美容院なんて無理…母親なら「自分のことは後回し」は当たり前なの?

小学生~1歳までの3児を子育て中の筆者のもとに、母が先日「こういう本でも読んで息抜きしたら」と漫画を持ってきてくれました。そういえば以前、義母にスーパーで買ったキムチが美味しくて感動したことを伝えたら、「小さなことでも楽しみがあって良かった」とホッとしたような表情で言われたことを思い出しました。

これは心配されている、と思いました。思えば第一子出産後、自分の好きなテレビや本を見ることもなく、美容院にも年に一、二度行くくらい。唯一1人になる子どもの昼寝タイムには、仕事と、子どもがいるとできない多くの家事を猛スピードでこなします。トイレにも子どもはついてくるので、自分の時間は文字通りゼロです。

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「昔の人だって真面目に育児をしてきたんだから、これぐらい当たり前」と思っていたのですが、実際はそうでもないようです。

育児の仕方が分からない祖母

関東の田舎出身の筆者ですが、そこで聞いて驚いたのが「農家にとって、嫁は大事な働き手だからね。育児は祖父母の仕事だったのよ。今になって自分がおばあちゃんになっても、育児をしたことがないから分からなくって」という話です。その方は子どもが3人いますが、朝から晩まで休日もなく農業に家事にと働いていたため、子育ての仕方はよく分からないと言うのです。

他にも「兄弟同士や近所の子ども同士で遊んでたし、まず親は仕事が忙しくてそこまで子どもにかまっていられないから。遊び方とか、自転車の乗り方も、子どもは年上の子に教えてもらうものだしね。今は親と子どもが一対一で家にいるなんてねぇ…」という話はよく聞きます。

また、昔から女性が仕事を持つことが多い県なので、当時から「子どもは祖父母や自分のきょうだいに任せて仕事をしていた」「忙しいから夕ご飯は出来合いのお惣菜が多かった」という声もあります。ミルク育児が流行った時代ですし、買ってきたものの方が喜ばれるという価値観もあったようです。

これらは田舎の話であり、当時の都会の「専業主婦とサラリーマン家庭」ではまた違うでしょう。ただ「丁寧な家事」や「母親は自分のことは後回し、自分の時間はゼロで当たり前」という価値観が、思ったよりも強固でもなく、祖父母世代からの当たり前のことでもないことに改めて気付かされました。

「自分のことは後回し」は家族に悪影響も

女性の社会での活躍が叫ばれる昨今ですが、子ども、特に乳幼児期はやはり母子の関わりは重要でしょう。乳児期は赤ちゃん中心の生活になりますし、それ以降も子どもとの関わりの大切さは変わりません。一方で、「自分のことは後回し」思考が家族に悪影響を与える可能性にも気を配っておくべきでしょう。

自分を大切にしない人が、本当の意味で他人を大切にできるでしょうか。人間、自分を大切にしなければ、心が荒み、余裕も失うものです。

毎日イライラしたり、子どもに怒ってしまうという話は多く聞きます。「結婚は生活」と言いますが「子育ても生活」。日常的に自分を後回しにしていれば、夫婦間では「何で私ばっかり」という思いが、夫婦喧嘩や夫婦の不和を招くでしょう。

逆に言えば、自分を大切にできる人こそ、家族も大切にできます。心に余裕があり、すぐには怒らず、笑顔も多く、何とかなると思えるでしょう。子どもの話に耳を傾け、小さな変化に気付けるでしょう。親が安定していて、子どもがのびのびしていられること。こういった心理的な部分は、目に見えませんが子供の成長に大きくかかわってくるところでしょう。

「今の若い人はいいわね」とボヤく老人にならないためにも

時代は、確実に移り行きます。私たちの子ども世代では、男性が家事育児をしたり育休を取るのが当たり前だったり、会社に行くのは週2~3回という可能性もあるでしょう。「私は自分を犠牲にして子育てをしたのに、今の若い人はいいわねぇ。ちょっと甘いんじゃない?」なんてボヤく老人には、できればなりたくないものです。

人生の中でも、子どもに密着するように育児をするのは、ほんの数年のこと。たった一度しかない子育て期間ですから、できれば楽しい思い出を増やしたいですよね。そのためにも、まずは自分を大切にすること。1日の中にきちんと自分の時間を作り、無理な家事は「やらない」「減らす」「家電にお願いする」ことを考えましょう。

周囲に完璧な家事を求められることもありますが、人手の減った現代の家庭では無理な話。「無理をしないで自分も大切にする母親でいること」は誰も勧めてくれませんから、自分から始めなければいけません。その覚悟を持ち、自分の時間を生きる姿を子どもにも見せましょう。

宮野 茉莉子

ニュースレター

宮野 茉莉子

東京女子大学哲学科を卒業後、野村證券を経て2011年よりライターへ。
主な執筆分野は育児、教育、ライフハック、女性の社会問題など。
子どもから大人まで「自分の頭で考える」哲学の面白みを伝えるべく執筆中。禅好きの3児の母。