しかし現在は、管理職などの要職についていたり、若くても能力が高く仕事ができる女性の中には、結婚していたり、子どもがいたり、あるいは趣味を楽しんでいたりするケースも多く見られます。

結婚しているかいないかにかかわらず、好奇心旺盛でコミュニケーション能力が高く、いかにワークライフバランスを大事にするかを考えている女性が増えているのです。つまり、ドラマで描かれる、仕事しかしない無感情なロボットバリキャリのイメージは時代遅れであり、現実離れしていると言えます。

そんな状況にもかかわらず、いまだにドラマ内でロボットバリキャリが描かれている背景には、”仕事をバリバリこなし、プライベートも充実している女性像”というものを視聴者が想像しにくいという側面があるのかもしれません。

ドラマをはじめ、テレビ全体を通して今の視聴者の中心は40代以上の女性で、主婦層がメイン。寿退社が当たり前だった時代を生きた主婦たちにとって、自分とはまったく違うロボットバリキャリの働き方や人生を観ることができるのが、先に挙げたようなドラマなのかもしれません。

働く女性のイメージは相変わらず…

また、ロボットバリキャリに限らず、お仕事ドラマで描かれがちな女性イメージは、今でもかなり類型化・固定化されています。ドジでおっちょこちょいな新人、男性上司に取り入るぶりっ子、若い女性に意地悪するお局様などです。共感を呼ぶキャラクターもいれば、「現実にはそんな女性いるわけない!」と思うキャラクターも多くいます。

若年層を中心にテレビ離れが進んでいたり、現実とは違うと言われたりはしても、やはり世相を反映しているのがドラマ。現実離れしているロボットバリキャリが登場する作品も、もちろんフィクションとしてはとても面白いもの。

しかし、「仕事を頑張りたいけど、プライベートも考えるとバリキャリと仕事をセーブするゆるキャリとの選択に悩む」とか、「過去の実績があるだけに育休明けの職場復帰に得も言われぬ不安を感じる」というストーリーのような、もっとリアルなバリキャリ女性を映し出すドラマが出てきてもいいのではないか、と思ったりもします。

秋山 悠紀