安田純平さん「自己責任」論をめぐって続く批判と反論

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内戦下のシリアで、武装集団に拘束されていた安田純平さんが解放され、日本に戻ってきました。この一連の流れをめぐり、ネットでは「自己責任」論が唱えられて議論を呼んでいます。解放から2週間ほどが経ったところで、この間の騒動をあらためて簡単にまとめてみました。

3年4カ月ぶりの解放

安田さんは1997年に一橋大学社会学部を卒業後、6年間、信濃毎日新聞社に勤務し、2003年退社してフリージャーナリストになりました。フリーになってからはイラク、ヨルダン、トルコなどの危険地帯に滞在し、戦場の実態を取材していました。2015年6月に、紛争が激化していたシリアの取材中に、武装団体の「ヌスラ戦線(現・タハリール・アル=シャーム機構)」に拘束されて生存が危ぶまれたのですが、2018年10月に3年4カ月ぶりに解放されて九死に一生を得たのです。

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戦地の取材は危険な仕事であり、多くの人が敬遠します。ただ一方で、現地からの情報が乏しく、多くの人が人権などの面で理不尽な扱いをされがちな戦地の状況・事実を広く伝えるために、なくてはならない役割でもあります。近年では、戦場カメラマンの渡部陽一さんが有名になりましたよね。

しかし、どうしてそのような重要な役割を担う人が「自己責任」だと非難されているのでしょうか。

「自己責任」論どうして話題に?

実は、安田さんは拘束される直前の2015年4月に、このような発言をtwitter上で残していました。

「戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を『自己責任なのだから口や手を出すな』と徹底批判しないといかん」

すでに内戦が勃発していたシリアを、政府は渡航禁止地域であると発表していました。自己責任だと政府を批判して出発したにもかかわらず、拘束されたら政府に助けを求めたことが怒りを買っているようです。

ネット上は賛否両論

こうした安田さんの行動に対するネット上の反応を見てみましょう。

「自分を守れる人だけ行くべき!」
「何度も捕まってる人間を、いちいち何億も出して救出するのがおかしいと思わないのか」
「帰ってこれて良かった。ではすまされない大きな事」
「身代金がテロリストの活動資金となって、今後より多くの人命が危険に晒される可能性も高まった」

身勝手な行動であったと非難する声も多いようですね。一方で、安田さんの行動に肯定的な意見も見られました。

「安田さんの行動は立派につきる」
「権力にへつらうだけの似非ジャーナリストが多いから、安田純平のような気骨あるジャーナリストが叩かれる」

メジャーリーガーのダルビッシュ有さんも、「誰かがいかないと内情がわからない」「そういう人たちがいるから無関係な市民が殺されるのを大分防いでいると思います」と、安田氏を称えるコメントを残しました。

「捕まっていない疑惑」も……?

こうした論争に加えて、安田さんは以前にも4回、警察や武装勢力に拘束された経験があることと、今回、安田さんを拘束した武装集団「タハリール・アル=シャーム機構」が安田さんの拘束を否定していることから、ネット上では「身代金目的の自作自演ではないのか」という疑惑もあがっています。

「3年間24時間監禁されているのに海外でのクレジットカード仕様(編注:「使用」の誤り?)歴や自身のFacebookの閲覧履歴もある」
「解放直後なのに元気すぎじゃね?しっかり歩けてるし、歯もきれいだし…」
「自作自演でないのならなおさら、なぜ政府を批判するのか」

ダウンタウンの松本人志さんもテレビ番組で「今後、身代金を(テロ組織と)折半しようやってやつが出てくるかもしれない」と否定的なコメントを出していました。

さらに再反論も

さらに、こうした批判や意見に対して、「ただの憶測で、根拠がない」と再反論あるいは慎重な見方を提示する人も見られました。

「自作自演説は飛躍しすぎ」
「真相が明らかになる前に余り推測の域を超えない方が良い」
「自分たちがやりましたなんていうテロ組織があるか」

こうして見てみると、世間の注目度が高いからこそ、さまざまな憶測や疑問が生じるのだとも思えます。

今回の騒動で、あらためて「ジャーナリズムとは何か」ということを考えさせられた方は多いと思います。情報を受け取る私たちにとっても、何が正しい情報なのかを考え、真実を見抜けるようにすることが大切なのでしょう。

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。