2019年2月4日に行われた、グリー株式会社2019年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:グリー株式会社 代表取締役会長兼社長 田中良和 氏
グリー株式会社 取締役上級執行役員 大矢俊樹 氏
Executive Summary
田中良和氏:田中です、よろしくお願いします。2019年6月期第2四半期の決算について、私からご説明いたします。
まず1枚目、Executive Summaryでございます。決算概要としては、売上高177億円、営業利益10億円、EBITDA12億円で、売上高、営業利益ともにおおむね計画どおりに着地しておりました。
事業の概要でございますが、現在足元で力を入れているのが、海外展開になっております。去年の終わり、第2四半期ですが、海外展開の準備をやっておりました。
「DanMachi」は、北米展開は行っていたんですが、さらにアジアにも広めていくということで、香港・台湾等への拡大が1つ目のトピックです。2つ目が「SINoALICE」の海外展開を進めておりまして、こちらも香港・台湾等から開始しております。ローンチ自体は1月なのですが第2四半期で「アナザーエデン」のグローバル版の開発を進めていました。
第2四半期は、マルチプラットフォーム展開の準備を進めておりまして、Nintendo Switch向けタイトル「釣りスタ」が1月にリリースされております。ライブエンターテインメント事業においては、VTuberが誰でも配信できるアプリ「REALITY Avatar」の提供を開始しております。
第3四半期の業績予想ですが、売上高165億~175億円、営業利益3億~8億円(の見込み)ですが、海外展開の貢献の部分と、同時に、新規タイトルの開発を進めているので、そちらを見込んだ予想になっております。
連結決算の概要は、大矢が説明します。
2Q 決算概要
大矢俊樹氏:よろしくお願いします。第2四半期の決算の概要となります。売上177億円、営業利益約10億円、EBITDA12億円という結果になりました。売上については、振れ幅としては「DanMachi」の海外展開等を見込んでおりましたが、想定を上回る売上となりまして、(全体の)売上としては想定ぐらいのレンジに収まりました。
営業利益は9億7,000万円で、若干レンジを割っております。補足いたしますと、注意書きの「※印の1番」に(記載が)ございますが、FY19 第1四半期以前の一部取引に係る変動費の修正として、第2四半期に1億6,000万円を計上しています。要は、経理処理の誤りがあり、1億6,000万円を費用の追加として第2四半期に計上いたしました。こちら(修正)を除いた第2四半期の営業利益は11億3,000万円で、ほぼ想定どおりの結果となっております。
売上高・営業利益・EBITDAの推移
売上高・営業利益・EBITDAのトレンドとなっております。このクォーターは、既存タイトルの運営をしつつ、「DanMachi」等の海外展開をしながら、第4四半期以降の新規タイトルの開発を本格化させた四半期でございました。結果として、営業利益率は5.4パーセントになりました。
営業利益分析
営業利益の分析でございます。コメントとしては、いま申し上げた開発投資の本格化であったり、過年度変動費修正等の影響がございまして、営業利益は(7億円減少の)10億円となりました。
2Q 費用構成
費用のトレンドを詳しくご説明したものが、8ページ目のスライドになります。変動費は72億7,000万円で、2億5,000万円ほど減少しております。広告宣伝費は、この四半期は効率的な投下を心掛けまして、前期比で約4億円ほど減少しております。
また、支払手数料も、トレンド感としては売上に応じて下がっていくわけでして、一部変動費等の修正がございましたが、ほぼフラットで、仕上がりとして変動費の合計はこの(スライドの数値の)ようになりました。
固定費についてですが、トレンド感としては「その他」で、前期比で4億3,000万円増加しておりますが、開発投資の本格化による外注費の増加になります。費用の合計は167億6,000万円になりました。
3Q 業績予想
第3四半期の業績予想になります。売上高が165億~167億円。営業利益は3億~8億円を計画しております。引き続き、既存タイトルの運営で利益を出しつつという展開になりますが、売上・利益に与える影響があるトピックを、コメントで書かせていただいております。
1個目が「アナザーエデン」の海外展開でございます。「DanMachi」の自社配信での海外展開が想定どおり、あるいは想定以上にうまくいったことで、次は自社IPである「アナザーエデン」の自社配信での海外展開を行ってまいります。
IPの力からして、売上的には貢献していくと見込んでおりますが、一方で自社IPの自社配信での海外展開になりますので、ユーザーベースを1から作り上げて、ユーザーコミュニティを各地に作り上げていくことが必要になります。
