2018年8月24日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社セルシード2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社セルシード 代表取締役社長 橋本せつ子 氏

目次

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橋本せつ子氏:ご紹介ありがとうございます。みなさまこんにちは、株式会社セルシードの橋本せつ子と申します。本日は、2018年12月期第2四半期の決算報告をしたいと思います。

本日は、このような流れでご説明をさせていただきます。まず、当社の会社概要。それから、上期の損益数値概況をご報告した後に中期経営計画の概要をお話しして、そして現在開発中の2つのパイプラインの進捗についてご報告いたします。それから、海外展開の状況についてもお話をしたいと思います。

株式会社セルシード会社概要

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まず、株式会社セルシードの概要でございます。

私どもの会社は、2001年に設立されました。そして、基盤となる技術は、温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学でございます。これは、東京女子医科大学の岡野光夫教授の発明をもとに、細胞をシート状に回収できる技術でございます。この技術を事業化するために、株式会社セルシードが2001年に設立されました。そして現在、東京証券取引所JASDAQグロースに、2010年から上場させていただいています。

私どもの事業は、大きく分けて2つございます。

まず、向かって右側の事業でございまして、「再生医療支援事業」という名前でまとめています。温度応答性ポリマーを用いた特殊な培養皿を製造・販売する事業が、最初の事業でございます。そして、この事業の中に、今年(2018年)から再生医療受託サービスも加わってまいりました。これについては、後ほどまた詳しくご説明をしたいと思います。

そして、もう1つの事業でございます。「細胞シート再生医療事業」と申しまして、温度応答性培養皿を用いて作った細胞シートを使って、さまざまな再生医療を事業化するものでございます。

細胞シート再生医療事業

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現在、この細胞シート再生医療事業の部分に関しましては、この絵に示していますように、さまざまな医療応用・開発が世界中の研究者によって進んでいます。その中で、当社は現在、左側にあります食道の事業と、それから(右側にあります)膝の軟骨の再生の2つのパイプラインを、自社の開発パイプラインとして進めています。

再生医療支援事業①

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そして、再生医療支援事業の中身について、もう少し詳しくご説明をしたいと思います。最初に、特殊な培養皿でございますが、製品としては3種類がございます。

1番目は、一番ポピュラーな「UpCell®」と言って、細胞シートを作ってシート状に回収するための培養皿でございます。これは、培養皿あるいはプレートの表面が特殊なポリマーでコートされていまして、ここで細胞を培養した後に温度を下げてあげるだけで、そこで増殖した細胞を、細胞同士がつながった状態でシート状に回収できる培養器材でございます。

2番目の製品としては、「RepCell™」という商品名でございます。これは、表面は基本的に「UpCell®」と同じものでございますが、ご覧のように、培養皿の表面に格子状のグリッドが作られています。ですから、大きなシートではなくて、このグリッドぐらいの……小さな3ミリ×3ミリの小さな細胞片として、細胞を回収できる培養皿でございます。

そして3番目は、「HydroCell™」という製品名でございます。今度は逆に、培養皿の表面は、細胞が非常に付着しにくいポリマーでコートをしています。ですから、細胞を付着させないで、例えばスフェロイドと言われる、毬藻のようになった状態で細胞を回収する。そういった研究用に作られた器材でございます。

再生医療支援事業②

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そして今回、再生医療支援事業で、私どもは新たな再生医療受託サービスを開始いたしました。

1つ目は、細胞シートの製品の製法を開発したり、それから当社でシートを受託製造したりする事業でございます。当社は細胞培養センターを持っていまして、ここは昨年(2017年)、特定細胞加工物製造の許可をいただいています。

ですから、こうした受託製造が可能になっていまして、そこでクライアントさんから依頼を受けて細胞シートを製造して、それをクライアントさんにお届けする事業を始めています。このために(特徴としては)先ほども申しましたが、特定細胞加工物製造の許可を受けていますし、当社では日本再生医療学会認定の臨床培養士等の、経験豊かなスタッフを揃えています。

それから、こうしたサービスのもう1つのものとしましては、細胞培養するための施設の運営管理ですとか、許可を得るための申請支援をするということです。特定細胞加工物製造事業者の許可申請・届出のご支援をする。あるいは、実際の施設を運用するときの手順書・基準書などの文書を作成したり、コンサルティングを受ける。これまで私どもが築いてきたいろいろな経験・ノウハウをお届けするサービスを始めています。

