起業当初から正社員を雇用したいという相談を多く受けます。ただちょっと待ってください。人手が足りないからといって安易に正社員を採用しようとしていませんか? 負担にはならないでしょうか?

起業当初からの正社員雇用についてポイントを見ていきましょう。

起業当初から正社員を雇用するには覚悟が必要

起業当初は計画通りの売上が上がるかどうかわかりません。むしろ計画通りにいかないことの方が多いものです。

一方で、正社員を雇用する以上、必ず給与を支給しなければならないのはもちろんのこと、健康保険や厚生年金、雇用保険などの法定福利費や通勤交通費など多くの経費が発生します。しかも、これらは毎月、固定的に発生するものです。

一度、雇ってしまった以上、売上が思う通りに上がらないからといって、簡単にやめてもらうわけにはいきません。あなたはその人やその家族の生活を背負っているのです。正社員を雇うのは相当の覚悟が必要だということを深く認識しましょう。

起業当初に正社員を採用する際のポイント

では、正社員を採用すると決めたら、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。

まず、入社予定の方のモチベーションを確認しましょう。

起業当初は計画通りにいかないことがほとんどです。苦しい起業当初の時期、本当にビジネスを一緒にやっていきたいと思っているか、途中で仕事がなくなってしまうかもしれないというリスクを受け入れられるかどうか、リスクがあってもついてきてくれるかを確認しましょう。

モチベーションが高い人材であれば、今後ビジネスを進めていく上で、とても大きな戦力になってくれるはずです。

また、入社する人はなんでもやってやろうという気概がある人がいいでしょう。

起業は、大企業のように役割が明確に分かれていて、与えられた仕事だけをこなしていれば成り立つものではありません。社長も含め全員がなんでもやらないといけないのです。

特に売上が上がらないときは、自分の給料は自分で稼いでくるぐらいの気概が必要です。そのような人材であれば、経営の大きな支えとなることでしょう。

安定的な売上が見込める人材を採用することを考えるのもひとつの手です。今まで培ったノウハウや人脈を持ち、すぐに安定した売上を期待できる場合などが好都合です。

前職の仲間が合流してくれるのが理想ですが、前職会社との関係がこじれることのないよう慎重に進めていきましょう。トラブル回避の意味でも、あらかじめ弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しておくことをお勧めします。

中野 裕哲