10年で株価は5倍!電動工具大手マキタの業績と成長戦略

プロには知名度のある「マキタ」。最近ではDIYや個人の園芸向けにも知名度を上げてきている。同社の株価は非常に好調に右肩上がりに上昇している。直近の業績とともに同社のビジネスモデルについても見ていこう。

プロ向けだけではなくDIY好きコンシューマーにもおなじみ

マキタは、住宅建設を行うプロ向けなどの建設現場用に電動工具を販売している。世界各国に販売拠点を持ち、アフターサービス体制にも定評がある。こうした体制はユーザーであるプロにとって、心強くまた必要不可欠である。

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プロにとっての作業道具は中でも最も重要なアイテムともいえるかもしれない。なぜならば道具の不具合で一日でも使えなくなれば、その分作業が止まってしまう。つまりプロ自身のパフォーマンスをも決定しかねないのだ。

同社の製品は建設現場で使用することが多い製品であるため使用環境は過酷なこともある。利用状況次第では想像しているシーン以外での故障や部品交換が必要になる。それをいかにスムースに、また時間のロスを無く行うかが、同社のようなビジネスを行う上では重要となる。

また、同社は充電式製品群の展開にも積極的である。「エンジンから充電へ」というフレーズで大型工具のコードレス化に始まり、園芸用品などにもリチウムイオンバッテリー(バッテリ)を使用する工具を販売している。今後こうしたテクノロジーを活用したユーザーのパフォーマンスを向上させる施策がさらに注目されていくであろう。

世界で成長する日本企業の代名詞に

続いて、マキタの販売状況を地域別にみていこう。

2018年3月期の地域別売上高は連結全体で4773億円のうち、欧州が2020億円、国内が826億円、北米が739億円、アジアが441億円となっている。国内売上高の水準を見れば同社がすでに日本企業でありながらもその活躍の場は海外が中心であることが売上高の大きさからわかる。また、特に欧州での売上高が大きいことがわかるであろう。非常にバランス良く、世界中で販売している事が確認できる。

また、生産体制についてもさらにグローバル化が進んでいる。海外生産比率は90%と高い。2018年3月期の生産台数の総計3111万台のうち、アジアで2179万台、欧州で414万台、日本で289万台となっている。アジアのうち、中国が圧倒的な比率を占め、これは主たる競合相手のブラック&デッカーなども同じ状況とみている。

マキタの今後の成長はどこに

市場シェアは、それぞれの地域で異なるが、世界最大の市場である米国では、ホームデポなどの販売網が強く、競合企業の存在などもある。市場としては今後も積極的に取り組む必要はあろうが、短期的に大きく攻略していくのはなかなか難しい。価格のみではなく、アフターサービスの充実で、プロに商品を選んでもらうのがメインシナリオだ。

同社は、発展途上国においても直営の販売網を広げ、当時にアフターサービス体制も充実させて、地道に種をまいている。

こうした取り組みはその地域の売り上げが景気の波を受けて、不調な時も、続ける。これが、当社の強みであり、特徴でもある。例えば、近年は、中南米市場がブラジルを筆頭に厳しかったが、投資を含めて取り組みを続けてきた。これが、足元では、景気の回復と共に、大きな成長を見せている。

マキタの強固な財務体質だが、株主にとってどうか

一言いえば、マキタの財務内容は非常に強固である。2018年3月期決算では、株主資本比率が85%もある。ただし、これは株主からすれば簡単には喜べない事情もある。

その理由は同社の株主資本比率が高いことによりROEが低水準にならざるを得ない状況となっている。直近はROEが10%程度にとどまっている。

同社の配当性向は30%と悪くはないが、強固な財務体質を持つ同社への株主のプレッシャーは少なからずあるといえるであろう。今後は灰と問うともにさらなる自社株買いも期待されよう。同社からすれば持続的成長の為には必ず販売網拡大などの投資が必要で、投資に必要な状況は当然ながら今後も続くと言うかもしれない。ただ、そうした取り組みとともに更なる株主還元は期待されよう。

青山 諭志

ニュースレター

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慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット動向、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄や投資といった個人の資産運用動向を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。