2018年11月14日に行われた、株式会社ユー・エス・エス2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社ユー・エス・エス 代表取締役社長 安藤之弘 氏

2019年3月期第2四半期決算説明会

安藤之弘氏:それでは、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、2019年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

さて、2018年は、近畿地区に大きな被害をもたらした台風21号や、北海道胆振東部地震、静岡県西部で大規模な停電や断水が発生した台風24号など、全国的に大きな災害が続きました。

当社も近畿地区においては、大阪会場・神戸会場・HAA神戸会場の3会場、北海道には札幌会場、静岡県には袋井市に静岡会場があります。幸い私ども、台風・地震のところから若干外れておりまして、建物で若干ひび割れが入った……「ひび割れ」と言ってもボード関係なんですが、ひび割れが入った(程度です)。また、大阪会場においては、バイヤー席の天井が風で若干揺れて歪みが出た。そんな程度で、全体の修理費用としては3,000万円ほどかかる見通しでございます。

今後とも災害に対しては、できるだけ早期に復旧し、オークションが長期間に渡って休載することがないよう、できる限り体制を整えていきたいと思っております。

私どもの一番の問題は、電気なんですね。コンピューターを使っている以上、やっぱり電気がないとなんとも、(オークションの)準備もできないというようなことで、電気の関係だけ見直しをしていかなきゃいけないのかなと思っているところでございます。

2019年3月期第2四半期 連結業績概要

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それではまず4ページの、連結業績概要からご説明申し上げます。

まず、2019年3月期第2四半期連結累計期間の業績でございますが、売上高は前年同期比111パーセント、計画比100パーセントの388億円。営業利益は、前年同期比106パーセント、計画比103パーセントの181億円。

経常利益は、前年同期比106パーセント、計画比103パーセントの184億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比104パーセント、計画比においても104パーセントの123億円となりました。また、すべての利益項目において計画を達成するとともに、過去最高を更新することができました。

主な増加要因でございますが、昨年、2017年9月30日をみなし取得日として子会社化した株式会社JAAの業績が、上半期は通期で貢献したことによるものでございます。

2019年3月期第2四半期 営業利益増減分析(実績)

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次に、第2四半期までの連結営業利益の増減分析についてご説明いたします。

営業利益は前年同期比106パーセントで、11億円の増益となっております。主な要因を見てみますと、売上高は40億円の増収となり、このうちJAAの影響額は37億円であります。

その他、既存オークション会場において、今年(2018年)2月より、現車会場の落札手数料単価の若干の値上げを行いまして、これが約4億円。成約率の増加により2億円などの増収項目がありました。

続きまして売上原価・販管費を見てみますと、JAA関連では、売上原価が18億円増加、販管費が17億円増加となりました。販管費に含めておりますのれん償却額は、4月から9月までの期間で9億5,000万円となります。

セグメント売上・利益の状況

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セグメントごとの売上・利益でございます。

連結貸借対照表・キャッシュ・フロー要約

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続きまして、連結貸借対照表でございますが、自己資本比率は78パーセントと、引き続き財務の安全性の高水準を推移しております。

次に、連結キャッシュ・フロー計算書でございますが、営業活動によるキャッシュ・フローは143億円となりました。これは、税金等調整前四半期純利益が前年同期比6パーセント増の184億円、法人税等支払額が前年同期比48パーセント増の69億円などによるものでございます。

投資活動により支出したキャッシュ・フローは、2,800万円でございます。

財務活動により支出したキャッシュ・フローは62億円ですが、これは主に配当金の支払額の61億円でございます。

市場動向(グラフ)

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ここからは、自動車流通市場の動向をご説明いたします。ご覧のスライドは、過去3年間、3ヶ月単位で新車・中古車の登録台数、中古車輸出台数、AA市場の出品・成約台数をグラフ化したものでございます。グラフは3ヶ月単位でございますが、説明は(2018年)4月から9月までの累計で申し上げます。

上半期の自動車流通市場でございますが、新車販売は登録車が前年同期比98パーセント、軽自動車が前年同期比103パーセントとなり、新車登録台数全体は前年同期比100パーセントの248万台となりました。中古車登録台数は、前年同期比100パーセントの328万台となっております。

また、中古車需要に大きく影響する中古車輸出台数は、アフリカ諸国・スリランカ・ロシア向けが増加し、前年同期比102パーセントの67万台と、堅調に推移いたしております。

この結果、オートオークション市場全体は、出品台数が前年同期比96パーセントの363万台、成約台数は前年同期比99パーセントの234万台、成約率は64.5パーセントとなっております。

