老後貯蓄いくらあれば安心できるのか

必ず知っておきたい税制メリットのある制度とコツ

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日本人の平均寿命が、男女ともに80歳を超えています。60歳または65歳で定年退職という企業が多い中、平均寿命で考えても多くの人は定年後15年から20年は生きることになります。定年退職後に時間ができて「うれしい」と思う一方、定年後も今と同じ生活水準を維持できるか不安になるという方もいるでしょう。今回は、定年後の生活を支える老後貯蓄についてみていきましょう。

あなたの老後貯蓄はいくら必要か

総務省による「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」では、年齢層別の消費支出のデータを公開しています。二人以上の世帯の消費支出のうち、60から69歳では約29万円、70歳以上では約23万円となっています。

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仮に定年退職が60歳で、平均消費支出の水準で80歳まで生活するケースではとどうでしょうか。

29万円×12か月×10年+23万×12ヶ月×11年=6516万円

いずれも平均値を使用した数値ですが、80歳まで生きたら6500万円以上も必要になることになります。退職後の収入は、定職などもなければ年金だけだという方は多いのではないでしょうか。年金で手にする金額は人によってちがうため、必要な老後貯蓄額は変わってきます。とはいえ、安心して老後を送るためには、年金収入があるとはいえ、それなりの老後貯蓄が必要だといえるでしょう。

ここでのポイントは、計算にあたり、平均消費支出と平均寿命などを意識しいる点です。人よりも趣味や旅行などにお金をかけたいというケースではさらに支出は増えるでしょうし、平均寿命よりも長生きされる方もいらっしゃいます。そうした前提であれば必要な費用はさらに増すことになります。

老後貯蓄あなたに最適な貯め方を考える

老後貯蓄が、老後生活を左右するとても大切なものだということは理解して頂けたと思います。では、どのように貯めていったらいいのでしょうか。

貯蓄を貯めるには、大きく3つのステップに分かれようかと思います。ひとつは「経費を削る」、次いで「収入を増やす」、そして手元資金を「運用する」。今回は3つのステップのうち「運用する」と「収入を増やす」にフォーカスをして話を進めてみます。

老後貯蓄を貯める方法①:貯蓄の第一歩は財形年金貯蓄などの給与天引きを活用したい

「財形年金貯蓄」とは、企業が毎月の給与から一定額を天引きして金融機関に送金し貯蓄商品で運用する子ができる制度です。元本550万円までにかかる利子が非課税になります(「財形住宅貯蓄」とあわせて、貯蓄残高550万円)。

貯蓄商品としては、預貯金、合同運用信託、有価証券、生命保険などがあります。先ほども指摘したように給与からの天引きということもあり、一度自分で設定すれば自動的に老後資金をためることができることができます。定年退職まで時間のある方は検討する価値はあるでしょう。

参考:独立行政法人勤労者退職金共済機構「財形年金貯蓄」

老後貯蓄を貯める方法②:iDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制面で有利な運用を

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金とは別に自分で老後資金を作るための公的な制度です。国の定めた確定拠出年金法に基づいて実施された制度で、60歳までの間、毎月一定金額を積み立てて資産運用し、60歳以降に運用益も含めてそのお金を老後資金として使う、というシステムになっています。

積み立て、運用したお金は原則60歳まで手を付けることができず、緊急時には使えないというデメリットはありますが、税制上の優遇処置が受けられるというメリットがあります。窓口となる金融機関によって手数料や商品内容が異なることがあります。iDeCoの利用をする場合には比較検討してみるといいでしょう。

iDeCo以外にも、NISAやつみたてNISAといった税制面で有利となる資産運用手段があります。資産運用を始める際にも、単に株式や投資信託を証券会社を通じて投資や購入をするのではなく、税制面で有利になるような工夫をすると長期的なリターンが向上する可能性が高まります。

老後貯蓄を貯める方法③:副業などで収入増を自分の力で実現する

続いて「収入を増やす」点について見ていきましょう。

現在の仕事でステップアップして年収を上げるというのは一番王道といえるかもしれませんが、社内の昇進などは必ずしも自分の努力だけで実現するものとは言えないというのは多くのビジネスパーソンが感じているところではないでしょうか。自分の仕事が直接収入につながるような「副業をする」というのは収入を増やすためのひとつの方法です。

もちろん副業が認められていない会社もまだ多く、幅広い方が選択できるチョイスでは現時点ではないですが、副業が認められている場合には検討してみる価値はあるでしょう。副業によって現在勤務している以外の接点も増えるでしょうし、地方勤務の場合でもインターネットを通じて全国の仕事を受注することが可能な時代にはなりつつあります。

副業は年齢に関係なく始められますが、50歳を過ぎてから始めるときは、定年退職後のことも視野に入れ、長く続けられそうな副業を選ぶのがよいのではないかと思います。

まとめにかえて

今回は老後を安心して過ごすための老後貯蓄の必要性と老後貯蓄を増やすための方法を考えてみました。多くの方は目の前のことに精いっぱいで、老後のことまで考える余裕がないというケースもあるでしょう。一度、立ち止まって自分のライフスケジュールを見つめてみてはどうでしょうか。早いタイミングで老後貯蓄をスタートするほど、貯蓄額も増やしやすくなりますが、いつからでも遅いということはありません。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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