それなりのマーケティング投資や、ユーザーコミュニティの為のメディアをきちんと立ち上げていくなどの、長期的な展開も必要になってまいります。第3四半期に与える利益へのインパクトはそれほど大きくないわけですが、長期的に見て、事業的には転換点となるような取り組みとして期待しております。第3四半期は、これが一番大きなトピックとなります。
2番目は、グループ会社であるファンプレックス社が、他社さま、あるいは自社のゲームタイトルを買い取って運営する事業がございます。上期の事業の進捗を見まして、より筋肉質に事業構造を変えていこうと、不採算タイトルから撤退し、事業ポートフォリオを改善していくということで、下期にかけて取り組んでまいります。
したがいまして、売上的には数億円程度減少してまいりますが、不採算タイトルからの撤退ですので、収益的には今期はほぼフラットで、長期的にはプラスに貢献してくると考えております。
最後に、第2四半期に引き続きとなりますが、新規タイトルに対する開発投資を本格化してまいります。
第3四半期の予想は、このようなかたちとなります。
投資有価証券の状況
決算概要の最後となります。我々は財務基盤として、現状も非常に強固であると自負しております。その中で、我々の資産サイドで、投資有価証券の状況をスライドで1枚付けております。いままでここの状況を説明してきませんでしたので、市場のみなさまにご理解いただこうと、(スライドを)1枚付けております。
12月末で、固定資産に約170億円の簿価がございます。内訳としては、ベンチャーキャピタルへのLP投資、グリーベンチャーズならびに国内外のファンドに対しての投資持分になります。
投資事例にございますような会社さまへの株式投資を合計しまして、約170億円の簿価がございます。この時価がどうなっているのかということで、擬似的になりますが、ファンドについては長期の決算書での含み損益を反映して引き直しています。株式の持分に関しては、ラストファイナンスバリューで評価を実施いたしました。
その結果、170億円の簿価に対して250億円の状況になっています。客観的な数字でお示しできるのはこの数字までなのですが、我々がラストファイナンスとして受けたもので、その後も事業が順調に成長している会社さまもございます。
そちらは数字には表れませんが、アップサイドは確実に存在しているということで、それを含めますと250億円以上の価値はあると見ております。
それでは、事業の概要を再び田中からご説明いたします。
2Q 進捗
田中:事業につきましては、私から説明してまいります。第2四半期なのですが、引き続きゲーム、エンタメ、広告・メディアの3つの事業に注力にしております。この第2四半期の足元は、海外展開が大きく進展しました。
「DanMachi」「SINoALICE」の海外展開が始まりまして、加えて「アナザーエデン」自社IPの海外展開を開始しております。また、まもなく「消滅都市」新作のゲームを全世界でローンチすることを進めておりまして、第2四半期、第3四半期で大きく進展いたします。
コンソール向けは、配信プラットフォームの拡大でHTML5のゲームもやっておりましたが、今回コンソール向けのゲームも順次リリースされております。ライブ配信等ですが、リアリティアバターという、自分がアバターになって配信できる部分もリリースされております。広告・メディア事業は、メディア力を強化してマネタイズを進めてまいりました。
開発パイプライン
開発パイプラインです。現在、承認されているもので5本になっております。FY19までは、いま開発しているオリジナルIPがあと1本ほどリリースされるとお話しいたしました。また、FY20の7月以降でリリースされる予定のものを4本ほど作っております。
ゲーム・エンタメ事業のゲーム商品は横ばいに推移しました。オリジナルIPの育成に力を入れております。この意味なのですが、あとの話にも続きますが、ゲーム事業において高い収益力を目安にして長期的に実現すると考えたときに、我々はエンジンとIPとグローバルを展開しております。
結局、自分たちのIPを最終的には大きくしていかなければ利益率が高まらないと感じていまして、他社さんとのいろんなIPをやっていくのですが、我々としてはオリジナルIPの部分をどれぐらい大きくできるのか……そこを1つの大きな柱として考えているため、このトピックを上げさせていただいております。
オリジナルIPは簡単にできるものではないと思っていまして、他社さんを見ても長い期間をかけて育成していくことが重要だと思っていますので、引き続き投資を続ける考えでおります。
事業進捗
「アナザーエデン」ですが、メインストーリーの更新を行っております。12月25日に第2部ということで、新しい章をリリースしております。「消滅都市」も新しい章「0.」を追加しており、11月25日に提供を開始しております。
オリジナルIPの長期育成①
