「がっかりした」五輪相の失言にやまない批判

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東京五輪がいよいよ迫ってきましたね。前回から50年以上を経て再び日本での開催ということで、日本人選手の活躍に期待する方も多いのではないでしょうか。

しかし、そうした矢先に競泳の有力選手である池江璃花子選手の病気が発覚。それに対するオリンピック担当大臣の発言に批判が集まっているようです。

池江選手の病気に対して「がっかりした」

2月12日、池江選手が自身のTwitterで、「オーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、『白血病』という診断が出ました。私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」と公表しました。この発表後、同日16時に日本水泳連盟が記者会見を開き、正式に池江選手の白血病が公表されました。

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池江選手は、先のリオデジャネイロ五輪にも競泳女子代表として出場しており、東京五輪でも有力選手として期待されていましたが、本人はTwitter上で「日本選手権の出場を断念せざるを得ません」と発表しています。このニュースを受け、さまざまな著名人から、病状を思いやる言葉や、闘病経験者・その家族としての励ましの言葉などが寄せられました。

そうした中、桜田義孝オリンピック・パラリンピック担当大臣が「日本が本当に期待している選手ですからね。本当にがっかりしております」「盛り上がりが若干下火にならないかなと思って、ちょっと心配しています」と発言したことが報道され、批判を浴びています。

「治療に専念していただいて、頑張っていただきたい。また元気な姿を見たいですよ」といった発言もあったようですが、「オリンピック担当大臣としては、オリンピックで水泳の部分を、非常に期待している部分があるんですよね。一人リードする選手がいると、みんなその人につられて、全体が盛り上がりますからね。そういった盛り上がりが、若干下火にならないかなと思って、ちょっと心配しています」といった発言があり、「選手に対し配慮が欠けているのではないか」と指摘されています。

宇野昌磨選手との対比とネットの反応

この発言に対し、ネット上では、

「人の気持ちも理解できないのか?」
「むしろこの人の発言にがっかり」
「少なくともオリンピック担当大臣としてまったく不適格」
「メダルを期待する選手の前に18歳の女の子なんだよ」

といった批判が渦巻いているのです。

他方、先日、アメリカで行われたフィギュアスケートの四大陸選手権(男子シングル)で初優勝した21歳の宇野昌磨選手が、帰国後に空港での記者会見で池江選手について質問され、

「やはり自分が一番つらいことなので、僕がそんな無知な状態で発言できるほど何も知らないし、僕はその権利(発言する権利)はないと思います」

と話し、そのメディア対応が称賛を集めました。このコメントと対比して、

「素晴らしい21歳と恥ずかしい69歳。年金あげるから家で新聞でも読んでて欲しい」
「宇野選手の爪の垢を煎じて飲ませたい」

という声も上がっているようです。

以前の失言では海外からも注目!?

また、桜田大臣は、政府のサイバーセキュリティー戦略本部の担当大臣も兼務していますが、2018年11月の国会答弁で「自分でパソコンを打つことはありません」と答えたり、USBメモリーについて「使う場合は穴に入れるらしいですけど、細かいことは私はよくわかりませんので、専門家に答えさせます」と答弁したりしたことで失笑を買いました。

これは海外でも大きく報道され、イギリスの「ガーディアン」紙では、

「システムエラー 日本のサイバーセキュリティー担当大臣、コンピューターを一度も使ったことがないと認める」

と取り上げられたほか、「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」など多数の有力海外メディアでも驚きをもって報道されました。そうしたことに加え、過去にも失言で批判を浴びたことが幾度もあることから、今回の失言について、

「なんでこんな失言常習犯が大臣なの?」
「どういう適性で五輪とかサイバーセキュリティー担当とかに選んだんだよ?」

といった指摘も多く見られます。また、国際政治学者の三浦瑠麗氏もTwitterで、

「桜田大臣のこなれていない言動はホンネが出てしまう正直さと相まって、あきれられつつも微笑ましく許容されてきた。けれど、やっぱり何事も自分目線で発言してきたツケが、スター選手が白血病の診断を受けるという『他人の不幸』に接した時に出てしまうわけで、やはり思いやりと自らの客観視は大事だ」

とコメントするなど、この問題については多くの著名人が発言しています。

スポーツ選手に対する過去の大きな失言

ちなみに、スポーツ選手の病気に対する失言として最も有名なもののひとつは、プロ野球の読売巨人軍における、いわゆる「湯口事件」ではないでしょうか。

この事件では、投手として巨人に所属していた湯口敏彦選手がうつ病を患い、病状を悪化させていった後、1973年3月に変死してしまったのですが、それに加えて当時の監督であった川上哲治氏が「巨人こそ大被害を受けましたよ。大金を投じ年月をかけて愛情を注いだ選手なんですから。せめてもの救いは、女性を乗せての交通事故でなかった事です」と発言したと報道され、世論によって大バッシングを受けました。

この事件では、巨人のイメージが一時的に大きく低下したといわれ、同年秋のドラフト会議では、ジャイアンツにドラフト指名された選手が入団拒否をし、その理由に湯口事件のことを挙げる事態にもなりました。今回のオリンピックなどは特にそうですが、スポーツは国民の注目が集まり、多くの人の感情を揺さぶるようなものだけに、ひとつの失言が多くのファンによる大きなうねりになりやすいのかもしれません。

オリンピックを作り上げるのは選手だけではない

政治家の失言については、「マスコミが誰かを都合よく悪人に仕立て上げるための切り取り」という見方も多く、どう見ても印象操作というべき悪意のある報道も実際にあります。今回の件でも、産経新聞や日テレニュース24などでは会見の全文を参照できますし、ホリエモンこと堀江貴文さんはTwitterで全文記事へのリンクを貼って「マジでマスコミくそ」とコメントするなどしています。加えて、野党陣営がこの件を政局に利用しているという批判も巻き起こっています。

ただ、桜田大臣の失言は、上記のようにこれまで何度も問題になっていますし、今回についても池江選手の病状を気遣う発言も交えつつですが、「がっかりした」「盛り上がりが下火にならないか心配」という言葉選びは、五輪担当大臣としては、いささか無責任ではないでしょうか。

オリンピックやパラリンピックの主役は出場選手らですが、それを支えるのは組織委員会、ボランティア、行政、企業、サポーターなど数多くの人々であり、五輪担当大臣はそれを政府側でまとめるトップと言ってもいいでしょう。

今回の東京オリンピックに関しては、新国立競技場の問題、開催経費の膨張や東京都と組織委員会の対立など、ときに政治がからんだつまずきもこれまで何度もありました。オリンピックが巨大になりすぎ、政治的な側面も大きくなっているのは仕方のない面があります。しかし、それならばなおさら、オリンピックの盛り上がりを「選手任せ」にせず、政治の側でももっと支え、盛り上げていこうという発言があるべきだと思われますが、みなさんはどう思われますか?

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参考記事

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。