オートオークションのセグメント①

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セグメントごとにご説明申し上げます。

まず、オートオークションのセグメントでございますが、JAAとHAA神戸会場を除く既存オークション会場では、出品台数が前年同期比99パーセントの120万台、成約台数は前年同期比100パーセントの77万台、成約率は64.6パーセントとなっております。

これにJAAとHAA神戸会場を加えますと、ユー・エス・エス全体では、出品台数は前年同期比116パーセントの141万台、成約台数は前年同期比115パーセントの89万台、成約率が63パーセントとなっております。

この結果、オートオークションのセグメントは、売上高は前年同期比116パーセントの315億円、営業利益は前年同期比106パーセントの176億円となりました。

オートオークションのセグメント②

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こちらのスライドは、ユー・エス・エスのオートオークションの実績でございます。昨年(2017年)10月よりJAA、HAA神戸を含めております。

成約率の競合比較をご覧いただきますと、昨年第3四半期以降、市場平均成約率がユー・エス・エスを逆転しております。これは、成約率が50パーセント前半台でありました、HAA神戸会場を含めたことによるものでございます。今後、収益拡大には、HAA神戸会場の成約率の向上が1つの重要課題であると考えております。

今年(2018年)8月には、ユー・エス・エスインターネット外部落札システムを、HAA神戸にも接続したほか、現在さまざまな施策を打って、成約率の向上に努めている最中でございます。

左下グラフにあります市場シェアについては、今年の上半期の1月から6月では、40パーセントとなりました。

オートオークションのセグメント③

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次に、手数料単価の推移についてご説明いたします。グラフは3ヶ月単位でございますが、説明は(2018年)4月から9月までの累計で申し上げます。なお、昨年(2017年)10月よりJAA、HAA神戸会場の実績を含めております。

まず、1台当たり出品手数料でございますが、前年同期比と比べ25円プラスの5,297円となりました。これは、一部の会場で、出品手数料キャンペーンを見直したことなどによるものでございます。

次に、1台当たりの成約手数料でございますが、前年同期比と比べ88円プラスの8,223円となりました。プラス要因としては、一部の会場で成約手数料単価の引き上げを行ったものでございます。

次に、1台当たりの落札手数料でございますが、前年同期比と比べ229円プラスの1万2,097円となりました。プラス要因として、既存17会場で昨年2月より現車会場の手数料を1,000円、一律に値上げをしたものでございます。なお、JAA、HAA神戸会場につきましては、今年の4月より手数料の見直しを行っております。

外部落札比率につきましても、今後50パーセント前後で推移していくものと考えております。

オートオークションのセグメント④

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こちらのスライドは、(2018年)4月から9月までの会場別のオークション実績でございます。

オートオークションのセグメント⑤

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ご覧のスライドは、2016年度から今期(2018年度10月時点)までの、月次のオークション実績でございます。

中古自動車等買取販売のセグメント

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続きまして、中古自動車等買取販売のセグメントについてご説明いたします。

中古車買取専門店を運営する「ラビット」は、不採算店舗の見直しを進めたことなどから、販売台数が減少したものの、利益率が改善したことにより、売上高は前年同期比93パーセントの26億円、営業利益は前年同期比127パーセントの1億円と、減収増益になりました。

事故現状車買取販売事業は、良質な車両の取扱いが増えた一方、販売台数の減少などにより、売上高は前年同期比101パーセントの19億円、営業利益は前年同期比66パーセントの2,100万円と、増収減益になりました。

その他のセグメント

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続きまして、その他のセグメントについてご説明いたします。

リサイクル事業のarbizは、パーツ販売の一部を終了したことや、廃自動車の取扱台数が減少したことなどから、売上高は前年同期比90パーセントの23億円、営業利益は前年同期比93パーセントの2億円と、減収減益になっております。

中古車の輸出手続き代行サービスを行っております、USSロジスティクス・インターナショナル・サービスは、受注台数の増加により、売上高は前年同期比124パーセントの2億円、営業利益は前年同期から約3倍となる4,700万円、こちらは増収増益となっております。

2019年3月期 連結業績予想

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ここからは、通期の業績予想についてご説明いたします。

JAAとHAA神戸の2会場の出品および成約台数が、想定を下回る台数で推移したことから、当初計画より出品台数を7万台減の289万台、成約台数を2万5,000台減の181万台、成約率は62.8パーセントに修正を行いたいと思います。

これらを反映した連結業績予想は、売上高は、当初計画より8億円減の前期比105パーセントの792億円。営業利益は当初計画と変わらず、前期比103パーセントの373億円。経常利益も当初計画と変わらず、前期比103パーセントの378億円。親会社株主に帰属する当期純利益についても、当初計画と変わらず、前期比102パーセントの250億円といたします。

