2018年11月22日に行われた、株式会社エス・ディー・エス バイオテック2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社エス・ディー・エス バイオテック 代表取締役社長 高橋順一 氏
株式会社エス・ディー・エス バイオテック 理事 管理部長 深澤良彦 氏

2019年3月期第2四半期決算説明会

高橋順一氏(以下、高橋):エス・ディー・エス バイオテックの高橋でございます。本日はお忙しい中、当社の2019年3月期第2四半期の決算説明会にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。資料は、お手元の資料に沿ってご説明させていただきます。こちらの(スクリーンに投影している)スライドと同じでございます。

本日ご説明申し上げる内容ですけれども、最初に当社を取り巻く環境について。2番目に、決算概要について。3番目に、今後の取り組みという順番でご説明させていただきたいと思います。決算概要につきましては、本日同席しています、管理部長の深澤よりご説明させていただきまして、最後の今後の取り組みに関しましては、再度私からご説明させていただくという順番でございます。

国内の農薬市場環境

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初めに、当社を取り巻く環境についてご説明申し上げたいと思います。

このスライドは、もう毎回ご覧になっていただいているものなんですけれども、国内農薬市場のグラフでございます。ご覧のとおり、金額ベースでほぼ横ばいで推移しています。市場の急速な拡大は期待しにくい状況でございます。

ただ、前年から横ばい傾向にあります国内市場においても、長期的には食料自給率の低さとか、食の安全・安心への意識向上を背景にして、「農薬事業の重要性は、国内においても増していくのではないか」と考えているところでございます。

海外の農薬市場環境

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一方、こちらのグラフですけれども、こちらも毎回ご覧いただいています海外市場の状況でございます。ブラジルなど、需要の牽引役となっている新興国において天候不順・穀物価格の下落、それに伴った過剰在庫の問題などから、2015年・2016年は前年実績を下回りました。

ただ、今後の農薬市場環境につきましては、中長期的には、なんと言っても人口がどんどん増加していくこと。それから、バイオ燃料開発に伴う食料・作物増産の必要性は、今後とも高まっていくと考えられますので、それに伴う農薬事業需要は拡大傾向にあると考えているところでございます。

販売構成の状況 2018年3月期実績

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こちらのスライドですけれども、2013年から前期までの地域別売上高の推移をお示ししています。当社は自社製品の海外展開を積極的に進めていまして、成長が見込まれる海外市場での市場拡大に取り組んでいるところでございます。

前期は残念ながら、横浜工場の火災事故の影響によりまして、「ダコニール」関連剤の海外売上高の減少がございましたけれども、水稲除草剤の「ベンゾビシクロン」につきましては、昨年(2017年)アメリカ・南米のコロンビアで登録を取得いたしまして、続いて、本年(2018年)4月には中国で登録を取得したことで、今後海外販売数量の増加に寄与していくと考えています。

当社といたしましては、「ダコニール」及び「ベンゾビシクロン」を中心に、製品ブランド力・技術力を最大限に活かして競争優位性を確保することで、安定した国内事業基盤を強化しつつ、中長期的に成長が見込まれる海外市場での積極的な市場拡大を目指していくという方針でございます。

この後の決算概要につきましては、最初に申し上げましたとおり、管理部長の深澤よりご説明させていただきたいと思います。

2019年3月期2Q累計実績

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深澤良彦氏:ただいまご紹介いただきました、管理部長の深澤でございます。これまでご説明いたしました、当社を取り巻く事業環境の中での当社決算概要につきまして、ご説明申し上げます。

まず、2019年3月期第2四半期の当社の(累計)実績をお示しいたします。

世界的な「ダコニール」需要の増加により、当社主力製品である「ダコニール」関連剤の需要は旺盛であるものの、「ダコニール」関連剤を生産する当社横浜工場は本年(2018年)2月12日に発生した爆発火災事故の影響により、「ダコニール」原体の生産は未だ停止しており、需要に対応できない状況となっています。

その結果、第2四半期における売上高は49億6,000万円と、前年同期比8億1,300万円、14.1パーセントの減収。営業利益は3億100万円と、前年同期比7,200万円、19.3パーセントの減益となりました。

続いて、経常利益は3億600万円と、前年同期比2億8,800万円、48.5パーセントの減益でございます。さらに、火災損失として特別損失2億700万円を計上した結果、四半期純利益におきましては6,300万円と、前年同期比3億3,200万円、83.9パーセントの減益となりました。

