2018年12月12日に行われた、日本サード・パーティ株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:日本サード・パーティ株式会社 代表取締役社長 森豊 氏
日本サード・パーティ株式会社 取締役新規事業開発本部長 為田光昭 氏
日本サード・パーティ株式会社 取締役管理本部長/コーポレートコミュニケーション室長 伊達仁 氏

企業概要

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伊達仁氏(以下、伊達):それでは、私伊達から、会社概要と決算概況についてご説明させていただきます。お手元の資料と(前方のスクリーンに)映し出すものは、すべて同じ資料になります。3ページからです。

本日、初めて(弊社の決算説明会にご来場)の方はいらっしゃらないかもしれないのですが、最初に企業概要ということで、少しおさらいさせていただいて、そのあと決算説明に入らせていただきます。

弊社は、「メーカでもユーザでもない、第三者の『サード・パーティ』という立場から、高い専門性と技術を兼ね備えたサービスを提供すること」を目的に設立された会社となります。

会社概要

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概要としては、4ページに記載のとおりです。

本社は今、品川駅近くの品川区北品川の御殿⼭トラストタワーに構えております。設立は1987年になりまして、今年(2018年)で32年目に入ったところです。従業員は388名で、パートナー等を入れますと、600人近い規模で事業を行っております。

⽇本サード・パーティについて

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ちょっと(ご説明が)ダブる部分はあるのですが、日本サード・パーティ(JTP)について、ポイントを3つにまとめたところが、5ページ目になります。

日本サード・パーティは(日本に)進出する海外のテクノロジー企業向けに、テクニカルサービスやトレーニングなどの技術サービスのアウトソーシングを提供する会社として、1987年に設立されました。

「日本で、メーカでもないユーザでもない、第三者の『サード・パーティ』という立場から、高い専門性と技術を兼ね備えたサービス提供を行っていきたい」ということが、日本サード・パーティの社名の由来となっております。

3点目ですが、直近においては「海外のお客さまの日本における事業展開をサポートするだけではなく、日本国内の(エンド)ユーザ企業さまに対しても、ITにおける新しい選択肢・サービスを提供したい」という思いで、弊社独自のサービスブランドを立ち上げて展開しております。これは後ほど、また詳しくご説明させていただきます。

事業構成

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事業構成でございます。

弊社の事業セグメントは5つに分かれておりまして、上の4つを社内では「既存事業」と呼んでおります。(一方で、一番下の)「その他事業」の中に(本日)最後に説明します事業セグメントが含まれており、弊社では「新規事業」と呼ぶようにしております。

既存事業は、創業以来ずっと続けてきた事業が大半です。

教育ソリューション事業は、いわゆるエンジニア教育などの事業を中心に行っております。

ICTソリューション事業は、一番大きな所帯を構えているセグメントになるのですが、ICTシステムの設計・構築・運⽤・保守サービスという、設計・構築から運用・保守までの一気通貫のサポートをしている部隊となります。

ライフサイエンス事業につきましては、少しICTとは異なるように思われるのですが、医療機器や化学分析装置。我々は最初、そのようなICTを「応用的に使われている」という表現をしていたのですが、そのような分野の事業も、創業以来のかなり早い段階から取り組んでおりまして、最近でやっとICTとの融合事業が出てきたセグメントになります。

最後が、西日本ソリューション事業になります。ちょっと特殊な地域性があるのですが、西日本地域のお客さま向けに、ICT事業とライフサイエンス事業を行っているセグメントになっております。

業績トレンド

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業績トレンドは、過去6年の実績となります。

前期の2018年3月期まで、先ほど申し上げた既存事業の収益性の改善をテーマに取り組んでまいりまして、その利益が徐々に積み上がってきました。そのため、その利益をもとにAI分野への先行投資を行っております。