さらにもう1つは、実際に細胞シートを培養して作るプロセスをトレーニングするサービス(細胞培養技術者教育)を始めています。

連結損益数値(2018年12月期上期)

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それでは、2018年12月期上期の連結損益数値をご報告したいと思います。

ここにございますように、一番最初の行が、今年(2018年)の2月に発表したときの期初予想の数字(A)でございます。売上高が3億円、そして営業利益が3億円の赤字、経常利益も2億8,000万円(の赤字)という数字で、期初予想を出していました。

実際の上期決算値(B)が2行目に書かれていまして、売上高が3億4,700万円、営業利益は4,000万円の赤字、経常利益も同等の数字(の赤字)でございます。ですから、ここ(B-A)に予算との差額を書いていますが、売上高は予算を4,700万円上回って、上期が終わっています。そして、上期の営業利益・経常利益も、当初予算よりは赤字を非常に縮小して終えることができました。

そのうち、先ほどお話ししましたように、再生医療支援事業に関しましては昨年(2017年)とほぼ同水準で、売上高は約2,200万円で終わっています。一方、細胞シート再生医療事業は、これまで売上高がほとんどゼロだったわけですが、今年は台湾事業提携先への一部開発データの提供が、当初の予想を上回るスピードで進みまして、売上高が3億2,500万円で終わっています。

それから、利益で非常に赤字が縮小された理由の1つとしましては、例えば細胞培養施設の維持費……定期修理などを行いますが、上期に予定していたものが下期へ時期がずれたとか、こういうことで、少し上期の赤字が縮小されています。

それから、2018年12月末の予想でございます。現在私どもは、上期は非常に好調な状態で進んでいまして、下期も同様にいく予定です。通期業績予想は、期初のままで据え置きをしておきたいと思っています。下期の中でも第3四半期・第4四半期がございますが、現在の予定ですと、最後の3ヶ月の第4四半期に、非常に大きな売上が想定されています。

中期経営計画概要(2018年-2020年)

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それでは次に、今年(2018年)の年初に発表しました中期経営計画をご説明して、それが実際にどのように進捗しているかについて、お話をしたいと思います。これが、今年の初めに出しました、2018年から2020年にかけての向こう3年間の私どもの中期経営計画を、概要としてまとめたものです。

まず、一番重要なポイントは、今私たちが開発をしている中で一番進んでいる、食道再生上皮シート。これの承認を取得して、販売を開始したい。これが、一番大きな目標となっています。そして次に、軟骨再生シートの開発を加速したい。そして、向こう3年の間には、次期品目の開発にも着手する。こういう目標を掲げてスタートしています。

そして、こうした再生医療製品の開発がかなり進んでまいりますので、こうしたものを製品として私どもが製造して、確実にお届けできるサプライチェーン体制を構築していくことも、目標に掲げています。

一方で、先ほどお話ししました再生医療支援製品も、受託サービスなども追加することによって、より新しい製品・新しいサービスを増やして、収益機会を獲得していきたいと思っています。

さらに、私たちのもう1つの大きな目標として、日本初のユニークな細胞シート工学という技術を、日本のみならず世界に展開していきたいということを常に考えています。

日本人の食道がん

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それでは、私どもの開発品目の、目標の1番目となります食道再生上皮シートの進捗について、ご報告をしたいと思います。

まず、もとになる疾病である食道がんについて、少しおさらいをしておきたいと思います。今はだいたい、毎年年間2万2,000人の方が新たに食道がんと診断され、そしてその約半数の方が亡くなるという疾病でございます。

しかも男性の場合は、女性に比べて発症率・死亡率が約5倍高いという特徴を持っています。そして日本では、食道がんの診断のうち90パーセントが扁平上皮がんと言われるタイプのがんでございます。現在ですと、食道がんの診断はかなりステージが進んで(から)行われることも多く、5年生存率は男性で36パーセント・女性で44パーセントと、非常に低い予後の悪いがんです。

