世界同時株安からは反発したが、気になる円高傾向

2018年10月12日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より103円80銭高の22,694円66銭となりました。日経平均が急落した11日の終値は、前日比で915円18銭安の22,590円86銭。これは、9月10日以来約1か月ぶりの安値で、下げ幅は今年3番目の大きさです。

12日にも前日比267円43銭安で寄りついたものの、後場では買い戻す動きとなり、上げに転じました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。先週は米株をはじめ、欧州、中国、アジアの株式相場が軒並み下落しました。きっかけの一つとなったのが、米国の金利の上昇です。9日には、米長期金利の指標となる米10年物国債利回りが一時3.26%と7年5か月ぶりの水準に上昇しました。

10日のニューヨーク市場で、ダウ工業株30種平均は前日比で800ドル超下落し、2月上旬以来の大幅安となりました。ダウ平均は翌日も下げ、10日、11日の2日間で1300ドルあまり下落し、2か月半ぶりの安値となっています。

では、このまま世界同時株安が続くのかというと疑問もあります。一つは米国での景気がいいこと。米中摩擦の影響が懸念される一方で、企業の業績は好調です。金利の上昇も、低水準の失業率や各種経済指標がいいことを受けてのものです。

今回の株価の急落の前には、米国株は史上最高値を更新し、日本株も27年ぶりの高値圏となっていました。急上昇からの一時的な調整と見ることもできます。実際に、日本株同様、12日には米株式市場でダウ平均が4営業日ぶりに反発し、前日比287ドル高で終えています。

一つ懸念されるのは、米株の下げなどにともない、円高傾向になっていることです。11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は5日続伸し、1ドル=112円10~20銭で取引を終えています。前週に比べ2円以上、円が高くなりました。こちらも12日には小幅に反落しているものの、週初からの動きには注意が必要です。

下落後の明るい兆しと今後の注目点

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週まで、9月の上旬からずっと下値をサポートされていた5日移動平均線を割り込みました。先週はこれを回復できるかどうかがポイントでしたが、それを達成することはできませんでした。

むしろ、週初9日に窓をあけて下落すると、10日にはそれを埋めることができず、5日線に上値を押さえられ、11日にはさらに大きく窓をあけて続落となりました。懸念されるのはその下落の過程で、目先の節目とされる23,000円のほか、25日線、75日線、さらには一時、200日線まで割り込んでしまったことです。

ただし、一つ明るい兆しがあるとすれば、12日には大きな陽線となって200日線を回復したことです。さらにこのあたりは3月26日以来の上昇トレンドラインにも重なります。チャートの形としてはこの強い上昇トレンドの押し目買いの好機となっています。

今週、底入れ反発となるかどうかの判断は、まずは75日線(22,730円あたり)を回復できるかどうか。その後は、23,000円や窓埋めとなる23,500円などが上値めどとなります。

現状は、5月下旬以降長らくもみ合っていた23,000円を上限とするレンジの中に再び突入した形になっています。早期にここを上抜けることができればいいのですが、そうでないと再度、レンジ相場のような動きになるかもしれません。

逆にここから再度調整が入るとすれば、9月7日の安値(22,172円)は一つのポイントになります。というのも、ここを割り込むと、前述した中期的なトレンドラインが崩れてしまうからです。ひとまず、週初に陰陽どちらで引けるか注目したいところです。

下原 一晃