今期は減益の見通しですが、売上高については増収基調をずっと維持できているかなと考えております。

2019年3⽉期 第2四半期決算実績

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それでは、おさらいはこれぐらいにしまして、2019年3月期第2四半期の決算実績です。

こちらにちょっと2行で書かれていますが、これは第2四半期のまとめになります。「AI分野への対応スピード、機動力を重視して、先行投資による減益となるも、受託業務量は堅調に推移し、増収を確保している状況」でございます。

詳細につきまして、また掘り下げてご説明していきます。

2019年3⽉期 第2四半期決算サマリー

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9ページです。

第2四半期決算サマリーということで、実績については記載のとおりなのですが、売上高が25億3,400万円、営業利益が7,000万円という結果となりました。

これは、既存事業の堅調な実績を背景に、引き続きこの利益をAI・RPA関連の新規事業に対して先⾏投資し、事業拡⼤に向けてさらに加速していこうということです。今期は前期よりも多くの投資をかけていこうということで、このような成績となっております。

実績と期初計画について、弊社は通期見通ししか公表していなかったのですが、やはり通期だけではなかなか事業進捗が見えにくいということで、今回の資料につきましては、半期の期初計画の数字を入れさせていただいております。今後は、半期の見通しの公表も視野に入れて取り組んでまいりたいと思います。

セグメント別の売上⾼推移

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次のページが、先ほど申し上げたセグメント別の前年(2018年3月期)の第2四半期との比較となります。

教育ソリューションは(受託)業務の減少があったのですが、それ以外のICTソリューションや西日本ソリューション・ライフサイエンスサービスは基本的に、メーカ……とくに、国内メーカや国内のユーザ企業の多めの受託量が非常に増大基調にありまして、前年同期と比べて増収となっております。

(その他事業の)AI・RPA(関連サービス)に関しても、前期から取り組んでいる成果が今期は徐々に出始めているということで、大幅に伸びてきております。これらは、売上高の話です。

営業利益増減分析

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次のページが、全社の営業利益増減分析です。前期(2018年3月期)の第2四半期が8,000万円の営業黒字だったのですが、今期(2019年3月期第2四半期)は7,000万円ということで、1,000万円下がっております。

最初に申し上げた既存事業と新規事業の増減を見ますと、既存事業ではプラスに転じています。それ以外で、前期よりもさらに新規事業に対する投資を多く行ったということで、マイナス1,700万円となり、結果として7,000万円になっております。

利益⾯の前年同期⽐との変動要因

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利益⾯の前年同期⽐との変動要因です。これはセグメント別に、少しポイントを絞って記載させていただいております。

(変動要因としては)利益面・売上高も同じなのですが、教育ソリューションについては受託業務の(一部)終了が響いて、売上高も利益も少し落ちている状況になります。

ICTソリューション・西日本ソリューションについては、ここは非常に前期の利益貢献の高いところになります。(ICTソリューションでは)国内ユーザ向けのサービスが拡大したということと、(西日本ソリューションでは)国内メーカからの受託量が増⼤しました。西日本ソリューションについては、特定のユーザさまのところが一気に伸びました。

ライフサイエンスについても、後ほどの(ご説明にもございますが)新しい保守サービスだけではなく、医療機器の認証登録。最初の入り口からの事業領域を広げてきたことで、作業エリアを拡張したり体制を強化したりして、こちらも先行投資が発生している状況になります。

その他の、いわゆる新規事業と言われているところについては(マイナス要因が)一番右下ですが、サービス拡充のための先行投資ということで、前年よりもさらに強く投資を拡大してきています。主に、パッケージ開発や増員が要因となっております。

2019年3⽉期決算サマリー

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決算サマリーです。これは、通期の数値です。

2018年3月期は(売上高が)47億4,800万円に対して、今期(2019年3月期)の着地計画では50億円を見込んでおります。営業利益は、2億5,100万円に対して1億8,000万円を見込んでおります。