2019年3月期下期 営業利益増減分析(予想)

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ご覧のスライドは、下期の営業利益の予想の変動要因でございます。

2019年3月期 営業利益増減分析(予想)

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続きまして、通期の営業利益予想の変動要因でございます。

2019年3月期 セグメント別売上予想

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各セグメントの業績予想となっております。

中長期的な市場認識とUSSの戦略

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ここからは、中期的な戦略についてご説明申し上げます。

中長期の自動車流通市場は、電気自動車や自動運転の登場によって一定の買い替え需要が期待できる一方で、人口減少などにより、大きな需要拡大は難しいものと考えております。オートオークション市場の競争環境は、より一層厳しくなると思われます。

ユー・エス・エスは、JAA、HAA神戸の2会場を取得したことにより、市場シェアは40パーセント程度となりましたが、今後はさらに市場シェア拡大の収益性の向上を目指してまいります。

まず、東京の葛西にありますJAA会場でございますが、オークション会場の建物が老朽化しております。まず、一番目立ってきているのが、やっぱりコンピューターの劣化なんですね。このあたりを見直していきたい。2019年5月のグランドオープンに向けて、今新築の建替工事を行っております。当然コンピューターにおいても、一新してまいりたいと思っております。

HAA神戸会場は、今年(2018年)8月に、既に実績のある最新鋭のユー・エス・エスオークションシステムに入れ替えを行いました。ユー・エス・エスのインターネット外部落札システムを接続をいたしまして、成約率が向上しております。

オートオークション市場とUSSのシェア

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ご覧のスライドは、1990年から現在に至るまでの、市場シェアの推移でございます。

JAA株式取得の狙い

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ご覧のスライドは、JAA株式の取得に狙いについて、改めてご説明したものでございます。

とくに、近畿地区における市場シェア拡大による競争力の強化に加えて、JAA、HAA神戸の会員がユー・エス・エス会員となり、衛星テレビやインターネット落札システムを通じて参加することになり、ユー・エス・エスのオークション会場全体の利用促進を進めてまいりたいと考えております。

JAA株式取得で市場シェア上昇=競争力強化へ

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次に、具体的な市場のシェアの動向でございます。

ユー・エス・エスの既存の大阪会場・神戸会場で、市場シェアが17.1パーセント。これにHAA神戸が加わったことにより、一気に46.3パーセントまで、関西地区のシェアが上昇いたしております。

JAA株式取得で近畿最大のオークション会場がグループに入る

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ご覧のスライドは、日本の3大需要地である関東・中部・近畿にあります、地域別のオークション会場の出品台数ランキングでございます。JAA、HAA神戸を配下に収め、関東・中部に加えて近畿地区も市場シェアが40パーセントを超え、競争力の優位性をご理解いただけるかと思います。

財務と株主還元に関する基本方針

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ここからは、今後の株主還元に関する基本方針についてご説明いたします。

配当政策であります、連結配当性向50パーセント以上について、JAA株主の取得によって変更することはございません。また、来期5月にJAA会場の新築建替オープンなど、設備投資を計画していますが、自己株式の取得についても資金ポジション・設備投資計画・株価などを考慮して機動的に対応し、中期的にROE15パーセント以上の水準を目指してまいりたいと思っております。

株主還元:配当政策

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次に、2019年3月期の年間配当金でございます。

今年(2018年)5月の公表から変わらず、2019年3月期の1株当たりの配当予想は、前期から1円40銭増配の1株当たり49円20銭と、19期連続の増配を目指してまいります。

株主還元:総還元性向

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ご覧のスライドは、自己株式の取得を含めた総還元性向の推移でございます。

株主還元:株主資本利益率(ROE)

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ご覧のスライドは、ROEの推移でございます。

2018年3月期実績は14.8パーセント。2019年3月期の予想は14.1パーセントとなりますが、引き続き、継続的な15パーセント以上の水準を目指してまいりたいと考えております。

事業成長と株主還元による企業価値向上サイクル

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ご覧のスライドは、設備投資やM&Aなどの事業成長投資と、株主還元のサイクルをまとめたものでございます。

USSの社会的・経済的価値創造

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最後となりますが、ご覧のスライドは、当社本業を通じた社会貢献と、経済的な価値創造をまとめたページでございます。

当社の売上高のすべてが、中古車のリユース・リサイクルに関わる事業から生まれております。効率的なプラットフォームを構築した結果、高い収益性を実現できております。今後も、成長投資と株主還元のバランス、社会的価値と経済的価値の両立を目指して、経営をしていきたいと考えております。

私からのご説明は、以上となります。ありがとうございました。

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