという人材、統合的コミュニケーションを実現していくことと、プロフェッショナリズムの高いスペシャリストもその中に必要になってくるので、このあたりを育てたり獲得したりしていくことは、不可欠かなと思っています。

なので、まずは人材の採用……おもには「統合的施策実現の素養のある人材」は採用していきたいということ。また、我々の中でも、掘り下げていく中ででき上がっていく専門チーム……統合後、いくつも(行っており)AOIにもTYOにも、いくつかそのようなチームができ上がっていますが、統合的コミュニケーション専門のチームや、本当にオンライン動画に最適化したチームも組成しています。

それから、今いる人材を覚醒させるための出向とか、グループ内の人材交流などをして育成していきますし、今までなかったような教育制度を充実させていくということで、人材という強みをさらに強みにするべく、取り組んでいくということです。

海外展開について

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それから、海外です。

今まではAOI Pro.もTYOも一生懸命やってきましたが、こちらで言うと、今は「点」である拠点間を連携させて「面」にしていくということ。それから、やはり強固な収益体制(を築くということは)イコール収益が出ていない、厳しくなっているところの整理も含めて、強固にしていくことに取り組んでいます。

「面にする」というところでいうと、AOI Pro.とTYOが独自でやってきたものを繋ぎ合わせていくということで、昨年(2018年)ホールディングスに海外戦略部というものを新設しました。かなり繋ぎ込みがうまくいきつつあって、連携がとれてきているのかなという成果が見え始めています。

それから、独自の売り物……日本で業務提携した先などにあるようなソリューションを(例えば)東南アジアに展開させていくというところで、「じゃあ、東南アジアのどこどこの国では、どの会社が担当して売る」ということも、もうでき始めています。

それから、先ほど(収益体制の)整理の問題なのですが、資本構成の見直しも進めております。

目指すもの

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ですので、目指すものとしましては「『規模より質』の経営」ということで、2021年度の従来目標として掲げていた数字は、申し訳ないのですがいったん廃止します。廃止して、「規模の追求」を経営の目的にしませんので、売上・利益等の数値目標を将来KPIとはしません。

ただ我々は、「結果としての安定的な収益が出る持続可能な企業を作っていこう」と思っていますので、もちろん株主還元等は継続重視してまいります。「株主資本コスト<ROE」を常に達成すべく、経営してまいりたいと考えております。

以上で私からの説明は終わりまして、譲原から今期の決算の説明をしてもらいます。

連結決算ハイライト

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譲原理氏:それでは、私譲原から、2018年度の実績および2019年度の計画の概要について、ご説明させていただきたいと思います。

まず、この12月で終わりました2018年の実績です。採算性を重視しました収益管理を徹底したりとか、働き方改革というテーマもございましたので、それに伴う受注コントロール等を行った結果といたしまして、動画の広告制作売上が前期対比で約46億円ほどマイナスしていると(いうことです)。

それから、いわゆるプリントレスが進行したことで、プリントの売上も前期対比で7億円程度マイナスしておりまして、売上高は前期比で約57億円のマイナスというかたちになっております。

一方で、この映像制作に伴う実行利益……外部に支払う変動費を除いたあとの利益を「実行利益」と呼んでいます。その実行利益率が、前年に対して2.5ポイントほど改善しております。この売上高の減少に比較すると、営業利益の減少は約12億円ということで、限定的に留まったというのが、営業利益までの数字になります。

加えまして、特別利益・特別損失のところですが、資産を効率化していくという観点で、所有不動産や政策保有株式の売却を行っておりまして、5億円の特別利益を計上しております。

また、業績が不振な子会社を整理したり、確定給付年金から確定拠出年金へ移行させるというところで、約3億円の特別損失を計上しております。

結果として、19億5,200万円という当期純利益になっているところです。

四半期別売上高推移と受注残高

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四半期別の(売上高推移と受注残高の)数字を見ますと、昔は(第1四半期の)1月~3月が一番高かったのですが、最近は10月~12月が高い傾向にありまして、この足元の第4四半期の(2018年)10月~12月が年間を通じて(高くなっています)。

この第4四半期の売上を見ますと、前期対比で16億円ほどマイナスになっていますが、その前年には大型の映画制作案件がありました。この売上がちょうど16億円でありますので、これを除くとほぼ前年並み。そうしますと、第1四半期でかなり大きく売上を落としましたが、第2四半期以降はほぼ前年並みの、前期対比98パーセントぐらいで推移しているところがわかると思います。