これは、最初から何度か繰り返し申し上げておりますように(新規事業の)AI・RPA関連への先行投資で、今年については前年比で減益となります。

けれども、既存事業でかなり安定的な収益を上げていることと、新規事業も今期から数字が上がってきていることで、売上高については7期ぶりぐらいになると思うのですが、50億円を見込んでおります。

(期末)従業員数も388人から413人と、今は積極的に採用して拡大に努めております。

2019年3⽉期の事業⽅針

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最後に、今年(2019年3月期)の事業方針です。

2008年3月期の(売上高で)60億円・(利益で)6億円が、弊社の過去の最高到達点でありまして、それを早急に超えることを中期目標に事業に取り組んでおります。今年はその初年度ということで、「早期達成(に向けて)の基盤構築の年」と位置付けております。

ですので、2019年3月期の事業方針としては、「事業拡⼤のための“ビジネスモデル転換”と“積極的投資”」を立てております。業績計画については、先ほど申し上げた売上高で50億円・営業利益で1億8,000万円を今期の目標に、事業に取り組んでおります。

だいぶ駆け足になりますが、以上で企業概要と決算実績の説明を終わらせていただきます。続いて、今後の事業方針につきましては、社長の森よりご説明させていただきます。

今後の事業⽅針

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森豊氏:日本サード・パーティ社長の森と申します。よろしくお願いします。今日はお忙しいところ、多数お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

私の話はどちらかというと事業戦略の話になりますので、事業方針や事業戦略についても、ちょっとコンセプチュアルな話がちょいちょい入ると思いますが、聞いていただければと思います。

IT業界もかなり技術進歩が速くなり、事業モデルの変革もすごく速いなかで、我々の既存の事業を今までどおりにやっていると、どんどん後退していくような状況でございます。新しく出てくる技術や事業に対しては、「失敗する・成功する」に関係なく、とにかく機動力を上げてチャレンジしていくことを1つのテーマにしております。

それが、このタイトルになっている「スピードと機動力のさらなる向上を目指して、AI・RPA関連に今後も積極的な投資」という視点で挑んでおります。

事業⽅針

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「Connect to the Future」……顧客の描く未来を技術でつなごうということです。これは実は、2年前に私が立てた事業方針でございます。

これまでは、海外のメーカさんの日本進出をサポートしたり、保守・メンテナンスをしたりすることで、「海外のハイテク企業さんの日本進出を、もっとサポートしていこう」という会社だったんです。

ターゲットはいわゆる海外のメーカさんだったのですが、クラウドなどの技術革新が進んでくるなかで、今はユーザさんがどんどん自分たちでサービスをつくったり、業務変革ができたりするような世の中になってきています。

ただ、現実を見ると、やっぱりユーザさんが技術者を抱えたり、その技術をキャッチアップしたりすることは、時間もコストも非常にかかる。

そのようなところで、日本サード・パーティが世話焼き人となって、ユーザさんのサポートができるような立場になっていこうということです。今まではメーカサポートからやっていたところから、ユーザサポート……ユーザの世話焼き人になっていこうというモデルチェンジを図っていく、1つの事業方針となっております。

これまでの事業戦略

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私が新体制でやり始めた2014年の、弊社の1つの大きな課題が「収益性の改善」でございます。

最近では、ヤマトさんが四苦八苦しながらようやく賃上げをされて、収益の改善をされたと思います。我々の事業も、やはり人が動いてやっていたものがメインでございましたので、この収益性をどないか改善せなあかんということで、がんばってまいりました。

その時に、いろいろな既存事業の見直しと、上流工程……いわゆる設計やコンサルティングの分野にもチャレンジするというところをやってきたのですが、「それだけだと、なかなか収益の改善が見込めないだろう」というところで、2年前ぐらいからロボティックスやAIソリューションのような、「ちょっと新しい領域で、自社サービスを開発・販売していこう」ということに取り組んでまいりました。