2019年3月期2Q累計/品目別売上高

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続きまして、品目別の売上高についてご説明申し上げます。

当社の主力分野である殺菌剤の売上高は10億5,000万円と、前年同期比12億2,700万円、53.9パーセントの減収となりました。先ほどもご説明申し上げましたが、これは主に、横浜工場火災事故の影響により、海外向け「ダコニール」関連剤の出荷が減少していることによるものです。

次に、大きな柱である水稲除草剤分野の売上高は15億6,400万円と、前年同期比1億500万円、6.3パーセントの減収となりました。これは主に、前期末における販売時期が前倒しの出荷になったことによる影響によるものです。

緑化関連剤の売上高は12億800万円と、前年同期比7,100万円、6.3パーセントの増収となりました。これは主に、「カルブチレート」関連剤の出荷が好調だったことによるものです。

殺虫剤の売上高は3億3,800万円と、前年同期比2,900万円、9.5パーセントの増収となりました。これは主に、DC油剤の出荷が好調だったことによるものです。

その他製品は7億9,900万円と、前年同期比4億1,900万円、110.4パーセントの増収となりました。これは主に、「ダコニール」原材料の販売によるものです。

2019年3月期2Q累計/地域別売上高

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続きまして、地域別の売上高をご説明申し上げます。

これまでご説明申し上げましたとおり、海外向け「ダコニール」関連剤の販売数量減少により、アジアを中心に減少となりました。なお、国内「ダコニール」関連剤につきましては、手持ちの在庫を優先的に出荷したため、国内販売に大きな影響はございません。

2019年3月期2Q累計/損益計算書

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続きまして、こちらには当上期の損益計算書をお示ししています。

これまで説明してまいりました売上高・利益関係以外で変動の大きい項目は、営業外収益の項目でございます。この差は、当社が出資しています中国「ダコニール」原体製造会社において、「ダコニール」原体新工場の設立に伴い、昨年度は無配とすることを決定したためでございます。

2019年3月期2Q累計/営業利益増減分析

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続きまして、前年同期比の営業利益増減分析をお示ししています。

前年同期の営業利益3億7,300万円に対して、当上期は営業利益3億100万円と、7,100万円の減益となりました。これは、「ダコニール」関連剤の海外販売数量減少と、中国原材料価格が全体的に上昇していることが主な理由でございます。

2019年3月期2Q累計/貸借対照表

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続きまして、2018年3月末と当第2四半期累計実績の貸借対照表をお示ししています。

流動資産は81億1,200万円と、13億5,500万円の減少となりました。これは主に、これからの需要期に向けたたな卸資産の増加があったものの、現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少によるものです。

固定資産は51億4,700万円と、4億2,900万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産の増加と投資有価証券等の時価評価増加によるものです。

流動負債は40億3,000万円と、2億1,700万円の減少となりました。これは主に、買掛金や未払費用の増加等があったものの、1年内返済予定の長期借入金が減少したことによるものです。

固定負債は34億5,700万円と、6億8,100万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少によるものです。

以上、決算概要をご説明申し上げました。続きまして、今後の取り組みにつきましては、社長の高橋よりご説明申し上げます。

当社の強み

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高橋:それでは、今後の取り組みにつきましては、再度私からご説明申し上げたいと思います。

こちらに、当社の強みをお示ししています。研究開発型の企業として、これまでで最も大きな成果は「有力な原体を保有していること」でございます。そのメリットは、表の左上にお示ししていますけれども、この3点でございます。

この表の右上にお示ししていますけれども、有力な原体を保有することで、自社単独の製品だけではなく、他社の原体とも混合した製品の開発が可能になってくる点でございます。このメリットをフル活用することによりまして、下の真ん中の図ですけれども、緑色の矢印でお示ししている、以下の生産・販売体制をとることが可能であります。

この「提案型販売体制」と「最適生産体制」が、研究開発への経営資源の投入を支えているという構図でございます。

経営戦略

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次に、当社の経営戦略について、この図でご説明したいと思います。

当社は研究開発力の強化を通じまして、国内事業の収益性を改善し、併せて海外事業の収益を拡大して、それらを原資に財務体質を強化する。それで、さらなる研究開発力の強化に結びつけていく。この成長サイクルを作り上げることを、基本的な経営戦略としているところでございます。

こちらに、そのための当面の対処すべき課題をお示ししています。その中で海外事業の収益拡大として、「ベンゾビシクロン」の海外展開がございます。直近では、アメリカ・南米のコロンビア・中国での登録取得を足がかりとしまして、市場拡大を目指してまいりたいと思います。また、南米に次ぐ成長マーケットでありますアジア圏において、基幹防除剤である「ダコニール」製品の普及に力を入れてまいりたいと思っています。

