親子、主に母親と子で英語圏へ語学留学をする母子留学。2020年に小学校3年生から英語教育カリキュラムがスタートすることが決まって以降、注目されている留学形態です。

母子留学の選択には、一番は早期から子どもにネイティブの英語を学ばせたい、海外生活を通して異国の文化に触れさせたいといった理由が挙げられます。しかし、そうした子どものための目的以外の意外なメリットもあるようです。

留学先の教育環境の特色

以前は、日本人が母子留学で訪れる国と言えばハワイやアメリカ、カナダといった欧米圏でした。しかし近年では、マレーシアやフィリピン、タイといった学費や生活費がリーズナブルなアジア圏が主流となっています。

特に、マレーシアはマレー系だけでなく、中国系、インド系といった多民族国家。多民族が共生する国で生活することで、コミュニケーション力が身につくだけでなく、差別や偏見、民族間の問題、戦争と平和、食文化、世界における日本など、これからの時代を生きる子どもが避けては通れないトピックについても、肌で学ぶことができます。

また、留学先によってはアートやスポーツ、自由な学びなど、決まりきった授業以外のプログラムも豊富にある学校で、さまざまなことが体験できることも。吸収力が高い子どもに、より多くの世界を知ってほしいと願うのが親の常。母子留学は、英語以外にもたくさんのことを学べる可能性のある教育環境と言えます。

父と子のコミュニケーションが逆に増える場合も

父親を日本に置いて、母親と子だけで海外で生活する母子留学。当然ですが、子どもと父親が離れて暮らすことの懸念材料は拭えません。「父親と離れて暮らすなんて子どもがかわいそう」といった見方もあるでしょう。

しかし、同じ家で暮らしていても平日は深夜帰宅、土日も疲れて寝てばかりであまり父親が子どもと触れ合っていないといった家庭も少なくないのではないでしょうか。父親が単身赴任や会社で働き詰めの家庭では、連休や長期休暇などでしか家族で旅行に行ったり、ゆっくり家で過ごしたりすることができないという状態も珍しくないでしょう。

そうした状態の家庭であれば、父親と子どもが一時的に離れて暮らす母子留学は、父親と子どものコミュニケーションにおいて大きなリスクはないと考えられます。実際に母子留学をした人に話を聞いてみたところ、「時間を見つけてはテレビ電話で会話するようにしていたから、日本にいる時より父子のコミュニケーション時間は増えた」という声もありました。

逆に、同じ家にいることで「いつでも話せる」と思い、忙しい父親は子どもとの会話が結果的におざなりになってしまうことも。父親の働き方や家にいる時間によっては、母子留学が父子のコミュニケーションを手助けしてくれる場合もあるようです。

ワンオペ育児の救いにもなるかもしれない

また、同じ家で暮らしているのに妻だけが子育てを担うワンオペ育児の人にも、母子留学は救いとなるかもしれません。