そして、主な治療法と言いますと、これまではやはり外科的手術が先行していたわけですが、ここにお示ししていますように、内視鏡を使った切除手術、とくにESDと言われるタイプの切除手術が、ここ数年で急激に広まっています。これは、本当に患者さんにとっては非常に負担の少ない、内視鏡・胃カメラを飲んで表在がんを切除できるということで、非常に画期的な手術でございます。

このESDという手術は、2008年に保険収載もされ、非常にこういう(グラフの推移の)かたちで(患者の)数も増えているわけです。ところが、これに副作用が1つございまして、食道の表面のがんを内視鏡で切除した後、どうしても傷が治る過程で、食道そのものが狭窄を起こしてしまう。そして、飲食が非常に困難になるという副作用が知られています。

食道再生上皮シート製品化への道

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そこで、東京女子医科大学の先生たちが、こうした内視鏡手術の副作用を克服するための治療として開発されたのが、この食道再生上皮シートの治療でございます。

最初の臨床研究は、東京女子医科大学でスタートしています。2008年から2014年にかけて、日本ではまず、東京女子医科大学で10例の患者さんでこの新しい治療法が試みられ、さらに東京女子医科大学と長崎大学の間で、10例の患者さんで試みられました。

そしてその後、今度は欧州のスウェーデンのカロリンスカ大学病院の先生方とも協力をして、この技術をスウェーデンに移転して、スウェーデンで実際に細胞シートを作ることによって、スウェーデンの10人の患者さんの治療も行っています。

ここで非常に良好な成績が得られましたので、今度私どもは、東京女子医科大学と開発基本合意契約を結んで、今度はセルシードがバトンを引き継いで、実際の製品開発を始めたところです。

まず日本におきましては、製品としての承認取得に向けた臨床試験を始めました。2016年の4月に治験届を出して、2016年の夏から治験を開始しています。そしておかげさまで、今年(2018年)の第2四半期ですべての症例の登録が終了いたしました。これからデータ・申請資料をまとめて、申請に持っていきたいと思っています。

この食道の品目ですけれども、昨年(2017年)の2月に厚生労働省が新たに作りました、先駆け審査指定制度の品目として指定されています。ですから、現在私どもは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)とも非常に密にコミュニケーションを重ねながら、申請に向けた準備を進めています。

この先駆け審査指定制度の一番大きなメリットとしては、申請をして承認(される)までの時間が、今までは平均で1年かかるところ、半年で承認を下ろすと言われている制度でございます。今のペースで承認申請の準備が整えば、来年2019年には承認が取得できるのではないかと考えています。

そして次に、今度は海外での活動になります。まずは、カロリンスカの先生たちを中心に、欧州でも治験を始めるべく準備も進めています。さらに、ここに台湾の企業が新たに加わってまいりました。昨年の4月に、台湾のメタテック社という会社と私どもが契約を結んで、食道シートの開発に関する台湾での独占的な開発権を、この台湾の企業に付与いたしました。

それで現在、台湾の企業では、台湾で食道の開発を進めるということで、準備を進めていらっしゃいます。今の予定ですと、今年中に台湾で治験届を出せるようにしたいという目標のもとに、準備を進めておられます。これが食道に関する、現在の日本と海外での動きになります。

食道再生上皮シートの承認取得・販売開始

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先ほどもちょっと申し上げましたが、食道に関しましては、今年(2018年)の上半期ですべての治験の症例登録が終わりまして、これから来年(2019年)上期に承認申請を出せるように進めています。そして、2019年中に販売承認を得て、薬価収載をいただいた後、販売開始。2020年には販売本格化といったロードマップを描いているところでございます。

ちなみに、食道の場合、これは自己の細胞でございますので、実際にシートを作るためのもとになる細胞は、患者さんご自身の口の中の粘膜細胞を採取します。それを私どもの細胞培養センターでシートを製造して、このシートをまた病院にお届けして、病院で内視鏡の手術をした後に傷口にシートを貼っていただくという治療になります。

軟骨再生シートの開発

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次に、2番目の品目の、軟骨再生シートの開発状況についてご報告をしたいと思います。

これは、東海大学の佐藤正人教授との共同研究で進めているものです。佐藤先生も、「細胞シート工学を、整形外科の領域に応用したい」「みなさんが一番困っている、変形性膝関節症の治療に使いたい」ということで、開発を進めてらっしゃいます。