重点施策

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ここからは、当社の重点施策をご説明申し上げたいと思います。

1つ目は、横浜工場の爆発・火災事故への対応でございます。2つ目として、殺菌剤分野の取り組みでございます。最後に、水稲除草剤分野の取り組みでございます。

横浜工場爆発・火災事故への対応

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まず最初に、横浜工場関連ですけれども、本年(2018年)2月12日に、当社横浜工場を原体製造設備におきまして爆発・火災事故が発生いたしました。

事故原因につきましては、社外の学識経験者及び専門家を招聘した事故調査委員会を設置いたしまして、詳細な事実関係の調査及び原因の徹底的な究明を行い、6月に最終報告書を受領いたしました。

再発防止策といたしまして、事故原因となりました粉塵爆発への確実な対策を実施するほか、横浜工場で使用するすべての化学物質について危険有害性を再評価して、リスクアセスメントを実施いたします。また、横浜工場だけではなく、全社的な安全管理体制の強化・改善を進めているところでございます。

さらに、事故が起きました2月12日を全社の「安全の日」として制定いたしまして、二度とこのような重大事故を繰り返さないよう、安全文化の醸成に努めてまいりたいと思っています。

原体製造設備につきましては、現在再建工事を進めていまして、来年2019年2月より、試運転を開始する予定でございます。

殺菌剤分野の取り組み①

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続きまして、殺菌剤分野の取り組みについてご説明申し上げたいと思います。

当社主力製品であります殺菌剤「ダコニール」原体ですけれども、複数の外部の資料から、世界的にその需要が増加し続けるという報告がなされています。

殺菌剤分野の取り組み②

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その要因といたしまして、「ダコニール」原体は複数の作用点を持つことから、耐性菌の発生の報告例がございません。

さらに、幅広い作物・病害に使用されることから、殺菌剤分野における基幹防除剤として、世界中で使用されているところでございます。

また近年では、新規殺菌剤の耐性菌発生を防ぐために、異なる作用の原体を組み合わせた混合剤化、あるいは薬剤ローテーションの取り組みが進められています。「ダコニール」はその特徴を活かして、世界的な需要が増加していくと考えられているところでございます。

当社の「ダコニール」ブランドは、国内外で高く評価されていまして、引き続きこのブランド力のさらなる向上と、「ダコニール」原体の他社殺菌剤との混合剤化によって、販売数量の最大化を目指してまいりたいと思っているところでございます。

殺菌剤分野の取り組み③

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次のスライドですけれども、海外向け「ダコニール」といたしましては、主にフィリピンのバナナ農園をはじめといたしまして、東南アジアを中心に出荷・販売をいたしています。

高品質な「ダコニール」ブランドは、海外でも広く認知されているところでございまして、先ほどご説明いたしました世界的な需要増加の追い風に乗りまして、当社の海外販売数量も年々増加しているところでございます。

さらに、出資いたしました中国企業からの原体供給が、販売数量の増加あるいは利益改善に貢献しているところでございます。当期は残念ながら、横浜工場の事故の影響によりまして、需要のすべてに対応できていませんが、当社製品の需要は強く、来年(2019年)2月の試運転開始に向けまして注力していくとともに、出資先の中国原体製造会社とも協力をしながら、一刻も早く安定供給再開に努めてまいりたいと思っています。

殺菌剤分野の取り組み(国内新規剤)

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一方、こちらは国内新規殺菌剤に関してですけれども、本年(2018年)1月に無機銅殺菌剤「クプロシールド」を上市していまして、市場からは高い評価を得ています。

「無機銅殺菌剤」とは、環境負荷が非常に低く、近年注目されている有機栽培にも使用できる製品でございます。また銅殺菌剤は、耐性菌発達のリスクが非常に低い剤でして、他の薬剤で耐性菌が発生した病害にも有効な薬剤と言われています。

「クプロシールド」は、「ダコニール1000」が効果を示さない細菌病に対しても高い効果を示すことから、当社は殺菌剤分野において「ダコニール1000」を補完する、新たな市場を開拓することとなると考えています。今後、さらなる適用作物・病害の拡大を進め、販売数量の増加を目指してまいりたいと思っています。

水稲除草剤分野の取り組み(国内)

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続きまして、水稲除草剤分野における取り組みについてご説明申し上げたいと思います。

