そこで近郊にある保育園20か所ほどに片っ端から電話したところ、いずれも「定員に余裕がなく、一時保育を受け付けていません」「受付はできますが順番待ちです」という返答。一時保育でさえ子どもを預けることのできない現状を知り、再び保活に暗雲が立ち込めました。

そこで役所に直接出向き、「保育園の利用ではなくベビーシッターでも一時預かり扱いになるのか」と問い合わせた筆者。すると、「ベビーシッターを利用した証明となる領収書を提出してもらえれば、選考に加味できます」との返答が! かくして筆者は、ベビーシッターを利用することで保活を乗り切ろうと決意しました。

その時点で申し込み期限まで残り3週間を切っていました。そこからネットでベビーシッターを探し、3週間の中で2時間~3時間ずつ10回利用。この保活に使ったベビーシッター代はトータルで7万~8万円ほどでしたが、今後5年間もの間第一希望の保育園に預けて仕事をできることを考えれば必要経費とも言えるものでした。

すべての働く人が平等に利用しやすい保育園に

その後、11月中旬にベビーシッターを利用した領収書10枚を含む他の必要書類とともに申し込み、1月下旬に第一希望の保育園から合格通知を受け取った筆者。保育園に不利と言われる自営業者が、何とか保活を乗り切ることができたのです。

今回初めての保活を通し、会社員、派遣、自営業、パート、アルバイトと各家庭や個人の事情によって働き方が多様化する中で、働く親のセーフティネットである保育園が特定の働き方を想定していることに大きな疑問を感じました。

現在は、保育園入園のために書面上は離婚したことにするペーパー離婚や、就業中よりも圧倒的に不利な求職活動中のために、働いていないのに働いていることにする書類偽装など、保活に関するさまざまな抜け道が珍しくありません。筆者のように規定の条件下で点数を上げていくことも、ある程度の限界があります。

どんな働き方であっても、今後働く意思があるという人であっても、誰もが1点をもぎとるためにさまざまな苦労することなく保育園に預けられなければ、子育てに優しい社会とは決して言えないでしょう。

秋山 悠紀