これが、これまでの事業戦略でございます。

今後の事業戦略

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2018年から、収益性の改善はある程度見込めたと。であれば、今度は規模の拡大を図っていこうということです。

我々はこれまで、どちらかというと外資系メーカさんを相手にずっと事業をしてきました。ただ、これで得た知見・技術を国内の顧客……いわゆる国内のSIerさんや販売会社さん、またその先にいるユーザさんに(活かして)どうやってサポートしていったらいいのか。

ということで、我々はこちらの「規模の拡大」をしていくために、国内顧客に対してサービスを展開していこうということで、取り組んでまいりました。

質的拡⼤の定量データ(前年同期⽐較)

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その結果の、質的拡大の定量データです。

前期は販売社数が45社しかなかったところが、74社に増えました。販売実績に関しましては、AIは前期が0でロボティックスだけだったのですが、4,200万円から1億5,200万円まで増加することができました。

人材コンサルティングも、わずかではありますが右肩上がりで(前期の)6,500万円から(今期は)6,900万円と、売上を上げてきております。

⾯的拡⼤の定量データ(前年同期⽐較)

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面的拡大(の定量データ)です。これも前年同期比ということで、上期だけの数字なのですが。

国内メーカ・ユーザさんは(前期の)9億7,100万円から(今期は)11億7,200万円と2億円ほど、大幅に増加しております。

当然、既存の海外メーカさんは減らすわけではなく事業を増やしつつ、この既存の国内メーカ・ユーザさんの事業も堅調に増やすことによって、面的拡大も予定どおりに増えてきております。

重点施策

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今年度の重点施策として、3つやっております。

先ほどとちょっと重複しますが、まずは「自社サービス開発の拡充」です。人財育成の部分では、IT人財のアセスメントツールである「GAIT」の拡販。それと、昨年度にちょうどサービスができたばかりなのですが、「Third AI」というAIプラットフォームの販売・開発。そして、医療・介護分野に向けたロボットのアプリケーション開発。「ロボティックスサービス」と書いてありますが、このようなサービスの拡充をさせていくということです。

次に、「ライフサイエンス事業の拡大」です。先ほど伊達からお話しさせていただいたと思うのですが、単純に医療機器のメーカのサポートをするだけではなく、海外のメーカさんが日本に進出する時に、製品自体の薬事申請もすべて行って、そこから販売も手伝って(製品保守)サポートまでいくという一連のライフサイクルを、我々がトータルパッケージサービスとして提供することを、実は去年(2017年)から始めました。こちらの事業拡大を、現在重点施策として進めております。

最後に、「グローバルビジネス」です。もう人口減少(の影響もあり)、やはり日本のエンジニアに頼るだけでは、なかなかいけないということです。インドという新しい市場を1つ開拓することによって売上を上げていきたいということで、我々のスキルアセスメントツールの「GAIT」を使った事業を、インドで展開しております。こちらが、重点施策のうちの1つとなります。

投資について

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当然、こちら(の「今後の事業方針」)のメインタイトルにもありましたとおり、(AI・RPA関連に今後も)積極的に先行投資をやっていこうということで、項目がいくつかございます。

まず、「既存事業も、やっぱり伸ばしていかないといけない」という面的拡大については、積極的な人財採用をやっていかないといけないということで、今年(2019年3月期)は80名の採用を目標としてやっております。

次に、我々はやはり技術革新が非常に速いなかにおりますので、技術スキルのアップデートをするための技術トレーニング。あとは、「上流工程の仕事をもっとやっていくのであれば、コンサルティングスキルなどを身につけていかないといけない」ということで、このようなトレーニング・研修に対しての投資を積極的に行っております。

また、教育・ヘルプデスク・ライフサイエンス事業が、今は非常に活況になってきておりますので、「施設の拡充をすることによって、請負事業のキャパシティをもっと増やしていこう」ということをやっております。

