株式市場の振り返り-日経平均株価は反落、新興市場暴落の余波を受ける

2019年1月30日(水)の主要指標(カッコ内は前日終値比)

  • 日経平均株価 20,556円(▲108円、▲0.5%) 反落
  • TOPIX 1,550.7(▲6.3、▲0.4%) 反落
  • 東証マザーズ総合指数 883.3(▲77.8、▲8.1%) 大幅反落

東証1部上場銘柄の概況

  • 値上がり銘柄数:351、値下がり銘柄数:1,730、変わらず:47
  • 値上がり業種数:4、値下がり業種数:29
  • 昨年来高値更新銘柄数:6、昨年来安値更新銘柄数:20

東証1部の出来高は14億3,896万株、売買代金は2兆4,801億円(概算)となり、いずれも前日より増加しました。今週は米国FOMC(29~30日)を始めとした多くのイベントを控えているため、前日に続いて模様眺めムードが強まりました。

しかしながら、後述する新興市場の暴落を受けた個人投資家の換金売りも多く出たと見られ、結果的に売買代金は2兆5,000億円弱まで膨らんでいます。

そのような中、日経平均株価はほぼ終日マイナス圏で推移しました。寄り付き直後には一時+42円高となったものの、すぐにマイナス圏へ沈んだ後、前場の半ばには一時▲137円安まで下落する場面が見られました。後場は膠着状態に入りましたが、結局は3桁の下落となる反落で引けています。ただ、終値では20,500円台を維持しました。

なお、TOPIXも同じような値動きとなって反落となりました。

東証マザーズ総合指数は記録的な大暴落、売買代金は連日で1,000億円超

東証マザーズの出来高は7,966万株、売買代金1,105億円となりました。出来高は前日より増えましたが、売買代金は少し減っています。サンバイオ(4592)の大暴落が他の医療バイオ関連株の急落に繋がり、それが次々と個人投資家の換金売りを誘発したと見られます。

売買代金は連日の1,000億円超えとなりましたが、ほとんどが投げ売り状態だったと推測されましょう。

そして、総合指数は▲8%超安の暴落となりました。この1日での下落率は、昨年秋から年末にかけての暴落時にも見られなかった記録的な暴落と言えます。今回の暴落で個人投資家の投資意欲が大きく減退した可能性があるため、早期の回復は難しいかもしれません。

“サンバイオ・ショック”で大日本住友製薬がストップ安、ソフトバンクも換金売りで急落

個別銘柄では、東証マザーズ市場で大暴落したサンバイオ(4592)と共同開発中の新薬に関し、その臨床試験が芳しくなかったことを嫌気された大日本住友製薬(4506)が▲19%弱安の暴落でストップ安となりました。ただ、その他の医薬品株で急落するものはほとんど見られませんでした。

また、個人投資家の換金売りの対象となったと見られるソフトバンク(9434)が一時▲5%安に迫る急落となっています。

その他では、前日発表したQ3累計決算が大幅減益となった大和証券グループ本社(8601)が▲6%超安の急落となり、他の証券株も総じて大幅下落となったのが目を引きました。

なお、私的整理の一種である事業再生ADR適用を発表した中堅自動車部品メーカーの曙ブレーキ工業(7238)は、一時▲26%超安の暴落となり、その後やや買い戻されましたが終値も▲18%安で引けています。

一方、信越化学工業(4063)が大幅上昇となり、東京エレクトロン(8035)やSUMCO(3436)など半導体関連株も値を上げました。

また、アサヒグループホールディングス(2502)が大幅高となり、武田薬品工業(4502)も大きく値を上げるなど、ディフェンシブ銘柄の一角が買われたようです。その他では、良品計画(7453)が続伸するなど小売株の一角が買い戻されたのが目を引きました。

新興市場(東証マザーズ)では、開発中の新薬の臨床試験結果が芳しくなかったことを公表したサンバイオ(4592)に売りが殺到し、結局は大量の売り物を残して▲26%弱安の大暴落(ストップ安)で引けました。また、そーせいグループ(4565)、アンジェス(4563)、ブライトパス・バイオ(4594)、ヘリオス(493)など医療バイオ関連株は軒並み急落となっています。

その他では、メルカリ(4385)も大幅安となるなど、新興市場は売りが売りを呼ぶ散々な1日だったと言えましょう。

葛西 裕一