お金を上手に使おうと、意識したことはありますか。ほとんど毎日使うお金について、そんなふうに考えたことがないという人も多いのではないでしょうか。しかし、お金を上手に使えるようになるとお金の貯まり方が大きく変わってきます。

そこで今回は、金融機関勤めの中でお金持ちやお金のプロに教えてもらった上手なお金の使い方をご紹介します。

お金は「1日1回まで」と回数で決めて使う

お金を使うのは「1週間に〇円まで!」と決めている人がいますよね。それはそれでとても重要なルールではあるのですが、それだけだと終わりに近づくにつれてキツくなってしまい、結局その約束事が守れないなんてこと、ありませんか。

仮に1週間で1万円と決めたとしても、なかなかその数字を守るのは大変です。でも、お金を使う回数が抑えられれば意外と枠の中でやりくりできるのです。

たとえば、「1週間に1万円」という縛りのほかにも、「財布からお金を出すのは1日に1回」と決めてみるのはどうでしょうか。そうすると気軽に「自販機でジュース買おう」ということもできませんし、「ちょっとおやつをつまもう」ということもなくなります。そういう細かい出費を削るためには、この「回数制限」が意外と効くんですよね。

この方法は筆者が実際に勤め先の先輩に教えてもらった節約術ですが、職場でも多くの人が実践していました。お互いに「さっきコンビニ行っちゃったからもう我慢しなきゃ」などと声を掛けてやっていましたし、周りがやっていると自分も頑張らなきゃと思うもの。

そして、次第に買わなくてもいいようなものは買わなくても過ごせるように工夫し始めます。水筒やお弁当を持って行ったり、大袋入りのお菓子を買って家からおやつを持参したりと、いろいろとやりくりして乗り切った記憶があります。

「一時的」なものや「虚構」にはお金を使わない

金融機関に勤めていると、いろいろな人から世間話を聞く機会があります。金融機関に来てわざわざ世間話をする人の多くは、やはりお金の話題を口にするんですよね。そして、金融機関に来るからといっても、お金持ちとは限らないのです。

そういうお世辞にもお金持ちと言えない人が口々に話すのは、「先日アレを買った」とか「娘にコレを買ってやった」など、何かを買った自慢です。そして、聞いているこちらとしては、それが「残念なお買い物」だと感じることが多いのです。

というのは、そのお買い物のほとんどが「ブランドもの」で、「何のために買った」という理由があまりないから。あったとしても、「欲しいっていうから」とか「最近流行っているんだって」というくらいの理由で、一時的な衝動や見栄のために買ったものなのです。

本当にお金を持っている人の多くは、そんなことを語りません。自分から語るということは本当にほとんどありません。

過去に一度、非常にほほえましく感じたエピソードがありました。そのときは用事があってご夫婦そろってお店にいらっしゃったのですが、ふとした瞬間に奥様が「主人に買ってもらったんです」と嬉しそうにバッグを撫でたのです。旦那さんは照れたように「妻が欲しそうにしていたもので」と言っていました。

そのお2人の場合、旦那さんは奥さんの喜ぶ姿のためにバッグを買っていました。奥様がなぜそのバッグが欲しかったのかはわかりませんが、それほど高いバッグではなく、その当時は「そのくらいのバッグで?」と思ったものです。

しかし、そういうことではないのでしょう。一時的な見栄のために高額なバッグを買うのと、奥さんが喜ぶ姿を見るためにバッグを買うのではワケが違います。やはり本当に豊かな人は、心から幸せになれるお金の使い方を知っているのだと思いました。

「一生もののスキル」を買うこと

金融機関に勤めていると、多くの資格試験をパスしなければなりません。そのときは「また試験か」と感じるものですが、一生もののスキルを身につけるためにお金を支払うのは、お金の使い方として有益ではないかと思います。

あるとき、異業種へ転職した同僚の男性が言っていました。「金融機関にいたときは取らなければならない資格がたくさんあって、毎日のように勉強しなくてはいけなかった。それはそれでツライと思ったけれど、今思えば本当にいい会社だったと思う」

彼が言っていたことで、とても印象的だった言葉があります。「1万円の資格なんて高いと思っていたけど、資格は一生消えないし、スキルも身につく。同じ1万円でも飲み会で使うのとは重みが違うよね」と。

飲み会も確かに、他の人と絆が深まったり、新しい友達ができることもあるので無駄だとは言いません。しかし、一生使える資格にお金を払うか、その場だけ楽しめる飲み会にお金を使うかの差は大きいのではないでしょうか。

資格試験のない職場に転職した彼は、「今はもう、かつての同僚と大きな差がついたと思っているから顔を合わせられない」とも言っていました。実際にそうだとは思いませんが、本人としてはそうなのでしょう。一生もののスキルにお金を支払うというのは、きっとそれくらい大きな意味があるものです。

彼には金融機関に勤め続けた人のような資格はないけれど、社会人として必要なスキルが十分備わっていたと思います。しかし、履歴書に書けるのは資格だけ。そういうものにお金を使えるというのは、かなり大きな意味を持つのではないでしょうか。

「リターン」のためだけに投資をしない

金融機関から金融商品をすすめられるとちょっと構えてしまいますよね。その気持ちもわかります。しかし、投資はただ「損をする」商品ではないということは覚えておいてほしいのです。リターンを得るためだけに投資をするのではなく、お金のことを意識するきっかけの一つとして投資を使う、という考え方もあるのではないでしょうか。

筆者も本当に数万円の少額でいくつか投資信託を買っていました。これは、別にリターンを得たいという目的ではありません。お客さんの気持ちになってその投資信託のことを話したかったというのもありますし、何より自分のお金が入っていると市況の分析やレポートなどを必死で読むようになるんですよね。

投資に関しては、あまり怖がりすぎずに「最初の一歩」を踏み出すことが大事だと思っています。もちろん、なくなってもいいと思えるくらい少額で、という条件でです。今なら数千円からでも投資信託の積立などができる金融機関もありますし、経済にもっと関心を持つためのきっかけとしてトライしてみてはどうでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。お金の使い方って本当に難しいですよね。自分が良かれと思って支払ったお金でも、「あのときやめておけばよかった」と後悔することがあるかもしれません。難しいとは思いますが、まずは「お金の使い方が上手だな」と思う人のマネをしてみましょう。少しずつコツがつかめてくるはずですよ。

大塚 ちえ