まずは、自己細胞を用いた臨床開発でございます。これは、患者さんの膝の軟骨のすり減った部分を、細胞シートで再生を促す治療でございます。まずは、患者さんご自身の軟骨の、まだ健康な部分から細胞を一部採取してきて、これでシートを作ります。このシートを3枚重ねたものを、今度は膝の損傷部分に移植して、軟骨そのものを再生させるという治療です。

関節治療を目指した臨床研究から事業化へ

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この治療に関しましては、すでに臨床研究を終えて、8例の患者さんの成績が報告されています。先日、テレビで報道がありましたように、それまで部屋の中で歩くのにも困っていた方が、この手術を受けた後、四国のお遍路さんに行かれるようになったとか、かなり良好な成績が報告されています。

軟骨再生シートの開発加速

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現在、東海大学では、この自己細胞シートを用いた治療に関しましては、先進医療B(第3項先進医療)を実施しようということで、厚生労働省の医政局と準備を進めているところでございます。医政局の専門官との相談を踏まえて、申請ができるように準備を進めていらっしゃいます。

実際の先進医療が認められましたら、そこで用いられる細胞シートでは、今度は私どもが、先ほどご紹介した受託製造サービスを使わせていただいて、私どもの細胞培養センターで軟骨細胞シートを製造して、それを東海大学にお届けすることを実施しようというお話をしています。

次に、今度は佐藤先生は同種細胞……つまり、他人の細胞を使って細胞のストックを作っておいて、それで細胞シートを作って移植する研究も同時に進めていらっしゃいます。そのもとになる細胞に何を使うかと言いますと、多指症の赤ちゃんの軟骨細胞です。

「多指症」といいますのは、通常は5本の指で生まれるわけですが、ときどき6本目の小さな指が生えている赤ちゃんがいらっしゃいます。そうした赤ちゃんは、だいたい1歳前後で指を切除する手術を受けられるんですが、その手術で得られた、本来ならば廃棄してしまう組織をいただいてきて、そこから細胞を抽出して細胞ストックを作り、それからシートを作る試みでございます。

東海大では昨年(2017年)の2月に、他人の細胞を使った細胞シートの1例目の移植手術を行われました。今年(2018年)の2月に、ちょうど1年後のフォローアップをして、軟骨の損傷部分がきちんと再生されていることを確認しています。現在までに、すでに3例の患者さんで、他人の細胞を使った移植が行われています。これから向こう3年をかけて、10名の患者さんで移植手術をする予定でございます。

東海大での研究開発の流れを見ましても、佐藤先生がこういう研究を始められたのが、2004年ぐらい。もうすでに十数年経っていますが、当初私どもは、特殊な温度応答性培養皿を提供するところから始まり、現在では共同研究契約を結んで、私どもの研究員も大学に行って一緒に研究をする。さらには、AMED(日本医療研究開発機構)の事業にもご一緒させていただくということで、かなり密な感じで共同開発を行っています。

そして、大学との間では開発基本合意書を交わして、軟骨のシートに関してはセルシードが開発する企業であるということで、現在は国内、それから海外での開発を進めているところでございます。

国内では、先ほど申しましたように、自己(細胞)に関しましては、これから先進医療Bを進められますので、そこで用いられる細胞シートの受託製造をする流れを考えています。さらに、他人の細胞……同種細胞についても、これから実際の臨床開発、それからさらには治験を進めていこうということで、PMDAとの戦略相談を進めています。そして、AMEDの事業にも採択されましたので、この中では有効性を示す因子を探索する研究も、一緒にやっているところです。

そして、先ほどお話ししました台湾企業との提携です。台湾企業には、食道シートの品目だけでなく、軟骨の細胞シートもございます。そして、当初は軟骨に関して治験をして、製品としての承認を得るということで契約を結んでスタートしたのですが、現在は台湾政府も再生医療ということで、国を挙げていろいろと促進の政策が進んでいまして、最近、新たな細胞治療関連の法律案が提示されています。

その内容を見ますと、日本の先進医療と非常に似たかたちで、医療機関が一定のプロトコルで「こういう治療をやります」と申請して、それが承認されれば、実際にその治療を病院で行うことができる。そして、患者さんからその治療費もいただくことができるという法律案が示されています。台湾としても、こうした再生医療をより早く進めたいということで、こういう法律を制定の方向に向けて動いているところでございます。

