米中の貿易摩擦懸念や米株の下落を受けて日経平均も大幅安

2018年10月26日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より84円13銭安の21,184円60銭となりました。取引時間中の下げ幅は前日比で一時300円に迫り、2万1000円を割り込む場面もありました。2万1000円を割り込むのは3月29日以来、約7か月ぶりです。

いったんはリスクが後退したかに見えた世界同時株安の懸念が再燃してきました。米国をはじめ、欧州、中国、アジアの株式相場が軒並み下落しています。

この下げは、今週以降も続くのでしょうか。現状は、米株式相場に振られる展開が続いています。24日のニューヨーク市場ではダウ工業株30種平均が前日比608ドル安となり、これを受けた日経平均も同822円安と連れ安となりました。

米国では、個別企業の決算発表が好調にもかかわらず、米中貿易摩擦の影響に市場が敏感に反応しています。足元の急上昇で「買われすぎ」の状況が続いていることから、利益確定売りも出やすくなっています。

25日夕に発表されたアマゾン・ドット・コムとアルファベット(グーグルの持株会社)の2018年7~9月期決算は、いずれも増益ながら、市場予測に届かなかったこともあり、26日は大幅安となりました。

今週も米企業決算が相次いで発表されます。注目されるのは1日に発表される米アップルです。米中貿易摩擦などの影響により業績が伸び悩んでいるようであれば、市場が大きく失望売りに動くことになりかねません。

その翌日の11月2日には、10月の雇用統計も発表されます。直近の株安のきっかけの一つとなったのが、米国の金利上昇です。雇用統計の結果を受けた、連邦準備制度理事会(FRB)からのコメントなどが気になるところです。一方、外国為替市場は現在「ドル1強」といった状況ですが、日本企業にとっては円高傾向になっていることがやや心配されるところです。

先行きは不透明ですが、業績のよい国内企業の銘柄を中心に、押し目を拾うチャンスでもあります。まずは決算発表の内容に注目したいところです。

中期の上昇トレンドを割り込み、直近の目線は下に

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。ポイントの一つは、前週の下値である22,300円付近をキープできるかどうかでした。22日にはいったん窓を開けて下落して寄り付いたものの、それを埋めただけでなく、前週末の19日の高値も更新しました。

ここから反転すれば、22,300円付近で下値をサポートされたことが確認できたのですが、翌23日には大きな陰線となって下落し、前週の安値も下回りました。

ここで注目すべきは、直近の安値である9月7日の安値(22,172円)を割り込んでしまったことです。ここを割れると、中期的な上昇トレンドが崩れてしまいます。実際に、24日はここを回復できず、25日、26日と、窓をあけて大きく下落することになりました。

今後の動きはどうなるでしょうか。まず、目線をどちらに持つべきかという点については、残念ながら、現状ではいい兆しはありません。前述したように、9月7日の安値(22,172円)を割り込んだことから、3月26日以来続いていた上昇トレンドのチャネルラインを下抜けてしまいました。再度目線を上に持つためには、少なくともこのラインあたりまで回復する必要があります。

ただし、ここからさらに大きく下落するかと言えば、それも疑問があります。特に意識されやすい2万円付近は、過去にもみ合ったところであり、ここを抜けるには大きな力が必要です。

現状は、3月26日の安値(20,347円)を目前にサポートされたようにも見えます。早期にここを割り込むことがなければ、逆にこのあたりから反発することも考えられます。

下原 一晃