あとは、先ほどお話しさせていただきましたとおり、海外展開です。インド市場に乗り出すために、そちらの開設の準備金などの投資を行っております。

最後に、やはり新規事業開発です。のちほど、弊社の新規事業開発(本部長)の為田からご説明させていただきますが、AI・RPAといった新規事業開発への(継続)投資をしっかりやっていくことで、自社サービスの拡充を図って、利益率をどんどん上げていきたいと考えております。

それでは、我々日本サード・パーティが一番今力を入れているAI事業について、弊社の為田からお話をさせていただきます。

⼈⼯知能(AI)市場動向

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為田光昭氏:みなさん、こんにちは。新規事業領域についてということで、新規事業開発本部を担当しています為田から、概要に関してご紹介をさせていただきます。

まず、AI(の市場動向)に関してですが、今我々がいるICTの業界は、デジタルトランスフォーメーションという大きな流れの中にいまして、ちょうど移行期にあります。

みなさんもご存じかとは思いますが、このデジタルトランスフォーメーションは、今まではどちらかと言うと「『部分最適』に、人がやっていたところをICTで便利にしていくところ」でした。

このデジタルトランスフォーメーションを、デジタルの技術を使って、今までは部分最適だった部分をだんだん「全体最適」にしていきながら、デジタル技術・新しい技術をどんどん活用していって、よりよく新しいビジネスを作っていくという大きな流れがあります。

この流れの中でけっこう重要視されている技術としては、IoTやビッグデータ(BD)、それからAIといった技術を活用するサービスの開発となってきています。

⼈⼯知能(AI)市場予測

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このデジタルトランスフォーメーションの領域がどれだけ伸びていくかという予測が、この富士キメラ総研さまのデータにもありますが、2030年には現在(2017年度時点)の4.2倍の2兆3,600億円になると言われています。

この数字の中では、AIのサービスに対しても非常に大きなウェイトを占めていきます。我々の新規事業はAIだけではないのですが、まずAIに一番力を入れて、サービス開発を進めている段階でございます。

新規事業モデル

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我々の新規事業モデルは、デジタルトランスフォーメーションのコアな技術になりますIoTやデジタルマーケティングの技術、SNSの技術。それから、ロボティックス。これらの単体では新しい技術なのですが、ほとんどがデータを生み出して、そこからAIでどう新しいサービスを生み出していくか。このAIとの連携が、けっこう重要になってきます。

この「AIとの連携」という部分で、私どもは「Third AI」というAIのプラットフォーム・基盤の開発を昨年(2017年)から進めています。

新規事業ビジネスモデル

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この「Third AI」というプラットフォームは、従来の受託開発型みたいな、「お客さまのニーズに合わせた開発をして、受託型で1回大きな額のお金をもらう」というビジネスモデルではありません。

どちらかと言うと、サブスクリプション型に近いビジネスモデルを狙っています。これは、月額の利用料金をお客さまからいただきながら、我々のサービスを継続的に長く使っていただくビジネスモデルになります。

Third AI ターゲット

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それに必要なものは、「Third AI」といういいサービスを作りながら、お客さまに対して魅力的なオプション製品をどんどん市場に投入していって、このプラットフォーム自体を長く使っていただくビジネスモデルです。これを、我々としてはターゲットにしています。

ですので、我々の既存事業は、どちらかと言えば人が動いて、それに対して人月・工数ベースでお金をもらうというビジネスモデルでした。これを、サービス開発によって、サブスクリプションモデルでユーザの利用料を積み上げていく課金モデル。「ストックビジネス」と言われていますが、このモデルに持っていくことが、新規事業の中でのキーワードになっています。

今、この「Third AI」の事業に関しましては、昨年度(2017年度)に正式にリリースをさせていただきました。先ほど申し上げましたが、AIのエンジンをつなぎ、いろいろなサービスとの連携をするというところで、我々の「Third AI」というソリューションはコールセンター向けです。

