2018年11月22日に行われた、株式会社あらた2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社あらた 代表取締役 社長執行役員/COO 兼 営業統括本部長 須崎裕明 氏

2019年3月期第2四半期ハイライト

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須崎裕明氏:本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは早速ご説明をさせていただきます。

初めに、2019年3月期第2四半期のハイライトについてご説明をさせていただきます。今期につきましてはご覧の通り、売上は3.1パーセントの増収となっております。これは、引き続き好調な推移をしているドラッグストア業態の売上増加が、1つの大きな要因となっております。

カテゴリーで見ていきますと我々の主力でありますヘルス&ビューティ、それから中計の中で評価をしてまいりました家庭用品の伸びが大きく貢献をいたしました。

次に営業利益でございます。前年比は0.1パーセント増で僅かながらの増加で終了いたしました。要因といたしまして、今年の夏は異常気象ということで、比較的利益貢献度の高い夏の季節商品が不振でして、結果として0.1パーセント増におさまっております。

また経常利益につきましては、前年比で3.5パーセント減になりました。この原因はコミットメントラインの設定による費用、公募増資、転換社債の発行費用が主な原因となっております。

連結損益計算書

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詳細についてです。まず連結損益計算書につきましては、ご覧の通りでございます。売上・売上総利益・営業利益・親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年を上回る結果となりました。ただし経常利益につきましては、先ほどご説明しました通り、前年を下回っております。販管費につきましては、売上の伸び率以内におさまっておりまして、利益に対しては貢献をしたと捉えております。ただ、予想数値に対しては未達というような第2四半期の結果になっております。

売上高推移グラフ

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直近3ヶ年の売上の推移を見ますと、ご覧の通りでございます。第2四半期・期末ともに、前年を増加して順調に推移をしております。

業態別売上高(前年比較)

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次に業態別の売上です。売上比較が増加した要因といたしまして、今年もドラッグストアの伸長が大きく出ております。前年比で4.7パーセントの増加。そして売上構成比も48パーセントと半分に迫るような構成になってきております。ドラッグストアに対する戦略が年々大きくなってきていることが、当社の持続的な成長を支えているものと捉えております。その他の部分に含まれます国内のEコマース、海外事業、越境EC事業につきましても二桁の伸長となっております。

カテゴリー別売上高(前年比較)

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次に、カテゴリー別の実績を見てみます。構成比では約30パーセントを占めます化粧品を中心としたヘルス&ビューティが6.4パーセントと大きく伸長いたしました。インバウンドにつきましても、ここ数年続いている日本製品への信頼感が継続しておりまして、2020年のオリンピックに向けて訪日外国人も増えております。そんな観点から、ここも引き続きインバウンドについては期待をしています。

また洗剤等のハウスホールドが3.4パーセント増加しました。先ほど申し上げましたが、この中計で強化しております家庭用品につきましても6.3パーセントの増加です。ペット・その他につきましても、4.2パーセントの増加となっております。

紙製品の一部が1.4パーセント減になっておりますが、この紙製品の中にはいわゆるティッシュ・ロールといった家庭紙、オムツ・生理用品といった加工品というように、大きく2つに分類しているわけですけれども、現在オムツなどの加工品が少し苦戦をしております。

昨年1期では4パーセントほど減ですけれども、アウトバンドの影響が大きく出ておりまして、このような状況です。ただし、こういう紙製品の中でも、我々が国内で主力に販売をしているティッシュ・ロールといった家庭紙の分野につきましては、前年を2パーセント伸長するという状況で推移をしております。

連結貸借対照表

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貸借対照表は、ご覧の通りでございます。健全な経営体制構築に向けた施策として、自己資金比率は31.6パーセントと前年比では2.3ポイントの上昇をしています。貸借対照表については、ご覧の通りでございます。

下期計画

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現在進行中の下期の待遇についてご説明をいたします。ここに書いているように、利益貢献の高い商品の拡大・生産性の改善を現在進めております。後ほど少し説明をいたしますが、上期は少し計画を下回ったところで、なんとか回復をしていきたいと(思っております)。営業利益は97億円、経常利益は100億円を目指して進めてまいりたいと思っております。

足元の対策に加えて、事前質問ということで、利益率の改善・進捗具合と、その取り組みについてのご質問もございましたので、ここも一緒にご説明をさせていただきたいと思っております。

まず売上の回復・売上のさらなる伸長が、この下期では1つのポイントと捉えております。上期については前提とトントンぐらいの売上で推移しました。この要因としましては、先ほども述べましたように、この異常気象等で我々の主力である夏の季節商品、とくに殺虫剤が市場全体でも大変苦戦をしております。

下期については、そのようなことは予測しておりませんので、そういうものの回復はあるだろうと(思っています)。逆に夏物の商品は少し不振でした。これもちょうど下期に返品が発生するわけですが、この10月・11月の状況を見ましても、昨年よりもこのラインは大きく減っております。こういったところが当然売上とコストのところにくる影響で、こういうコストになっております。

