報道後の第一印象

既に各種メディアで報道されている通り、フォルクスワーゲン社(ドイツ、以下VW)による排ガス試験の不正問題が大きな社会問題になっている。今回のスキャンダルに関する詳細は省略するが、一部の部品メーカーの業績は、短期的に影響を受ける可能性もある。

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今回の不正問題の対象は、ディーゼルエンジン搭載の一部車種に限定される。元々、ディーゼルエンジンは日本車メーカーの弱点でもあり、海外でのプレゼンスは著しく低い。そのため、日本車メーカーが代替需要を取り込む可能性は低いと考える。ただし、この深刻なスキャンダルでVWのブランド価値の毀損が長引けば、不正問題の対象でないガソリンエンジン搭載車において、日本車が“火事場泥棒”でなくとも、想定以上に販売を伸ばすことはあり得るだろう(特に米国市場で)。

また、ドイツ国内にはボッシュを始めとする優良な自動車部品メーカーも多いため、VW向け売上の大きい日本の自動車部品メーカーは非常に少ないと見られる。

ただ、その中にあって、アイシン精機はやや例外だ。同社は、VW(傘下のアウディ等を含む)向けにトランスミッションを中心に売上を伸ばしており、全売上高に占めるVW向け比率は約10%に達している(2015年3月期実績)。この比率は、日本の自動車部品メーカーの中では突出して高い。今後、何らかの影響が出る可能性は否定できない。

現時点では基本的に、今回の不正問題の推移を見守るしかないと考える。その上で、問題の解決が進む過程で、日本の自動車関連企業に与えるインパクトを精査していきたい。

※本記事は個人投資家向け経済金融メディアLongine(ロンジン)の記事をダイジェスト版として投信1編集部が編集し直したものです。

【2015年9月27日 投信1編集部】

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LIMO編集部