大人のみなさんは、センター試験(大学共通第一次学力試験)を覚えていますか? 大学入学を目指す高校生の多くが受ける試験で、問題はすべてマークシート形式になっている、あの試験です。「センター試験前に人生で一番勉強した」「3点だけ足りなくて不合格になった」など、良い意味でも悪い意味でも記憶に残っている人が多いはずです。

実は、このセンター試験が2019年度で幕を閉じ、翌年から新形式での大学入試が行われるのです。この変更には、親子ともに対応に追われそうです。

どこが変更されるの?

これまでと異なる点は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、国語と数学で記述式の問題が出題されることです。これまではマークシート問題しかありませんでしたが、記述問題が増えることで、これまでと異なった勉強法が必要になりそうです。

2つ目は、英語の試験に民間の試験が導入されることです。これにより、従来の入試にもあった「読む」「聴く」という能力に加えて、新大学入試では「話す」「書く」という能力が求められます。

このような変更には、「暗記力が重視されてきた教育をやめ、これからの時代に合った能力を身に着けさせる」という狙いがあるようです。

親が抱いている不安

当事者である子どもが戸惑うのはもちろんのこと、親も混乱しますよね。実際に中高生を子に持つ親の中には、

「新形式になるらしいけど、親としてどう対応していいか全くわからない」
「思考力とか判断力が必要になるのはわかったけど、高校生からでも身につくものなの? 家でも何かしたほうがいいの?」
「TOEICとかも受けなきゃいけないし、もし塾の掛け持ちが必要になるならお金がかかりそう……」

など、さまざまな不安を持っている人も多いようです。

学校や塾は対応できるの?

親や子だけでなく、教育機関側も対応に追われることになります。ただでさえ長時間労働や教師不足が叫ばれる学校や塾で、新大学入試に対応できるのでしょうか。これについては、実際に、

「今でさえ雑務や部活動の顧問で忙しいのに、これ以上仕事を増やされたら対応できっこない」

という声もあります。

新形式に反対の大学も

新大学入試の実施内容に反対する人たちも少なからずいるようです。たとえば、英語での民間試験導入には、

「民間試験と大学入試では試験の目的が違う」
「公平性の担保に疑問」

などの理由で東京大学が反対しています。

ほかには、記述形式の導入に対して、

「本当に公平な採点ができるのか」
「自己採点がしづらくなる」
「莫大な量の採点になるが、間に合うのか」

といった声が上がっています。

不利益のない形での実施を

新大学入試を受けることになる学年は、すでにいま高校1年生になっていますが、大学によって対応が確定していない部分もまだあります。当事者や親御さんの中には「はっきり決めてほしい」と思っている人もいるでしょう。また、入試制度の端境期にいるいまの高校2年生は「浪人すると入試がガラッと変わるから、現役でいかないと……」と切実に思っているはずです。

大学入試は、子どもの人生にも関わる重要な試験です。試験の実施に関しては、毎年のように出題ミスや採点ミスのニュースがあり、最近では東京医科大学や昭和大学医学部などでの不正入試・得点調整の実態が大きく報道されたばかりです。ぜひとも前途ある子どもが不利益を被らないような形で試験を実施してほしいところですね。

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