「消滅都市」は、さらなるロードマップを書かせていただいています。もともと5年前にリリースしたゲームではありますが、5年間着実に運営しております。ここで培ったユーザーベースをもとに、4月に新しい「消滅都市 – AFTERLOST」のリリースを控えておりまして、全世界で展開することを考えております。
オリジナルIPの長期育成②
同時にTVアニメを4月から放映することも並行して(進めて)おり、「消滅都市」をもう一段大きなIPにすることを考えております。ここでさらに全世界的なIPの認知を高めたうえで、次は2020年以降に、3Dで完全新作になった「新・消滅都市プロジェクト」を並行して開発しております。さらに大きなステップアップの要素となっております。
こうして長期でIPを育てながら、全世界でユーザーベースを高めていくことを投資していけるのが我々の強みかなと思っていますので、こういったIPを増やしていきたいと思っております。
ファンコミュニティの拡大①
ファンコミュニティの拡大ということで「SINoALICE」のコンサートや「ダンまち~メモリア・フレーゼ~」のさまざまなコラボを実施しました。
ファンコミュニティの拡大②
また「戦姫絶唱シンフォギアXD」では、ゲーム内でラジオ番組を配信したり、「NEWSに恋して」では、誕生日企画を行うなど、さまざまなメディアミックスやIPへのミックスを行いながら、コミュニティ拡大を実施してまいりました。
海外展開の本格化①
海外展開の部分に話を戻します。海外展開の部分は、収益的には非常に大きいと思っています。基本的には、日本で開発したものを言語的にローカライズして海外へ配信するということで、海外向けの開発費用は少ないもので維持できますので、利益率が高い事業と思っております。
「DanMachi」なのですが、自社で韓国、台湾、香港へ配信しておりまして、海外向けのマーケティングも自社で行います。北米もそうでしたが、日本からグローバルでオペレーションして配信することも実現するコンテンツになっております。
その結果ですが、11月は海外の部分が大きく上積みされております。こうしたかたちで売上面でも伸びていますが、利益構造といいますか、利益率の大幅改善が実現いたしました。
海外展開の本格化②
「アナザーエデン」をさらに大きく実現することにも取り組んでおります。(こちらは)歴史がありまして、そうはいっても自社オリジナルのIPを自社で配信して、成功すればもちろん一番いいのですが、難易度が高いので、我々としてはステップを踏んで進めておりました。
まずは、他社さんのIPで実現することや、自分たちのマーケティング手段ではなく他社さんのマーケティングのもとに配信していただくなど、そういったことを積み上げております。そのノウハウをもとに、自社IPでオリジナル配信をすることを下期から開始しておりまして、「アナザーエデン」も足元は順調でございますし、新作の「消滅都市」についても、期待できる状況になっております。
海外展開の本格化③
「SINoALICE」の海外展開も進めております。パートナーとの配信になっておりまして、香港・台湾等は11月28日(に配信開始)、欧米は2019年中に配信する予定で、いまは足元の作業を進めている状況でございます。
海外展開計画
(スライドで)一覧になっているのですが、この数ヶ月間で一番進んだのは、アジアパシフィックの香港・台湾・韓国などでのリリースです。北米については進んでいるところで、「SINoALICE」がリリースされます。
中国のメインランドは配信が止まっておりましたが、近いうちにどんどん配信されるかなと思っており、足元の準備を進めています。
加えて、足元の展開として欧州展開を新しく考えており、自社配信で進めるべく準備をしている段階です。こういったかたちで、自社・他社さんともに日本で作ったものをグローバルで配信することについては、一定の実績ができてきたと思っております。
マルチPF展開
マルチプラットフォーム展開は「釣りスタ ワールドツアー」を1月31日にリリースしております。収益的には大きなものではないのですが、これは自社IPで、我々としてはこういったかたちでHTML5、メッセンジャープラットフォーム、コンソール、モバイルと、いろんなプラットフォームでゲームを提供できるような会社となっていくという大きな道筋において、よい一歩だと思っております。
「REALITY Avatar」提供開始
VTuberのライブ配信が観られるアプリをリリースしていたのですが、誰でも配信できるアプリ「REALITY Avatar」を、10月22日より開始しております。こういったかたちで自分でも配信できますし、有名なVTuberも観られるということで、一段の進化を進めておりました。
メディア力の強化
メディア力の強化です。「aumo」が、Google Playのベストオブ2018を受賞しておりまして、メディア力の拡大は引き続き進めている状況です。また、クライアント数も拡大しておりまして、マネタイズも順調に進んでおります。
説明は以上になります。