それでも人はポテトチップスを食べる〜シュリンクフレーションの時代

写真はイメージです

日本のインフレ率は190カ国中174位

日本のインフレ率は2000年代に入りマイナスとなり、その後一時的に上昇したものの足元では再びコンマ数%に下落。世界のインフレ率ランキングでも190カ国中174位と、ごく低位に推移している国の一つとなっています。

日銀はかなり頑張って、2013年1月に「『物価安定の目標』を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現する」という約束をしているものの、それ以来のインフレ率は年平均0.8%程度と、2%には遠く及びません。

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図表1:日本のインフレ率推移

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出典:IMFのデータよりGCIアセット・マネジメント作成

一消費者としては、物価が上がらない低インフレやデフレは大歓迎なのですが、そうした環境下でも目に見えないところでインフレが進んでいることをご存じでしょうか。

実はインフレ進行中

たとえば、菓子メーカー・カルビーの 「ポテトチップス」ですが、1975年の発売当初は一袋90グラム入りが100円(税抜)でした。2007年には価格は変わらず内容量が65グラムに減り、2009年には60グラムで100円(税抜)になったといいます(データ出典:shrinkflation.info)。スーパーで売っている「ポテトチップス」の袋が、いつのまにか小さくなっていたなとか、こんな量だったかな?と感じている読者も多いと思います。こういう現象を「シュリンクフレーション※」と言ったり、「ステルス値上げ」などと言う場合もあるようです。

※英語のシュリンク(縮む)にインフレーションを合わせた造語

2007年と2009年の1グラム当たりの価格を比べると、1.53円から1.67円に値上げされています。これは、年間約4%の値上げとなります。同期間のインフレ率は年平均0.04%程度ですから、市中の平均インフレ率の100倍の値上げをしていることになります。

このポテトチップスの例はほんの一例で、実際には様々な商品やサービスが実質的に値上げされているのは想像に難くありません。

ただし、筆者はこうした“企業努力”を好ましいと思っています。デフレや低インフレ下でも利益を上げていかないと、給料やボーナスを払えないわけですし、売り上げが上がる限り実質的な値上げは企業経営としては健全と言えるでしょう。増益により、ひいては法人税の増収も期待できます。

むしろ、公的な経済統計が実質的なインフレを捉えきれていない方が問題ではないでしょうか。

カルビーの株価推移は?

参考記事

太田 創
  • 太田 創
  • 株式会社GCIアセット・マネジメント
  • 執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)において投資信託のマーケティング・商品企画を統括。
2015年に株式会社GCIアセット・マネジメントに移籍し、投資信託事業に従事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)などがある。