政治家の失言は、これまでもたびたび報道され、注目を浴びていますね。今回は麻生太郎副総理の失言に大きな非難が集まっています。

麻生氏は2月3日、地元である福岡市芦屋町での国政報告会にて、少子高齢化に伴う社会保障費増に関して「(年を)取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違っている。子どもを産まなかったほうが問題なんだ」と発言して、大きな批判を浴びているのです。

麻生氏は翌2月4日、衆院予算委員会で「誤解を与えたとすれば撤回する」と述べました。しかし、同氏は失言の「常連」ともいえる存在で、幾度となく繰り返す「失言」と「発言撤回」に嫌気が差しているという人も多いのが実際です。

ネットの反応

この発言に関して報道されると、ネット上では即座に多くの批判や呆れの声が寄せられています。

「また失言かよ」
「いつものことじゃん。彼にとっては通常運転」
「『産まなかった』んじゃなくて、『産めなかった』状況には政治の責任があるんですよ」
「人を傷つけたなんてさらさら思ってないよね」

など、諦め&怒りの声や、辞任を求める声も見受けられました。

しかし一方で、

「誤解を生むようにマスゴミにきりとられるからね」
「またマスゴミが切り抜きで悪害報道してて視聴率稼げればなにやってもいいというマスゴミにうんざりする」
「たいしたことない発言にいちいち目くじら立てる馬鹿の集まり」

など、大手メディアの報道姿勢に疑問・批判を持つ人々も少なくありません。

これまでの失言の数々

ただ、麻生氏の失言は今回に限ったことではありません。最近でも、2018年11月には北九州市長で東京大学卒の北橋健治氏に対し、「(北橋市長は)学歴はいいよ。人の税金を使って学校へ行ったんだから」など、教育への公的支出への批判とも取れる発言をしたばかりでした。

また、今回の失言もそうでしたが、麻生氏は特に女性軽視とも取れる発言が目立ちます。政治家として活躍し始めた初期には、「婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」と演説し、2011年には講演で「日本ほど安全で治安の良い国はない。ブサイクな人でも美人でも、夜中に平気で歩けるのだから」と発言。また、2018年4月には財務事務次官であった福田淳一氏のセクハラ疑惑が起こった際、「セクハラ罪という罪はない」と話したり、「本人が申し出てこなければ、(事実認定は)どうしようもない」などセカンドレイプを促す発言をしたりしたことで批判が集まりました。

これらの発言に悪意はなく、同氏なりの「周りを楽しませたいというサービス精神の発露」だと言う人もいますし、セクハラに関する発言など、個別の発言に関しては「冤罪を防ぐためにまっとうな意見だろ」など擁護する声もあります。ただ、たとえば今回の「子どもを産まなかったほうが問題」発言については、すでに2014年12月に同様の発言をして批判されていたことを再び口にしています。さすがにこうした発言が続くと「女性軽視の意図はまったくない」とはなかなか受け取ってもらえないのではないでしょうか。

庶民と政治家の価値観が離れている?

金銭感覚・家庭観・景気状況など、政治家と庶民の価値観の乖離は今に始まったことではありませんが、昨今では政権内で特にジェンダー関連の失言も目立っています。麻生氏以外では、月刊誌に「LGBTカップルには生産性がない」と執筆した杉田水脈(みお)氏、「(結婚式に出席した際は)新郎新婦に『必ず3人以上産み育てていただきたい』と呼びかけている」と発言した加藤寛治氏など、枚挙にいとまがない状態です。

確かに、マスコミが政権党により厳しいのは日本に限らないことですし、こうした失言の中には、単にメディアの発言の切り取り方の問題で、全文を読むと意図がまったく違っていたりする話もあります。また、政権幹部の失言をここぞと攻撃する野党陣営に対しても、

「いい加減くだらないアラ探しやめろ」
「選挙やっても勝てないくせに、こういう嫌がらせで議員の給料を無駄にするなよ」
「もっと議論すべき大事な問題があるだろ」

といった声がネットでも上がっています。

しかし、批判が集まっている一因には、政権党に所属する政治家らが、自ら仕組みを整え、改善しようとするのではなく、単に国民を批判しているという点もあるのかもしれません。危機感や疑問を抱いている事象があるのであれば、国会などで大いに議論し、必要に応じて予算の分配・法整備・仕組みや制度の充実を図ることが、本来の政治家の役割でもあるのですから。

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