それから、この第4四半期末の受注残です。前年末の136億円に対して今期末が約132億円で、若干減少しているものの、その前の年の受注残には長期のクライアント直の案件で、かつ大型案件が入っています。ここも、これを除くとほぼ前年並みという受注残で、この新しい2019年に入ってきている状況でございます。

四半期別営業利益推移

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それから次に、四半期別営業利益の推移です。

この第4四半期を見ますと、一部の子会社で現場の稼働や原価の管理・効率化のために新しいシステムを導入していまして、その導入に伴う費用増加であったりとか、先ほどより申し上げています、利益率の高いプリント売上の減少等のマイナス要因があったりする一方で、実行利益率が改善していること。

それからこの第4四半期には、先ほどのお話にも出ました『万引き家族』という映画。AOI Pro.が出資・制作していますが、その配当収入が2億円強ございました。結果として、この第4四半期は、前年並みの営業利益を計上しているかたちになります。

事業区分別売上高

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それから、通期の売上を事業区分別に分けたものがこの表であります。

やはり、広告映像制作事業が受注コントロール・プリントレス等によって、大きく59億円減少している。

それから、2番目のその他制作が、広告映像以外の映画・ドラマ・イベント・デジタルコンテンツといった諸々の制作事業が含まれています。ここは、Web制作会社を売却したマイナス影響が8億円ぐらいある一方で、先ほど中江から「今後はPRやイベントに力を入れていく」という話をしましたが、すでにある子会社でもこのような数字が伸びています。トータルとしては、3億円の減少に留めているところです。

それから、ソリューション事業です。前々期は非常に大きく伸びたわけですが、前期については若干のマイナス。ただし、従来クライアントからのメディアの売上が(ありまして)、いわゆるテレビCMの媒体費です。この売上が前期対比で6億円程度落ちていますので、その影響を除くとほぼ横ばいという数字になっています。

それから海外につきましては、マレーシアの広告制作会社を新たに連結子会社化していまして、この分で売上が伸びているかたちになっています。

顧客別売上高

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また、これは売上を顧客区分別で見た表になります。電通・博報堂グループからの広告代理店向け売上は減少している一方で、広告主との直接取引は、ソリューション事業だけでなく映像制作とか、イベント・PR等も含めて増加していまして、全体の約3割を占めるところまできているところです。

媒体別売上高

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それから、媒体別売上高です。

これも、CMで流したものをWebで流したりとか、Webで流したものをCM(で流したり)となってきているので、なかなか切り分けにくいのですが、「おもに(この媒体で)」というところで切り分けた表がこの数字になっています。

全体として売上が下がっていますので、海外を除くと全体的にマイナスです。この「デジタルコンテンツ」がWebで流す動画や、サイトの制作といったインターネット関連の売上が区分されているところになります。先ほどもお話ししたとおり、Web制作会社を売却した影響で8億円ぐらいここの数字が落ちていますので、それを除くとデジタルコンテンツは前年並みぐらいなので、全体としてこのあたりの割合が高まってきているのは、ここでも窺えるところです。

以上が、前期の業績の概要です。

連結業績予想

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それでは、この2019年度の連結業績予想はどうなっているのかについて、ご説明したいと思います。

先ほど中江から中期経営方針で「量より質」というお話をさせていただきました。今期は働き方改革の推進により、なかなか現場に対して「トップラインをどんどん増やせ」という目標の貼り方は、やってはいけないと我々は考えております。

また、プリントレスも継続して、プリントの売上減少を今期の半分ぐらい、数字にして9億円ぐらいのマイナス影響があると見込んでおりますので、全体の売上高としては微増、ほぼ前年並みという計画としております。

一方、利益面におきましては、先ほど申し上げたようにプリント売上の減少で、ここは利益率が非常に高いので、7億円程度の利益のマイナス影響があると考えています。また、コスト面におきましては働き方改革や、先ほど申し上げたような業務領域の拡大というところで、人の採用・育成・強化、または業務委託費や償却費の増加等のコスト面での増加を、10億円強見込んでおります。

制作売上自体は若干なりとも増加を見込んでおりまして、また、これまでやってきました実行利益率の改善、それから不採算子会社の整理によるコスト削減で賄っていくわけですが、このマイナス要因を制作売上では、なかなか賄いきれないという状況です。この(営業利益の)業績予想につきましては26億円、前期対比だと8億円程度のマイナスという予想にさせていただいております。

2期連続でのマイナスですが、現段階としては、我々は今後のためにも必要な費用・投資をかけていかなければいけないと考えておりますので、この数字でいきたいと考えております。

配当について

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結果としまして、配当のところを見ていただきたいのですが。

