台湾液晶パネルメーカー主要4社(AUO、イノラックス、CPT、ハンスター)の9月の月次業績が出揃った。これにより、2018年7~9月期の4社の売上高合計は前四半期比7.7%増/前年同期比9.5%減の1655億台湾ドルとなった。

 7~9月期は、中小型液晶パネルの出荷台数が4社合計で3億700万枚となり、前四半期比で1.0%減少したが、大型液晶パネルの出荷台数が6380万枚と前年同期比で4.6%伸びたことにより、売上高は8%増加した。

 この売り上げ増には、単価の高いテレビ用液晶パネルの価格が6月を底に上昇傾向に転じたことが寄与したとみられる。テレビ用液晶パネルの価格は6月に過去最低価格を記録したが、これがサッカーW杯向けに出荷を増やしたテレビ各社の調達意欲を再び高めてきた。32インチを例にとると、9月の価格はボトムの6月から3割上昇している。

中小型の出荷は4社とも前年同期割れ

 売上高は4社合計で8%増えたが、大型液晶パネルを主力とするAUO、イノラックスと、中小型パネルが主力のCPT、ハンスターで明暗が分かれた。AUOとイノラックスはテレビ用パネル価格の上昇によって前四半期比でいずれも2桁近い増収を記録したが、CPTとハンスターはいずれも減収となった。スマートフォン市場が低調で、価格が低迷している影響を受けたようだ。

 出荷台数で見ると、AUOは大型液晶パネルの出荷台数が前年同期比2.4%増の2979万台、イノラックスが同11.5%増の3312万台と、いずれも出荷が伸びた。だが、中小型液晶パネルは4社すべてが前年同期の出荷台数を下回った。イノラックスは前年同期比1.9%減の7460万台、AUOは同9.1%減の4256万台、CPTは同4.7%減の7253万台、ハンスターは同0.3%減の1億1733万台だった。

中国メーカー台頭で売上高は年々減少

 台湾4社の四半期売上高は、中国の液晶パネルメーカーの台頭に伴って、年々減少している。ピークは07年10~12月期の3246億台湾ドル。リーマンショック明けの10年5月にはチーメイイノラックス(現イノラックス)がTPOディスプレイズ(統宝光電)を買収して規模を拡大したものの、売上高はその後も緩やかに減少を続け、15年から現在までの15四半期で合計が2000億台湾ドルを超えたのは3回しかない。

 18年10~12月期も堅実なパネル需要が続くとみて、AUOやイノラックスはいずれも高い工場稼働率を維持しているが、マーケットではテレビ用の在庫が増えつつあるとの指摘があるほか、さらなる値上がりをテレビ各社が牽制しているともいわれ、価格上昇が続くかは不透明だ。

 一方で、今後は中国BOEの10.5G工場から65インチなどの出荷が増えてくることが見込まれている。すでに18年1~3月期にCPTが営業赤字に転じ、イノラックスも18年4~6月期に最終赤字に陥っているが、在庫が積み上がるようだと年内に赤字に転じる企業がさらに増えるかもしれない。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