投資にはまとまった資金が必要だと思っている人も多いかもしれませんが、今は少額から始められる積立型の投資信託などの金融商品もあります。また、積み立てに際して税金を節約できる仕組みも登場しています。今回は、そうした仕組みについてご紹介します。

若い世代から支持される「つみたてNISA(ニーサ)」

金融庁が2018年7月に発表した3月末時点の「NISA(※1)口座の利用状況調査」によると、「つみたてNISA」の利用者の6割強が50歳未満となっています。ちなみに「一般NISA」の利用者では50歳未満が3割程度です。

1 NISA:Nippon Individual Savings Account(少額投資非課税制度)

2018年1月から始まったつみたてNISAは、毎月・隔月・半年に1回などの頻度で定期的な買付(積立)による投資を行う際、利益や分配金が非課税になる制度です。非課税枠は毎年40万円、非課税期間は20年ですので、非課税投資枠は最大で800万円になります。

つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されていて、投資の初心者にも利用しやすい仕組みとなっています(対象商品は金融庁のウェブサイトに一覧があります)。 

また、毎月1万円以下の少額からでも始められ(※2)、非課税期間が最長20年間と長いことも、若い世代がコツコツと長期的に資金形成をしていくのに向いていると言えるでしょう。

※2 金融機関によって最低積立額は異なります。

一方、一般NISAの非課税枠は年間120万円で、配当金、分配金や譲渡益が最長5年間、非課税となります。また、一般NISAの非課税投資枠で購入した株式や投資信託などは、5年間の非課税期間が満了しても新たな非課税投資枠へ移管(ロールオーバー)して継続保有することができます。

なお、一般NISAの口座とつみたてNISAの口座は併用できない点には注意が必要です。ただし、1年に1回、一般NISAからつみたてNISAへの切り替えをすることは可能です。

参考:金融庁NISA特設ウェブサイト

老後の資産形成を目指すならiDeCo

老後資産の形成を助けるものの代表格がiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)です。iDeCoは、毎月5,000円から1,000円単位で選べる掛金(※3)を積み立て、投資信託や定期預金などで運用し、原則60歳以降に受け取る仕組みです。

※3 掛金額の上限は、国民年金の被保険者種別や他の企業年金の加入状況によって異なります。

iDeCoでは、掛金を拠出するとき、運用益が出たとき、受け取るときの3段階で節税効果の恩恵を受けられます。仮に、年収500万円の30歳の人が毎月3万円、60歳になるまで積み立て続けるとすると30年間の税制優遇額は216万円にもなります(参考:iDeCo公式サイト – かんたん税制優遇シミュレーション)。

なお、iDeCoは原則的に60歳までお金を引き出せません。一見不便に思えますが、だからこそ確実に老後の生活資金が貯められるとも言えます。

貯蓄を増やすためのお金を確保するには

毎月少額とはいえ、つみたてNISAやiDeCoを利用して貯蓄をふやしていくためにはお金が必要です。ここではそのお金を捻出し、貯蓄につなげていくためのヒントを2つほどご紹介します。

貯金用の口座をつくり自動積立預金を設定する

給料受取口座とは別に貯金用の口座をつくり、給料が入ったら一定額を自動的に貯金用口座に振り込むように設定しておきましょう。給料受取口座に入ったままのお金は、貯金しようと思っていてもついつい使ってしてしまいがちですが、こうしておけば放っておいても貯金用口座にお金が貯まっていきます。

同じ設備で家賃の安い賃貸を探して節約する

賃貸住宅に住んでいる場合、毎月の支出の中でも家賃が占める割合は大きいものです。これを少しでも節約するためには、たとえば駅徒歩10分圏内で物件を探すのではなく、15分圏内で検索してみるのも一つの手です。似たような設備でも、数分長く歩くだけで家賃が1万円以上違う物件が見つかることがあります。引っ越しに一時的なお金はかかったとしても、長い目でみれば投資にまわせるお金をより多く捻出できるようになるでしょう。

まとめ

積み立てでコツコツ貯蓄をふやすには、リターンのことだけを考えるのではなく、税金などのコストを低く抑えることも大切です。今回ご紹介したつみたてNISAやiDeCoなどの仕組みを活用して、しっかり節税しながら資産を増やしていきましょう。

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LIMO編集部