配当方針につきましては、「連結配当性向30パーセント以上」を掲げてきておりまして、これはきちんと維持していくところです。ただ、先ほどの営業利益のマイナスとともに当期純利益も下がりますので、2019年12月期については、1株当たり20円の配当予想とさせていただいております。

配当性向については36.4パーセントということで、30パーセント以上を維持。かつ、みなさまにご迷惑をおかけしていますが、足元の株価が少し弱含んでおりまして、そのようなことも含めて、上限6億円の自己株式取得を発表させていただいておりますので、総還元性向は83.0パーセントと考えております。

引き続き、株主のみなさまへの利益還元は重視して行っていきたいと考えております。

動画広告事業における取組み

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最後に、各事業のおもな取組みの状況について、簡単にご説明したいと思います。

まず、主力の動画広告事業です。先ほど申し上げましたとおり、この2018年におきましても、プリントレスの進行により、プリント売上が前年の26億5,400万円から19億2,400万円に減少したというところです。約7億円減少しております。

一方で実行利益率は、外部支出原価の管理を徹底し、あまり率の悪いものは受注しないという受注コントロールをすることで上昇しておりまして、この2年で(2016年12月期の)31.2パーセントから(2017年12月期が)33.4パーセント、2018年が35.5パーセントということで、大きく改善してきております。

これはプリントも込みの全体の利益率ですので、制作だけでいうと前期比で2.5ポイントぐらい改善しているところです。

この2019年12月期については、引き続きプリントレスが進行すると(考えています)。ただ、進行速度が当初考えていたより少し遅い状況でして、なかなか読みにくいのですが、2019年12月期も引き続き減って、半分ぐらいになるかなと計画はしております。

一方で、制作自体の売上は若干増やして、トータルとしては制作の利益率の改善は引き続きやりますが、ここまでだいぶ改善しております。今期の計画としては1ポイント強ぐらいの改善を見込んでおりまして、全体としての動画広告事業の、外部支出を引いたあとの実行利益率については、前年並みぐらいを計画しているかたちになります。

ソリューション事業における取組み①

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それから、これまで力を入れてきておりますソリューション事業です。

ここはTYOの中にあります、直でクライアントへ営業を行う、オファリングマネジメント部門になります。2017年に非常に大きく伸びましたが、2018年はそこまでは伸びていないと(いうことです)。

ただし、今期2019年12月期につきましては、これまでわりと注力してきた新興企業のテレビCMだけでなく、ナショナルクライアントの幅を広げていくということで、デジタルの映像やイベント制作・運営・PRの受注も強化して、受注の幅を広げることで全体の数字を上げていこうと考えています。

この表の数字につきましてはメディア費が変動が非常に大きいので、メディア費を除いた数字で置かせていただいております。

ソリューション事業における取組み②

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それからもう1つ、ソリューション事業の担い手でありますオンライン動画を中心としたコンテンツの戦略立案・企画・制作・データ解析・メディア配信までをワンストップで提供している、Quark tokyoという会社です。

ここも、立ち上げた(ばかりの)2017年は非常に大きく伸びました。2018年は、大型案件の企画・コンサルがあった前期の2017年との比較では、売上が減少しております。ただ、動画広告の制作の売上は増加している状況であります。

今年(2019年)につきましては、この会社が得意としている若年層マーケティングを中心に、コンテンツの制作と配信事業をパッケージで売っていくことで、クロスセル・アップセルを目指していきたいと考えております。

なお先日、電通グループのインターネット広告会社でありますサイバー・コミュニケーションズと、若年層マーケティング領域における戦略的パートナーシップを構築することを発表しているところです。

海外事業における取組み

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それから最後に、海外事業です。2018年12月期においては、先ほども少し申し上げましたが、マレーシアのDTTグループという制作会社を子会社化することで、全体の規模が拡大しております。今期もM&A等を含めまして、東南アジアを中心とした海外事業の規模拡大を進めていきたいと考えております。

以上が決算の概要です。

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最後に、先ほど中江からも申し上げましたとおり、規模の拡大を示すようなEBITDAという具体的な数字については、統合前に発表した目標数値を今回はいったん廃止して、数字を出さないという経営方針にしました。

(ただし)持続可能性や株主還元等については継続的に重視していきます。当社の株主資本コストは、9パーセント弱ぐらいととらえておりますが、それを上回るROE(を達成する経営を目指します)。

ちなみに、2017年(のROE)は11.3パーセントでしたが、2018年については7.8パーセントというところで、この株主資本コストを若干下回ってしまっている状況です。これを上回るようにきちんと収益力をつけて、安定的な成長を目指していきたいと考えておりますので、引き続きご理解・ご支援いただければと思います。

以上でございます。

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