自己細胞シートに関しましては、先ほども申し上げましたが、2018年の下期中に、これから東海大学より先進医療Bの申請をされまして、申請後に厚生労働省の先進医療会議が開かれます。そこの審査にかけていただくための準備を、今進めているところでございます。そして、実際に治療が始まった場合には、細胞シートの受託加工を私どもがお受けするということで、今準備を進めています。

そして、同種細胞に関しましては、先ほど申しましたように、現在東海大学で臨床研究が進んでいまして、私たちはそれと一緒にレギュラトリーサイエンス戦略相談、それから総合相談および治験準備を進めていまして、2020年には企業治験を開始したいと考えています。

台湾企業との事業提携開発進捗

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最後になりますが、私どもの海外展開の進捗についてご報告をしたいと思います。

まずは、先ほどからいくつかご紹介をしています、台湾企業との事業提携の進捗についてご報告をしたいと思います。

私どもが契約を結びました、台湾の企業のMetaTech社。中国語では「三顧」と書かれています。1998年設立の、かなり歴史のある会社です。もともとは半導体関係の事業をやっている会社さんで、細胞シートの再生医療を新規事業として立ち上げようということで私どもと話をして、食道再生上皮シート、それから軟骨再生シートの、台湾での独占的な開発・製造・販売権を、このMetaTech社に付与したところでございます。

ですから、台湾での開発は私どもではなくて、MetaTech社が主体となって開発を進められる。そして、それに対して私どもは、これまで日本で得られた情報・経験・ノウハウといったものを提供して支援するという立ち位置でございます。

このMetaTech社との契約を昨年(2017年)の4月に結びましたが、そこの契約では、総額12億5,000万円のフィーをいただけるという契約をしました。それはいくつかのパーツに分かれていまして、まずはMetaTech社での食道あるいは軟骨のシート開発の進捗に応じたマイルストーンを設定して、そのマイルストーンに到達したらフィーをいただくというものと、それから、当社が持っている開発・製造関連のデータを提供する。そのデータ料ということで、付与いただく。

それからさらに、実際の開発のサポートや、MetaTech社のスタッフのトレーニング。こうしたサポートをすることによっていただく、サポート費・フィー。こうしたものを、いくつか組み合わせています。総額で、12億5,000万円という契約でございました。

そして、さらに台湾で、食道および軟骨のシートが実際に上市して、台湾での売上が上がりましたら、その売上に応じたロイヤリティもいただくという契約になっています。

昨年の4月に契約を結んで、当初マイルストーンも設定して計画を立てたわけですが、1年少し経ちまして、実際には一部の開発データの提供が、当初の予定を上回る前倒しのスケジュールで進んでいます。その結果として、今年(2018年)の上期売上高は、MetaTech社からの売上が3億2,500万円になりました。

そして、MetaTech社は、今年中の食道再生上皮シートの治験届の提出に向けて、現在準備を進めておられます。

そして、先ほども申しましたが、台湾では今、細胞治療の法律改正に動きがありまして、早ければ9月には新しい法律が施行されると言われています。その内容としては、日本の先進医療Bに非常に近いものですので、ここで「台湾版『先進医療』」と書かせていただきましたが、軟骨に関しては、この法律に則って開発を進めたいということを検討されています。ですから、当初の予定を上回って、台湾での開発も非常に加速している状態でございます。

世界展開に向けた事業提携推進

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そして、台湾以外の他の国、あるいは他の世界の企業との連携を、私たちも引き続き探っているところでございます。

今年(2018年)の上半期に実際に行った、あるいは(今後)予定されているいろいろなマッチメイキングのイベントにも、ここに挙げていますように、ヨーロッパ・アメリカ、そしてアジア諸国で積極的にそういう場に出ていって、いろいろな企業さんと面談を進めているところです。

ですから、今年あるいは来年(2019年)以降で、こうしたところからまた新たなパートナーを見つけて、次の事業提携の契約に結びつけていきたいと考えています。

これが今年の上半期の、現在の私どもの事業進捗についてのご報告でございました。今日は、ご清聴どうもありがとうございます。今後とも引き続きご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

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