そして、継続して進めてきた新規の取引とお得意先との取引については、拡大予想が確定したものがいくつか出てきております。

昨年ペットカテゴリーをジャペルへ移管し、完全移管が完了しております。今後はこのジャペルへ移管したものについても拡大策に入っております。このようなことから、下期の売上拡大につなげていきたいと考えております。

先ほど、事前質問にもあった粗利対策として、ここにも出ておりますように利益貢献の高い商品の拡大をして粗利につなげたいということです。ただ、この粗利では年々粗利率を上げていくこと自体が、そんなに簡単な状況ではなくなってきているとも捉えております。

そんな中で、カテゴリーの構成比を少し変えていくというようなことを進めております。

その1つの対策がジャペルでの一昨年のペット移管だったわけです。あらたとジャペルの中で分散していたペットカテゴリーを専業であるジャペルに完全移管をして、その強みを出して当然規模も拡大しますから、仕入れメリット・物流メリットなどを、このようなものにつなげることを進めております。

11月2日に開示をしました子会社である「ファッションあらた」は、化粧品・軽衣料の専門投資です。来年度の話になりますが、4月1日をもってあらたと合併統合します。

これもカテゴリー戦略の1つで、分散しているカテゴリーを集約して強化をしていきます。そして、先ほど申し上げましたように、当社の主力であるヘルス&ビューティと家庭用品の構成比については、もう少し上げていきたいと思っております。

我々が販売している商品の平均粗利・平均単価から見ていくと、このヘルス&ビューティ・家庭用品は比較的高いところにある商品群ですから、この辺りの構成比を上げたいと考えております。一方、ご質問にあった粗利率は営業粗利のことを指していると捉えておりまして、この商品の粗利ということだけではなくて、いわゆるコストのところの対策も必要と捉えております。

コスト対策につきましては、これからを見ていきますと、人件費は当然上がっていきますし、我々も社員に対する人件費は上げていかなければいけないという捉え方をしています。もう一方の運賃も、今後当然上がっていくんだろうと(思います)。

その辺りを踏まえながらコスト対策をどうするかと言うと、人件費につきましては間接業務の集約を積極的に進めております。それから、後ほどご説明しますが、RPAの活用ということで、一人当たりの生産性を高めていきます。

当然物流設備ですとか、物流に有効なマテハン(マテリアルハンドリング)の活用となって、物流面での生産向上も図ってまいります。ただ、物流面の対策として我々が考えているのは、大型センターをもってマエハンを入れれば、物流コストが下がることではないと捉えております。

個々のお得意先が持っている課題について、我々がそれぞれのお得意先とどうやって詰めていくかが大事だと捉えております。

具体的にどんなことをやっているかと言うと、例えば、お得意先とのあいだで発注単位の改善・納品回数の改善なども打ち合わせしています。発注単位に関しては当然我々の売り込む単価が上がって、物流効率が上がります。勤務効率も上がります。納品回数の改善は、直接運賃に効果を出しております。

一方、お得意先側も我々と同じような状況で、店頭での人員不足・賃金の高騰が課題になっておりますので、この辺りのところが納品の回数・陳列回数などの改善につながっていけば、お得意先のコストダウンにもなっていきます。このようなことについてお得意先と打ち合わせながら、実際に進めております。

細かい話になって恐縮ですが、VMIという手法がございます。これはセンターに納品する我々の商品の在庫管理を我々が行っていく。このようなことをして途中の横持ちコストなどを削減しようと、実際に行っております。

我々が削減できるのは、自社の小売コストとお得意先センターへ持っていく横持ちコストです。このようなものがなくなってきます。これをお得意先とのあいだでシェアをして、当然我々の利益とお得意先の利益にもつなげていこうとしています。実際、このようなことをいくつかの企業と開始しております。

一方、我々がお得意先の物流を受託しているケースもございます。これは我々の倉庫の中に各ベンダーさんから発注の都度納品をしてもらうのではなくて、逆に我々のところに在庫をしっかりおいて、その在庫を活用して有効率を上げ、在庫の横持ちコストを下げるということです。

これは、先ほど(ご説明した)お得意先に対するVMIの逆の効果として、このようなこともやっております。ですから、先ほど申し上げましたように、物流面でのコスト対策ということでは、本当に細かいところに入っていくわけです。個々のお得意先とそういうことを積み重ねながら、我々トータルの物流コストも下げていきます。

そしてそこに新しい物流センターであるとか、マテハンの効果も出していきたいと思います。そのようなことを進めているところでございます。

商品の対策もこういうことが実際に進んでおりますので、先ほど申し上げましたとおり、商品の構成を変える。そして粗利の改善をしていく。一方で、売上をしっかりやる。そして先ほど言いましたコスト対策をして経費を下げる。このようなところで下期の計画を達成に持っていきたい。そんなふうに進めているところでございます。

下期、事前質問についてそのご説明をさせていただきました。

カテゴリー強化:ヘルス&ビューティ

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中期経営計画の進捗状況です。中計の戦略としまして、やはりヘルス&ビューティの強化を進めております。先ほどの説明と重複しますので、来年度につきましてはファッションあらたを取り込んで、さらに強化をしていきたいです。

