かつて女性の多くが専業主婦だった日本。現代になっても、なかなか女性のライフサイクルに合わせた雇用環境が増えず、結婚したらパートや派遣など非正規の仕事に切り替えたり、仕事を辞めて育児や家事に専念したりする人が少なくないですよね。

そうした生活自体が悪いということではないのですが、いざというときに困るのは女性、というケースは多いもの。そこで今回は、経済力不足で悩むことのないように「お金をふやす力」をつける方法を考えたいと思います。

そもそも、なぜ経済力不足に陥るのか

まずは経済力という点で夫を頼りにしていると、どんなリスクがあるのかを考えてみましょう。

たとえば、離婚。いまや3組に1組は離婚していると言われる日本。離婚自体が悪いということではありませんし、むしろ今の日本ではポジティブな兆候なのではないかという気もします。というのは、これまで経済力不足で、離婚したいけれど離婚できないと我慢する女性を少なからず見てきたからです。

そう思うと、少しずつですが日本も女性が働きやすい会社が増えてきて、離婚しても経済的に困ることがない女性が離婚に踏み切っているのではと感じるくらいです。しかし、その一方でまだまだ経済力な自立が難しく、離婚に踏み切れない人も多いですよね。

また、別のリスクとしては、一家を支えてきた夫が病に倒れたりケガで働けなくなったりするという状況が想定できます。これは誰にでもあり得ることですし、そうなったら家計が大きく狂ってくるのは目に見えていますよね。

夫に限らず、自分も大きなケガや病気で床に臥せることがあるかもしれません。そういうとき、治療費が心配ですよね。家事ができる人がいなくなったら? 子どもの面倒を見る人がいなくなったら? そう思うと、夫しか働いていないという状況は、経済面で非常にリスクが高い状況であると言えます。

こういったリスクをふまえて、女性が経済力不足に悩まないためにどうすればいいかを考えていきたいと思います。

働くことはリスクヘッジの一つ

ここまで見てきたリスクを考えると、やはり結婚や出産を経ても女性も正規雇用で働き続けるというのが一番のリスクヘッジなのではないかと思います。今の日本では、産後も従来と変わりなく働くというのはなかなか難しいですが、それでも、そういう企業は出てきています。

できれば、1つの会社で少しキャリアを積んで、育休産休に入り、望まれながら復帰するのが理想的です。そのためには、若いうちから、キャリアを積めて産休育休が取れて、女性の産後復帰率の高い職場を選択するということが必要になってきます。

就活の時点でそこまで考えて勤務先を選ぶのは簡単ではないでしょう。ですから、もしあなたがこれから結婚や出産を経験するというのであれば、タイミングを計って職場復帰しやすい環境が整ったところに転職するのも一つの手です。

3年くらい働いて復帰しやすいようにキャリアを積んで、産休育休に入って、2年で復帰したいと考えていたとしましょう。それならば、子どもを産むまで3年働くということを考えながら逆算し、転職の時期をはからなければなりません。産休前でどこまで自分の実力をつけられるかがある意味、勝負になってきます。

また、キャリアという点で一つ考えてほしいのが、収入源を一つに絞ってしまわないということです。これは特に女性のようにライフイベントが多い場合にオススメなのですが、簡単に言ってしまえば副業をしてはどうかということです。

趣味の延長で始められるようなことからでいいので、収入源の多角化をめざしましょう。たとえば、在宅でもできる仕事であれば産休や育休のときにも続けられるかもしれません。そうすれば、会社へ行くよりは収入が減るかもしれませんが、一定の収入は確保できます。収入がゼロになるよりはずっといいですよね。

さらに、これは少し余談ですが、出産の経験が生かせる仕事もあります。どちらかと言えば、一般事務のような職種ではなく、金融機関や人材など「信頼感」が大事になる業界で、そうしたライフイベントの経験は重宝されます。そのような職種や業種を選ぶのも、1つの手かもしれません。

産後も正規雇用で働き続けることを前提に働く会社を探すこと、産後も正規雇用で復帰して働き続けること、副業で収入源の多角化を図ること。これが、経済力不足で悩まないためのポイントです。

お金をふやす方法を模索する

経済力の不足には、キャリアを築くほかにもう一つ有効な手段があります。それは、お金をふやす力をつけることです。そういうと大層なことに聞こえるかもしれませんが、そういうことではなく、お金をふやすための情報収集を怠らないことです。

当然ですが、お金はふやそうと思わないとふえません。お金をふやしたいのであれば、お金をふやすための行動が必要になるのです。お金をふやすというと、株やFXなどのをイメージする人が多いと思いますが、「投機的」なお金の使い方では長く続きません。

まずやってほしいのは、自分が選べる「お金をふやす選択肢」を調べるということです。お金をふやす方法には何があるのだろうかと調べてほしいのです。とにかくいろんな選択肢を調べてください。選択肢は多ければ多いほうがいいです。

株やFXでもいいですし、外国債券や国債、定期預金や保険、NISAやiDeCoなど、自分が「どういう手段を選べるか」ということを調べて、考えてみてください。調べてよく考えた結果、定期預金という結論でもいいのです。とにかく調べること、知ること。これが基本です。

また、「ふやす」だけでなく「もらえる」お金のことも一緒に調べてみてください。出産や育児に際して手当がもらえる自治体もあります。知らないままでは使えない制度もたくさんあるので、まずは知ることが大事です。

資産の管理も重要課題

結婚した後の資産の管理も非常に重要なポイントです。夫と妻、どちらか一方が財布を握って管理するというよりは、お互いに話し合いをして、よく情報共有したうえで資産の管理を進めましょう。

筆者が金融機関に勤めていたとき、旦那さんが急死してお金がどこの銀行や証券会社にあるかわからないという人が結構いました。資産の管理をまかせっきりにしてしまうとそういうリスクが生じる場合もあります。

これは少し「お金をふやす」という観点からは逸れてしまいますが、こうして「見えない資産」が置き去りになってしまうこともよくあることです。資産の管理は夫婦2人で、というのを徹底してください。

まとめ

いかがでしたか。経済力不足に悩む女性は今の日本ではまだまだ多いままですよね。その状況を変えるには、女性が自分の手で道を切り開いていくしかありません。まずは自分が経済力不足で困らないように、しっかり準備をしておきましょう。

大塚 ちえ