2018年11月6日に行われた、三菱自動車工業株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:三菱自動車工業株式会社 取締役/CEO 益子修 氏
三菱自動車工業株式会社 副社長執行役員/CFO 池谷光司 氏
三菱自動車工業株式会社 COO トレバー・マン 氏

2018度 上期 財務実績【前年同期比】

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池谷光司氏:池谷でございます。それでは、まず3ページをご覧ください。財務実績のサマリーでございますけれども、2018年度、上期の売上高は前年同期比23パーセント増加の1兆1,693億円、営業利益は前年同期の442億円から569億円となり、29パーセント増加、営業利益率は4.9パーセントとなりました。

純利益は前年同期比7パーセント増加の519億円となっております。販売台数は、小売台数でございますが、グローバルで59万4,000台となっておりまして、前年同期比で19パーセントの増加となりました。

2018度 上期 業績サマリー【前年同期比】

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4ページをご覧ください。販売台数、売上高、営業利益の主要項目は、いずれも前年実績に比べて上昇しております。売上高、営業利益に関しては、前年実績に比べ、それぞれ23パーセントと29パーセントの増加となっております。

2018度 上期 営業利益変動要因分析【前年同期比】

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6ページにおきまして、私から上期の昨年対比の営業利益の変動要因分析をさせていただきます。まず台数・車種構成では、新車販売、とくに「エクスパンダー」の効果が大きく、438億円の増益となりました。販売費用は日本で大きく改善しましたが、北米やアセアンにおける費用の増加で、19億円の減益要因となりました。

これは、インセンティブやブランド力強化のために広告宣伝費を増額したことによるものでございます。コストの低減は99億円の増益要因となっています。市況等によるコスト増や成長投資による費用増がございましたが、シナジー効果を含めた資材費の低減が順調に進んでおり、ご覧のような結果となりました。

為替でございますが、米ドル、タイバーツ以外にも、オーストラリアドル、ロシアンルーブル、インドネシアルピアと、主に資源国や新興国の通貨安がマイナスに働き、為替全体では170億円の減益要因となりました。

続きまして、地域別の詳細について、COOのマンさんよりご説明いただきます。

2018度 上期 販売台数実績【前年同期比】

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トレバー・マン氏:池谷さん、ありがとうございます。2018年度上期の販売台数につきましては、ほぼ全地域で前年同期を上回る実績となりました。これは、既存車種に加え、昨年度下期に投入した新型車が各地域で販売増加に貢献いたしております。新車の導入により、全体的なグローバルの販売台数が伸びました。

中期経営計画で主力地域としたアセアンと豪州・ニュージーランド地域では、前年同期比26パーセント増加となりました。注力地域では、中国他が順調に伸長。北米地域もブランドの再構築に努め、徐々に販売を伸ばした結果、注力地域全体では、前年同期比17パーセントの増加となりました。また回復地域としている日本でも、前年同期比12パーセントの増加となっております。

2018度 上期 地域別実績:アセアン

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アセアンの販売ですが、昨年、インドネシアに投入した新型MPV「エクスパンダー」の力強い販売もあり、前年同期比36パーセント増加の15万2,000台となりました。「エクスパンダー」は、インドネシアを中心に4万5,000台を超える好調な販売となっており、アセアン地域の好調な販売の原動力となっております。インドネシアでは、需要に応えるべくブカシ工場の生産能力を拡張しております。

国別に見ますと、フィリピンでのマーケットシェアは、前年同期比で0.2パーセント上昇したものの、物品税導入の影響による全体需要の減少の影響を受けて、台数が前年同期と比べて6,000台減少いたしました。一方、インドネシアでは、ご説明した「エクスパンダー」の影響により、前年同期比で3万5,000台の大幅な増加となりました。

またタイでは、全体需要が伸びている中で、自動車も特別仕様を投入したことや、従来からのサービス工場キャンペーンの効果により、好調な販売が継続しております。台数は前年同期比で9,000台増加になりました。

2018度 上期 地域別実績:豪州・NZ

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当社が高いシェアを持っている豪州、ニュージーランドでは安定した販売が続いており、前年同期比で4パーセント増加の4万9,000台となりました。とくに当社が得意とするSUV市場の拡大に合わせ、特別仕様車の投入や販売ネットワークの改善を進めた結果、豪州では上記シェアが4位となりました。

そして、ニュージーランドでは3位まで上昇いたしました。引き続き、当社の強みである豪州・ニュージーランド市場で拡大を続けるSUV、LCVの車種の販売を注力してまいります。

2018度 上期 地域別実績:北米

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北米の販売は、前年同期比15パーセント増加の8万3,000台となりました。米国では厳しい販売競争が続いておりますが、当社は昨年の後半に投入した「アウトランダーPHEV」等が台数の増加に貢献いたしました。

総需要は緩やかな縮小傾向にありますが、当社の主力セグメントであるSUVに人気が集中する傾向が続いております。引き続き、ブランド力の強化に努めてまいります。

2018度 上期 地域別実績:中国 他

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中国では、現地で生産している「アウトランダー」の好調が続いており、前年同期比で22パーセント増加の7万1,000台となりました。これにより、中国を含む北アジア全体の販売台数は、前年に対して19パーセント増加の8万2,000台と伸長いたしました。

さらに、本日プレスリリースが出ましたとおり、現地生産した「エクリプス クロス」の販売を開始し、ラインナップの強化を図ります。また、販売ネットワークも引き続き増強しておりまして、2017年3月末から2018年9月末時点までに、302店舗から331店舗に拡大いたしております。