ファッションあらたの取り組みとして、どんな数値を目標にしているか(ということについてご説明いたします)。資料に2,600億円と書いてありますが、今期のヘルス&ビューティの着地が2,300億円ぐらいと予測しています。それを3年間で2,600億円に引き上げていきたいと思います。

我々が今までずっと立ててきた年度の繰り上げ計画は、年利103パーセントぐらいで推移してきましたが、来年度以降このヘルス&ビューティにつきましては105パーセントぐらいで計画していきたいと考えています。

カテゴリー強化:家庭用品

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中計から強化をしている家庭用品についてです。売上については順調に伸長しております。2019年3月期についても中計の2020年3月期の終了時点についても、現在予定をしているところで推移してございます。

Eコマース・海外事業

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Eコマース・海外事業につきましても順調に売上は伸長しております。Eコマースを担当する開発戦略部という部署がございます。そして、海外事業および越境ECを担当する海外事業部がございます。この2つの事業部の売上が資料にありますように、昨年比では112パーセントの増加となっております。

その前の年が129パーセントですから、少し下がっているように見えますが、この大きな要因は先ほどカテゴリーの紙で説明しましたとおり、今年はオムツのアウトバンドが急激に落ちたことがあげられます。先ほど、オムツのところで「前年を4パーセント割る」と説明をしましたが、この多くがアウトバンドの影響となっております。それを含めての112パーセントが下期の状況となっております。

生産性向上

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次に、間接業務の生産性向上、そしてシステム導入と業務の見直しによる作業時間の削減を行って、生産性の向上につなげていきたいと考えております。

現在管理部門における生産性の向上としまして、業務の軽装備化、RPAの導入、間接業務の集約という3つの施策をもって対策をしております。業務の軽装備化につきましては間接業務のシステム強化(に加え)、部門間・拠点間での横ぐしを刺して連携を図ることによって、重複した業務をなくしていき、それによって作業時間の削減を図ってまいります。

次に定型業務の自動化、いわゆるRPAです。10月から導入が開始されました。今後もこのRPAについては営業部門、物流部門に対しても順次活用してまいります。現在社内からは100項目ぐらいのRPA対象業務になっておりまして、それを順次検討して進めてまいりたいと考えております。

RPAの導入・業務の軽装備化に業務の効率化を図るということで、間接業務の集約にさらにつなげていこうと進めております。

公募増資・転換社債発行

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今年7月に公募増資・転換社債の発行を行っております。これにより、株式市場における流動性の向上と、投資家層の拡大を図ることができております。調達した約106億円については評価が必要である首都圏の物流投資、人手不足対策としてのマテハン機器の最新化にも投資を行って、さらなる成長へとつなげてまいりたいと考えております。

CSR活動①

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2018年4月からCSR本部を立ち上げております。当社のCSR活動全般を統括する部署として、CSRの取り組みを強化してまいりました。上期についてはCSR活動推進体制の整理と定期的な委員会活動、重点取り組みを目標に実行する分科会を設けて活動してまいりました。

CSR本部はSDGsなどの世界の共通目標をもとにして、戦略をあらたのCSR活動の推進としていきたいと考えております。現時点ではこれまで行ってきた活動や、継続して行う活動を明確にして、これまで外部に発信していなかった情報をなるべく定量化して、発信できる体制を構築してまいりたいと思っております。

CSR活動②

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CSR活動の状況についていくつかご紹介したいと思います。全国に約700台ある営業車両については、環境配慮車の割合が現状45パーセントですが、ハイブリッド化や電気自動車の導入によって、2021年9月までに全車両を環境配慮車にしてまいりたいと考えております。

これによって、ARLの環境効果はガソリンの使用量が現状よりも約45パーセント削減できると考えて進めているところです。

CSR活動③

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業務で使用している用紙・発行物の紙をCF別にリサイクル100のものへ全面的に切り替えてまいります。さらには各種帳票類もEレポート化してペーパーレス推進を行って、省資源化に努めてまいりたいと考えております。2021年3月期までにコピー用紙の35パーセントを削減するというところを目指して、現在進めているところでございます。

CSR活動④

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業界の大きな課題であります返品削減も継続して進めてまいります。グラフにありますように、年々返品数量については削減が進んでおります。今後5年間かけてこの返品数量を半減させたい。そして返品によって起こる廃棄物の量を2023年3月期までに2,000トン削減したい。このようなことを目指して、返品削減を推進しているところでございます。

CSR活動⑤

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最後に環境省との「3R」活動についてご説明をいたします。当社としては「3R」の中の「Reduce」として、ゴミを減らすことにつながる詰め替え商品、環境に配慮した素材の容器を用いた商品の販売を促進するキャンペーンを小売業さま・メーカーさまと共同で、昨年から実施しております。

この取り組みについては、昨年5社だった参加メーカーが、今年は11社に増加しております。小売業さまも昨年は23社でしたが今年は74社(と増加しております)。店舗数では昨年1,100店舗でしたが今年度はすでに4,700店舗と大きく増強しております。

流通全体でも注目度のある「3R」活動ですので、ここについては今後も積極的に進めてまいりたいと思っております。

以上をもちまして、私からのご説明とさせていただきます。

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