まずは内容が豊富です。5個入っているシウマイの美味しさは言うまでもありませんが、その他にも鮪の照り焼き、鶏のから揚げ、玉子焼き、カマボコ、筍煮、切り昆布と千切り生姜なども添えられており、バラエティーに富んでいます。これらの副惣菜が主役のシウマイを引き立てていると言えましょう。

また、御飯の美味しさにもこだわっており、冷めた状態でも美味しいように工夫されています(弁当は冷めた状態で食するケースが多い)。これなら、これといった特徴のない幕の内弁当よりも魅力的と言っていいのではないでしょうか。

駅弁で屈指のバリュー・フォー・マネーを誇る

さらに、こうした豊富な内容で相応のボリュームがあります。女性やお年寄りの方で食べ切れない人がいるかもしれません。

しかも、860円(税込み、以下同)という価格も魅力的です。冒頭に記したような“人気駅弁ランキング”で上位を連ねる駅弁の多くは1,000円を超えており、1,500円以上するものも珍しくありません。もちろん、安ければいいというわけではありませんが、崎陽軒のシウマイ弁当に割安感を感じずにはいられない人も多いと思われます。

駅弁で最高のVFM(バリュー・フォー・マネー)を誇っているというのは言い過ぎでしょうか。

近年は度重なる値上げ実施、8年間で+110円も上昇

さて、その「シウマイ弁当」ですが、近年は値上げが続いています。直近10年間における価格推移を見てみましょう。なお、いずれも税込み価格です。

  • 2010年9月1日:750円(▲30円値下げ) 原材料価格の低下
  • 2014年4月1日:770円(+20円値上げ) 消費増税に伴う改定
  • 2014年8月1日:800円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰
  • 2016年9月1日:830円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰
  • 2018年9月1日:860円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰

原材料価格の変動をフレキシブルに価格に反映?

このように、主に原材料価格高騰(豚肉、帆立貝、小麦粉等)により、シウマイ弁当は8年間で+110円も値上げされました(値上率は約+15%)。ただ、2010年は逆に値下げが実施されるなど、原材料価格の変動を売値に反映するスタンスを取ってきたことが伺えます。

昨今の原材料価格高騰を勘案すれば、値上げは致し方ない気もしますが、割安感が徐々に薄らいできたことは否めません。それにもかかわらず、今でも1日に2万個以上も売れるところに、シウマイ弁当の根強い人気、固定ファンの多さを感じることができます。

来年予定の消費増税では軽減税率対象だが…

なお、来年(2019年)予定されている消費増税(8%→10%)に際しては、駅弁は軽減税率対象になります。したがって、少なくとも消費増税に伴う値上げはないと思われますが、原材料価格次第でまだわからないのが実情です。仮に価格据え置きとなれば、その割安感がさらに強まるかもしれません。

今後、崎陽軒のシウマイ弁当が、安定した強みを維持したまま、どのように発展していくのか注目したいと思います。

LIMO編集部