2018度 上期 地域別実績:日本

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日本の販売は、前年度に対して、12パーセント増加の4万8,000台となりました。これは昨年度末に投入した「エクリプス クロス」の新車効果に加え、年式切り替えで商品力が大幅に工場した「アウトランダーPHEV」の販売増加によるものです。

2018度 上期 地域別実績:欧州(含むロシア)

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欧州については、規制強化によるディーゼルの需要の影響を受けまして、当社のディーゼルラインナップの販売も減少しましたが、2018年度に販売を開始した「エクリプス クロス」の貢献もあり、前年同期比で29パーセント増加の11万2,000台となりました。全体需要が回復しているロシアでは、「アウトランダー」と、現地生産を開始している「パジェロスポーツ」が、全体的に台数を伸ばしております。

2018度 上期 地域別実績:中南米・中東アフリカ他

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その他の地域についてですが、前年同期と同じく6万8,000台となりました。中南米ですが、ブラジルを中心に、前年同期比で2,000台の減少となりました。中東ですが、イランやトルコでの影響を、サウジアラビアやUAEでの成長により埋め合わせることができました。

2018年度 通期業績見通し【前年度比】

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益子修氏:続きまして、今年度の業績見通しについて説明をいたします。上期は西日本豪雨をはじめとした多くの自然災害に加え、新興国通貨下落に伴う為替の影響が100億円以上、利益を下押しするなど、決して容易な経営環境ではありませんでした。しかし、規模、収益のいずれも、期初の見通しに対する進捗率は50パーセント前後を確保し、ほぼ計画どおり進めることができました。

一方、まだ明確な収束点の見えない、米中通商摩擦等を背景に、景気はグローバルベースで不透明感を強めています。さらには、依然続く新興国通貨安などもあり、市場環境が厳しさを増す可能性を考慮し、先行きをいつも以上に慎重に見ております。現時点では業績予想を据え置くこととし、特定の業績悪化要因を想定しているわけではありません。

当社の強みであるアセアンを中心に販売を伸ばす一方、コスト管理に対する目配りも慎重に行い、まずは確実に業績目標を達成したいと考えております。

2018年度 営業利益見通し変動要因分析【前年度比】

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通期の業績見通しは据え置きますが、前年度からの変動要因の中で、唯一、為替についてだけは、上期実績と足元の相場を反映するかたちで、前提を見直しています。基本的には、ユーロは前期、下期とも130円で据え置くものの、米ドルは下期は108円、通期は109円に見直し、タイバーツは下期3.40円、通期3.39円へと見直します。また、その他通貨についても、当社への影響が大きい豪ドル、ロシアルーブル、インドネシアルピアなど、新興国、資源国通貨を中心に、足元の相場水準への見直しを行いました。

この結果、為替による損益予想への影響については、米ドルによる悪化影響が期初の見通しから縮小しましたが、その他通貨の悪化幅が拡大し、結果として2017年度対比の為替影響は、マイナス310億円と、期初見通しから不変となっております。

生産の拡大・新車投入

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続いて、上期のビジネスハイライトを説明いたします。昨年度よりインドネシアで販売を開始し、4月より順次アセアン各国に輸出を開始している「エクスパンダー」は、各国から計画を上回る受注、要望をいただいていることを受け、今年度の生産台数を10万台から12万台に引き上げることにいたしました。

また、2020年度には、生産台数を年間16万台に引き上げる計画です。これに合わせ、「エクスパンダー」を生産するブカシ工場の生産能力を、現状の13万台から2020年度までに22万台に増強することといたしました。

また「エクスパンダー」のエンジン生産を、日産自動車の現地生産子会社である日産モーターインドネシアで行います。さらに、新型トライトンを11月9日にタイで発表いたします。これまで培ってきた耐久性や信頼性に加え、快適性にさらなる磨きをかけた商品ができあがりましたので、世界の多くのお客様にご理解いただけるものと思っています。

重要視するCSRマテリアリティへの取り組み

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当社は2015年に国連にて採択された、持続可能な開発目標の重要性を認識し、有識者へのヒアリングや社内における検討を重ね、環境・社会・ガバナンスの各分野のさまざまな課題から、当社が取り組むべきCSR重要課題を特定してまいりました。

さらにその中でも、ステークホルダーの関心度と自社への影響度の両面から、自動車メーカーとして、特に重要度が高い、気候変動、エネルギー問題への対応、道路交通事故の削減に寄与する製品の提供など、6項目に関しては、役員をリーダーに指名し、より徹底したフォローができる体制としました。

当社が健全な事業活動を継続していくためには、当社製品、サービスの直接のお客様だけではなく、幅広い意味での社会からの理解と支えが必要です。CSRに取り組む上でも、そのことを常に心に留め、三菱自動車らしい事業活動を通じて、活力ある持続可能な社会の創造に貢献すべく、覚悟と決意を持って尽力してまいります。

世界情勢が不安定さを増している中、想定外のことも含め、さまざまなリスクがいつ当社に襲ってきてもおかしくありません。

業績は相応に回復基調にありますが、それに浮かれることなく、原点に立ち返って、無駄の排除に努め、コスト管理を徹底するという、当社自身ができることに地道に取り組みます。そして、着実に業績目標をやり遂げることに全力を尽くしたいと思います。

次期中計に向けた当社のあるべき姿。また、それを実現するための経営方針については、現在、社内での議論を深めている最中です。まとまったところで、みなさまにご説明したいと考えています。

以上で、説明を終わります。

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