東京は2013年まで世界で最も高コストの都市でした。しかし、英エコノミスト誌の調査部門EIU(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)が2018年3月に発表した最新の『ワールドワイド・コスト・オブ・リビング』リポートによると、東京は11位にランキングを下げています。

この調査結果によると高コスト都市の1位はシンガポール、2位が同率でチューリッヒとパリ、4位は香港、5位はオスロと続いています。

1位のシンガポールの物価は?

長引く低インフレで東京は世界の他の都市に物価水準を抜かれており、それが高コスト都市でランクを下げた一因になっています。1位のシンガポールへ最近旅行などで訪れた方は、物価の高さに驚かれたのではないでしょうか。

シンガポールでの食事はホーカーと呼ばれる屋台で食べると200円〜300円と安く済ませることができますが、日本のようなクオリティを求めるとかなり高くつきます。ビジネス街にあるレストランのランチセットは軽く3000円ほどになりますし、酒税が高いのでそれなりのお店でディナーをする場合、お酒を飲むと2万円~3万円が相場です。

また、何より国土の狭いシンガポールは家賃が高いのが特徴です。シンガポール人の持ち家率は9割にのぼるので、賃貸物件は外国人向けとなり、ファミリー向けだと月額20万円〜40万円と東京に比べてもかなり高めです。同様にホテル代も年々高騰しています。

税金が安くて、経営者にとって仕事がしやすい都市であるシンガポールには世界中の成功者が集まっており、経済の中心地として存在感を増しています。今後もシンガポールに進出する会社や起業家が増えることになれば、さらに物価も上がることが予想され、気軽に旅行で訪れるのは難しくなってしまうかもしれません。

物価は安い方が良いのでは?

物価が安いならその方が良いと思う人もいると思います。実際に日本の外食はクオリティが高いのにも関わらず1000円以下で食べられるお店も多く、海外と比べると外食しやすいと外国人にも評判が高いのです。

日本で住む分には物価が安いことは問題ないですが、物価が安いことの大きな要因の一つは賃金の安さにあるでしょう。日本ではサラリーマンの平均年収は400万円ほどで年々下がる傾向にあり、賃金が上がらなければ物価もそう簡単に上げることはできないという負のループなのです。

それに比べて海外では賃金も上がり、それに伴い物価も上がっている国もあります。日本の大学卒の初任給は19万円ほどですが、シンガポールや香港では日本円で30万円以上を超える企業が数多く存在しています。

日本は外国人労働者にとっても賃金面で魅力に欠ける国になり、今後は日本に来るケースが減るかもしれません。少子高齢化に加えて外国人労働者の確保ができなければ国力の低下につながる可能性もあるでしょう。

少子高齢化の日本では不動産価格の暴落が起こる可能性も

先ほども触れましたが、物価の高さには不動産価格が一番影響すると言っても過言ではありません。日本の不動産は2020年の東京オリンピック後に値下がるとも言われていましたが、不動産業界ではそれより早く不動産価格が下がると囁かれているようです。