今後の学習指導要領改訂で重きを置かれる「考える力」。目に見えない力だからこそ、伸ばしてあげたいと思っても難しいところですよね。

普段の子どもとの会話にちょっとプラスするだけでも、子どもに考えるキッカケを与えることができたり、発話を促すことができるようになります。その理由と、具体的にプラスしたいフレーズをご紹介します。

親子の会話が思考力を変える

日常的な子どもとの何気ない会話でも、親がかける言葉をちょっと変えるだけで、子どもの思考力が伸びるようになります。

たとえば親が「今日は何をしたの?」と聞くだけでは、子どもは「〇〇をした」と結果のみを答えて終わりになるでしょう。これに「何で〇〇をすることになったの?」と質問を加えると、理由について話し合えるようになります。

普段の会話で理由を考えたり、実際に口に出して説明することは思考を深めます。さらに普段から親に理由を聞かれていると、子どもも次第に行動するときに理由を考えるようになるでしょう。親の普段の言葉がけが、子どもの思考を変えることもあるのです。

普段の会話にプラスしたいフレーズ5つ

それでは、普段の会話にプラスしたいフレーズと、その理由をご説明しましょう。

「何で?」→ 理由を考える

一番シンプルで使いやすいフレーズが「何で?」です。答えを出すまでには、必ず何かしらの理由を述べる必要があります。普段から理由を聞くことで、子どもも理由について意識するようになるでしょう。自分で考えた理由を親に話して言語化することで、説明能力も上がります。

さらに理由について、深堀りしてみると良いでしょう。理由の部分には子どもの性格や思考癖、好き嫌いなどが表れてくるものですが、それを否定しないことも大切です。聞きながら受け止め、改善点があれば提案するような言い方をすると伝わりやすくなります。

「どうやって?」→ 過程を考える

「どうやって?」は英語で言うところの「How」に当たります。理由と同じく、答えを出すためにはどんな過程を経たのか説明する必要があります。子どもがどのように試行錯誤したり、工夫したり、悩んだり、行動したのか、その過程について詳しく聞いてみましょう。

親に過程について話すことで、「Aをして、Bをしたら、Cになった」というような順序を立てて説明する力も付くでしょう。

「比べてみると?」→ 比較

アイデアを出すというとゼロから何かを生み出すように思われがちですが、多くのアイデアは、既に出ているものの組み合わせから生まれます。比較をすることで見えてきたり、分かること、発見するものがあるので、小さなころから物事を比較してみる癖をつけておくと良いでしょう。

これは遊びでもできることです。たとえば電車に乗りながら「新幹線と電車、違うところはどこ?」と子どもと言い合って遊ぶのも良いでしょう。

ただ気を付けておきたいのが、人と自分を比べてばかりいるようにならないこと。「自分に勝つ」意識を持つことも同時に伝えましょう。

「本当はどうしたい?」→ 自分の気持ちを言語化する

考える上で、感情は不要なように思えるかもしれません。しかしいくら正しい答えであっても、自分の気持ちがつ いてこなければ実践できないので、本当の正解とは言えないでしょう。正しさは人、状況、環境などによっても異なるものです。「自分にとって正しい答え」を出すためにも、普段から自分の気持ちを大切にする意識は必要です。

「本当はどうしたい?」「どんな気持ち?」などと子どもに聞いてみて、子どもが自分の気持ちを意識できるよう、促してあげましょう。

「どうすれば良いと思う?」→ 目標を定める

人は考えるときに「原因を追求するタイプ」と「結果を追求するタイプ」に分かれます。原因を追求することも大切ですが、原因だけを考えていても答えは出てきません。どうすべきなのかという目標を定める意識を持つと、答えへの道筋が見えてくるものです。

子どもが悩んでいたり、失敗したときには「どうしたら良いと思う?」「どうしたい?」と聞いてみましょう。子どもに答えを出してもらい、そのために必要な行動をあげてもらったり、一緒に考えてみましょう。

子育て中は忙しいものですが、余裕のあるときに一言プラスしてみてくださいね。子どもの新たな一面を知ることもできるでしょう。

宮野 茉莉子