子育てママを追い詰める周囲の「正論」。それより必要なのは何?

育児に悩む母親に、夫や祖父母、友人、育児書、ネット記事、テレビ番組まで、様々なアドバイスをくれますよね。多くの場合、アドバイスの内容は正論ですが、正論を教えてもらうことで母親の気持ちは楽になるのでしょうか。正論を教えてもらえば、より良い育児ができるのでしょうか。

むしろその正論が母親を傷つけ、追い詰めてしまうことも少なくありません。なぜなら、母親の方も、アドバイスされた内容は既に分かっているということも少なくないからです。ではなぜ、母親たちは悩むのでしょうか。

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正論は分かっているけど、できない理由

子どもの前では笑顔で、ゆったりとした気持ちで遊び、子どもの話には全て耳を傾け、じっくり聞いてあげる。「ダメ」「早くして!」という言葉は使わず、してはいけない理由を根気よく説明し、子どもが成長する様子をゆっくり見守ること。

既に子どもの前で取るべき対応はわかっているものの、実践できない理由は何でしょうか。それはほとんどの場合、「心身の余裕がない」からです。

心と体に余裕がなければ、1日中イライラしたり、「ダメ!」を連発したり、大声を出してしまうこともあるものです。いつも笑顔でいたり、子どもの挑戦を根気よく見守ったり、ていねいに説明したり、うまく気をそらすといったことは、余裕がなければできないことなのです。

余裕が持てない現代の育児環境

現代の親たちに余裕がない理由は、いくつもあります。一番大きいのはワンオペ育児という言葉に代表されるように、「人手が足りない」ことでしょう。

「赤ちゃんを抱くのは我が子が初めて」という経験も知識もない母親が、相談も愚痴も言えずに、たった1人で密室育児をする現代。独身時代と乳幼児育児の生活のギャップも激しく、夜間授乳や夜泣きによる睡眠不足で体力もありません。目も手も離せない乳幼児育児を1人きりで乗りきるのは、環境上仕方がないとはいえ、無理があるのです。

「そうはいっても皆当たり前にやっている」という声もあるでしょう。内実は「できると言えばできる。1日中イライラしたり、子どもが寝た後泣きながら謝るというギリギリな状態だけれど…」という声も少なくありません。子どもが家庭を安全基地と思えるレベルを目指すには、ほど遠いのです。

正論アドバイスより、余裕を取り戻すアドバイスを

子育て中の母親には正論のアドバイスをするよりも、まずは「今既に頑張っていること」をねぎらい、「子どものためにもっと良くなりたいと思う気持ち」を評価しましょう。アドバイスをする場合、正論よりも心身の余裕を取り戻すための具体策を話し合ってみましょう。

一番効果的なのは、育児を誰かに手伝ってもらうことです。環境的に困難なことも多いですが、夫や祖父母の協力が母子ともに最も助かります。「育児を誰かと分かち合う」だけで、心身に少し余裕が生まれます。

便利な家電を購入する、お惣菜や冷凍食品を利用する、物を減らす、家事の回数を減らすといった現実的な対策も必要です。悩む母親と、いつでも気軽に相談したり愚痴を言い合える関係性を築くことも重要でしょう。

中には「他人に迷惑をかけてはいけない」「夫も疲れているから愚痴を言いたくない」「良い母親と思われたい」「親に心配をかけたくない」という気持ちから、疲れていても1人で抱え込み、相談しない母親も少なくありません。

目に見えないものが母親を縛り付ける

「そうはいっても、ゆるい親もいる。子どもも見ずにスマホばかり見たり…」という指摘もあるでしょう。育児系の話題では必ず出てくる話ですが、今回焦点を当てるのは大半の「真面目に育児をする母親たち」です。論点が変わってしまうので、きちんと分けて考える必要があります

便利家電やお惣菜を「甘えだ」と指摘する人もいるでしょう。これだけ環境は変化し、文明も発達しているのに、人の価値観はなかなか変わりません。目に見えるものよりも、見えないものの方が母親を縛り付けている、ということも少なくないのです。

何がどれだけ大変かは、その人の好き嫌い、体力、気力によって異なります。当人が辛いなら、環境を変える必要が生まれているということです。「家庭が子どもの安全基地となること」を目標に掲げ、そのための物理的な対策を積極的にとっていく勇気を持ちましょう。

宮野 茉莉子

ニュースレター

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宮野 茉莉子

東京女子大学哲学科を卒業後、野村證券を経て2011年よりライターへ。
主な執筆分野は育児、教育、ライフハック、女性の社会問題など。
子どもから大人まで「自分の頭で考える」哲学の面白みを伝えるべく執筆中。禅好きの3児の母。