例えばコールセンターですと、電話のシステムとの連携や、コールセンターの受け付けたシステムを入力するCRMとの連携といったところで、我々の「Third AI」を中心にして、AIのエンジン・CRM・コールセンターのCTI(Computer Telephony Integration)の仕組みを連携させるソリューションを開発しています。我々だけではなく、ソフトバンクさんにも販売をしていただいていまして、多くのユーザさんからの引き合いをいただいている状況でございます。

このようなソリューションについて、マーケティング用途や、家庭向けのAIスピーカーと「Watson」を連携させるものの開発を順次進めています。我々の「Third AI」のプラットフォームが、AIをつなげるビジネスの中で、「AIをつなげるための、当たり前に使っていただくソリューション」に高めていけるように、今はソリューション開発を進めている段階でございます。

ターゲット

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このビジネスのターゲットです。

直近では、AI関連事業の売上目標としましては、2022年3月期にAI事業単体で5億円の規模に広げていくところ。「新規事業」という領域では、AIを中心にしていきますが、IoTやロボティックス、RPAとの連携も出てまいりますので。

このようなビジネスをトータルして、今の会社全体の売上の中のシェアは微々たるものなのですが、これを2022年の3月期には、全体の15パーセントを新規事業で占めるようなビジネスに拡大していきたい。

これは先ほど申し上げましたが、「人が動いて、いくら」のビジネスモデルではなく、基本的には少ない人数で新しいサービスを作っていって、それを使っていただくようなサブスクリプションモデルで、利益率も高めていく。ストック型ビジネスで利益率を高めていくというところで、この新規事業を拡大していきたいと考えています。

以上が私からの、新規事業に関する概要説明でございました。ありがとうございます。

医療、介護分野のロボティックスサービス①

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伊達:参考資料に、「医療、介護分野のロボティックスサービス①・②」を付けさせていただいています。

先ほど森からご説明させていただいたとおり、今期の重点施策の「自社サービス開発の拡充」というところに、「ロボティックスサービスの『医療、介護分野』」と書かれていました。こちらの具体的なサービス・ソリューションが、33ページ・34ページに記載しているものとなります。

「ロボット」と言って、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

ロボットは我々の中では、やはりパソコンと同じ端末でして。それ自体で介護補助のようなことができるわけではなく、そこにAIを絡めたり、そのようなアプリケーションを入れたりする。このことによって、例えば介護事業者さんが抱えているような問題を、介護士さんを支援するようなコミュニケーションロボットというかたちで(サポートします)。

2年前に実際、国の助成金の事業(AMED:国立研究開発法人日本医療研究開発機構「ロボット介護機器開発・導入促進事業」)で、日本全国の介護事業者に1,000体のロボットを導入するというものがありました。私たちは、そのうちの60台ほどを担当させていただきました。実証実験に参加したという実績のもとに、それを外販するかたちで、この「Robo Touch for 介護」というアプリケーションを展開しています。

あとは(予診ロボットの)「Florrie」という、ロボットを活用して待合室の時間の有効活用を支援する、「ロボット」と言うより「アプリケーション」のようなものです。

医療、介護分野のロボティックスサービス②

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受付管理(ロボットの「ロボでもマテル」)というのは、病院の待合室の順番待ちや(診察)番号を発行するところの支援をするサービスです。

一番右側の、この「AskNAO Tablet」というものが特徴的でして、Aldebaran Robotics社というところ(が開発したもの)でした。この「NAO」という二足歩行ロボットは、もともとフランスで自閉症のお子さんの改善のプログラム(療育)に、実際実証で使われていました。

それを、「日本でも、同じ利用ができるんじゃないか」ということで、それ専用のアプリケーションを翻訳して国内向けに販売を始めたものが、この「AskNAO Tablet」というサービスになります。

このように、今期については、ロボットを取り巻くいろいろなサービスを拡充してきているという事例を4点掲載させていただきましたので、補足としてご説明させていただきました。以上です。

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