近年、ドローンの用途が広がっています。インプレス総合研究所の調査に基づく「ドローンビジネス調査報告書2018」によると、2017年度の国内ドローンビジネス市場は503億円と推測され、前年度から150億円の増加となりました。

同書では、2024年度には約7倍の3711億円にまで市場が拡大すると予想されていました。

実際に、一般的な用途である撮影に加えて消防や警備などといった新たな用途が次々と生み出されています。ドローンは今後、どのように進化していくのでしょうか。

ドローンとは?

われわれは近年、頻繁にこの言葉を耳にするようになりましたが、意味や発祥を知らない人も多いのではないでしょうか。

これは英語の「Drone」のことで、「無人機」の意味を持ちます。一般的に乗務員が搭乗しない航空機を指すようです。

ドローンは現在、多くの人々の役に立っている便利な道具ですが、元々は戦争の道具として生まれました。第二次世界大戦の際に、イギリスやアメリカが開発した無人航空機が現在のドローンの元になっています。

兵器として使われる「殺人無人機」

当初の軍事用ドローンの用途は偵察用でしたが、後に爆弾やミサイルなどが搭載され、兵器として使われるようになりました。この「殺人無人機(キラードローン)」の対人使用は、2001年のアフガニスタン紛争の空爆で初めて実施されました。

現在も軍事用ドローンの高性能化は日進月歩で行われています。「New York Post」紙は、数千台の無人航空機が兵器になる「ドローン戦争」の勃発が、近い将来起こり得る危険性を懸念しています。

兵器以外のドローンであっても、民間人の殺傷を起こし得ることが危惧されています。実際に、岐阜県で行われたイベントで、お菓子を撒いていたドローンが墜落して民間人6名が怪我を負った事例がありました。海外では、死亡事故の事例も報道されています。

活用されるドローン

こうした危険な面も目立つ傾向にあるドローンの使用ですが、もちろん日常的な場面でも役立っています。

すでに飲食店で食事を運ぶウェイターや、空から畑や田んぼに向かって農薬を散布することなどに使われています。

ドローン市場の拡大が続く日本でも、こうした利用は広がっていくでしょう。富山県の堀江商会では、地上でとった測量データとドローンの撮影データを加工処理して建設機械に入力するという仕組みが作られ、大幅に効率化された測量が実施されるようになりました。

東大で開発された「DRAGON」

日々進化を続けるドローンですが、東京大学の情報システム工学研究室(JSK)が変わったドローンを開発しました。その名も「DRAGON」。

東大とドラゴンといえばスポ根受験漫画で一世を風靡した『ドラゴン桜』を想像する人も多いかもしれませんが、残念ながら関係ありません。「Dual-rotor embedded multilink Robot with the Ability of multi-deGree-of-freedom aerial transformantiON」の略で、空中で自由自在に変形できるドローンのことなのです。

これは制御機器やバッテリーなどの結合部分の稼動域が広く、直線やジグザグなどの変形が可能なことに加え、立体的な形をもつくることができる特殊な機体を持ったドローンです。そのため、人が入りにくい場所の調査を期待されています。

こうした形でうまくドローンを利用することで、多くの人々を助けたり、役に立ったりすることも可能となります。今後、ドローンはさらにわれわれの生活に身近な存在になっていくでしょうが、大事なのは使い方を誤らないことでしょう。

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