国内におきましては、「ベンゾビシクロン」をはじめとする水稲除草剤の、4原体がございますが、これの混合剤戦略を継続して、市場を確保してまいりたいと思っています。スライドの下にお示ししている表ですけれども、他社が販売する、当社4原体を含む新規混合剤の各年の上市数をお示ししたものでございます。これらの上市された混合剤は、今後販売数量の増加とともに、当社の利益に貢献していくことになると思っています。

国内の水稲市場は、主食用の米需要の減少に伴いまして漸減傾向ではございますけれども、当社4原体の特徴を活かした提案型販売体制による、積極的な混合剤開発によりまして、販売数量の維持・拡大に向けた施策を講じてまいりたいと考えています。

水稲除草剤分野の取り組み(海外)①

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次のスライドからは、海外の展開になります。

近年、世界の水稲栽培におきまして広く使われていました、ALS阻害型除草剤に対する抵抗性雑草が、非常に深刻な問題になってきています。この写真でお示ししていますのは、ALS阻害型除草剤を散布した後の写真でございます。この写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、これまでは、ほぼすべての雑草を防除できていた除草剤に対しまして、このスライドの白い部分や黄色い部分のように抵抗性雑草が発達してきています。

このような雑草は、稲の生育不良とか品質低下を招くために抵抗性雑草を防除できる、新しい作用性を持った水稲除草剤が望まれていたわけでございます。

水稲除草剤分野の取り組み(海外)②

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当社の水稲除草剤「ベンゾビシクロン」は、アメリカやコロンビア、中国の水稲用除草剤としては新規の作用性を持ちまして、現地の問題雑草でありますカヤツリグサ科雑草に対して高い効果を示すだけではなくて、ALS阻害型除草剤抵抗性の雑草に対しても高い効果を示すことから、抵抗性雑草対策剤としても大いに期待されているところでございます。

水稲除草剤分野の取り組み(海外)③

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昨年(2017年)登録を取得いたしました、アメリカ・コロンビアでは既に販売が開始されていまして、現地では非常に高い評価を受けているところでございます。

抵抗性雑草対策剤としての高い期待を背景にいたしまして、引き続き「ベンゾビシクロン」の海外展開に取り組んでまいりたいと思います。2017年にはアメリカ・コロンビアで登録を取得いたしまして、本年(2018年)4月には中国で登録を取得いたしました。

今後は、ヨーロッパなどで現地試験・登録作業を進めることで、さらなる販売地域の拡大と販売数量の増加を目指してまいりたいと思っています。

2019年3月期通期業績予想

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続きまして、2019年3月期の通期予想をご説明申し上げたいと思います。

事故の影響によりまして、この数値はようやく先月、(2018年)10月22日に発表したものでございます。「ダコニール」原体生産再開までの販売数量減少によりまして、売上高につきましては、前年比11.8パーセント減の114億円と予想しています。

利益に関しましては、営業利益が7億円・経常利益が6億8,000万円で、火災損失として特別損失約4億円の計上を予定していることから、当期純利益は2億円と予想しているところでございます。

表の一番下に、織り込み条件の1つであります円ドル為替をお示ししていますけれども、当期は1ドル110円と想定して、この数字を見ています。現在、1ドルが113円前後と円安基調で推移していますけれども、当社としては海外販売比率が高いので、円安はプラス側に働くということでございます。

株主還元

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次に、株主還元についてご説明申し上げたいと思います。

利益配分につきましては、将来の事業展開と、経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としています。中長期的には、売上高営業利益率10パーセントの利益レベルを前提といたしまして、年間30パーセント程度の配当性向を見据えるということですが、そうしながらも、安定配当を第一に考えてまいりたいと思っています。

従いまして、前々年・前年とインド関連で損失を発生させましたし、今期も火災事故の発生がありましたけれども、25円の配当を継続していきたいと考えているところでございます。内部留保資金につきましては、経営体質の強化・研究開発等のために有効活用し、今後も企業価値の向上を目指していきたいと思っています。

設立50周年記念株主優待の実施

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最後になりますけれども、これももう開示していますけれども、今期、私どもの会社は設立50周年になります。50周年記念ということで、株主優待の実施についてご説明申し上げたいと思います。

当社は今年(2018年)の10月7日をもちまして、設立50周年を迎えました。ついては、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝の意を表すために、設立50周年記念優待を実施することとした次第でございます。当期末に1単元以上を保有されている株主さまを対象に、一律1,000円のクオカードを贈呈する予定でございます。

本日、私どもからの説明は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

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