2018年8月15日に行われた、株式会社FRONTEO2019年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料 質疑応答パートはこちら

スピーカー:株式会社FRONTEO 代表取締役社長 守本正広 氏

2019年3月期 第1四半期トピックス

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守本正宏氏(以下、守本):みなさん、こんにちは。FRONTEOの守本でございます。それではさっそく、2019年3月期第1四半期の業績の説明をさせていただきます。

本日は、業績の概要を説明した後に、事業アップデート、そして今後の見通し、質疑応答の順で進めさせていただきます。

まず、第1四半期の概要です。昨年度(2017年度)の第2四半期から行いました構造改革……期間的には約1年間にわたって、とくに米国で構造改革を行いまして、利益を出せる(体質になってきました)。昨年度の第2四半期から見ると、だいたい営業利益としては累計で10億円くらいは出ていますので、ようやく営業利益が出せる体制を確立できたと考えています。

リーガルテックの事業に関しましては、利益を出せる体制になったわけですが、構造改革のもう1つの重要な柱……今後売上を拡大していくために、アメリカでアジア案件を獲得する体制を作っていくということで、現在も着々と体制づくりを進めております。

それだけでなく、さらに次の成長のための、次世代の「Lit i View」。これは後ほどお話ししますが、新機能の付いた「Lit i View」ではなく、完全に次世代の「Lit i View」の開発も着々と進めています。

また、AI(ソリューション)事業に関しましては、前年同期比1.4倍で順調に進んでいます。新たなアプリケーションも製品化して、お客さまに提供している状況でございます。

2019年3月期 第1四半期 連結損益計算書

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業績の概要になります。先ほどご説明しましたように、利益は出せるようになってきました。売上高が27.5億円、売上総利益が12.3億円、営業利益が1.5億円、経常利益が2.2億円、当期純利益が1.3億円でございます。これに関しましては、先ほどご説明したとおりでございます。

連結売上高 サービスタイプ別

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これまでの四半期ごとの売上の傾向で、サービスタイプ別の売上の状況を示したグラフです。ポイントとしては、(Stage3の部分で)グレーで示しているボックス……現在は、四半期の売上が25億~30億円、年度の売上としてだいたい100億から120億円のレンジの中におります。

早く次のステージに行かなければならないということで、現段階においては、次のステージに行くために注力している状況です。このレンジの中であれば十分に利益が出せる体制だと思いますし、すでに(その体制は)構築できていると思います。

リーガルテック事業 売上高・営業利益推移

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我々の祖業であるリーガルテック事業に関しましても、1年間でしっかりと利益が出る体制です。

リーガルテック事業 大型案件顧客の推移

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リーガルテック事業における重要な指針がラージアカウント、つまり大型案件顧客です。1年間で1億円以上のビジネスとなるようなお客さま……その数というのが重要なのですが、今期もここに注力します。

2017年度は8社を獲得しましたが、アジアの企業が4社でした。ここは、アジア企業を5社以上増やしていくのが重要な目標になります。これができれば、我々自身がしっかりとアジアの顧客を獲得していると言えると思います。

リーガルテック事業 顧客ホームカントリー別売上高の推移

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これはリーガルテック事業における我々のリージョンごとの売上ではなく、お客さまの国籍です。つまり「日本企業」や「韓国企業」ということですが、日本・韓国・台湾に関してはアジア企業で、ブルーが米国企業です。

売上は全体的には昨年(2017年)第4四半期から比べると下がっています。しかし、比率的にはアジアの企業が46パーセント。昨年が40パーセントぐらいだったため、比率的にはよくなっています。

目標としては、アジア企業が全体の6割を占めるところまで持っていきたいです。もちろん全体としての規模も広げていく必要はあります。ただし、比率さえ上げればいいということではなくて、当然、全体の数値も上げていく必要があると考えています。

AIソリューション事業 分野別 売上高推移(海外AIを除く)

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これはAIソリューション事業に関してです。2017年の同四半期比で見ますと1.4倍ですが、その前の年(2016年)の第4四半期とほぼ同じレベルですので、だんだん積み上がってきていると考えています。また傾向的に、どうしても第3、第4四半期で売上が上がってくるところもあります。今後はさらに(2019年3月期)第2四半期・第3四半期・第4四半期と売上を伸ばしていく必要があると考えています。ただ、基本的には順調に進んでおります。

AIソリューション事業 ユーザ企業数

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我々のAIソリューションを導入している企業数に関しましても、本来は昨年度(2017年度)内で100社突破を目標にしていましたが、(今年度の)第1四半期でようやく100社を達成したところです。

2019年3月期 第1四半期 連結貸借対照表

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バランスシートについてお話しします。全体として総資産が6.5億円減っていますが、これは借入を返済したことが主な原因です。我々の資金のなかで現金がしっかりあり、返済が可能になったということです。よって体制としては非常によくなったと言えると考えています。

リーガルテック事業 アジア大型案件獲得に向けた取り組み

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それでは、引き続き事業アップデートに関して説明をさせていただきます。

リーガルテック事業に関しては、構造改革を実施しており、グローバルでアジア案件を取っていく体制を作るということで取り組んでまいりました。当然、利益を作る体質(づくり)にも取り組みましたが、とくに、アメリカでアジア案件を獲得していくことが重要です。しっかり連携するためにも、グローバルの統括本部をアメリカに置いて、アメリカの社長が統括本部長を兼務しています。ここから全体をマネージして、営業活動をコントロールしていくことになります。

そもそも我々が取り組んでいるリーガルテック事業が何をしているかを説明しますと、とくにアメリカにおける訴訟の支援や、アメリカの司法省から調査を受けた企業の支援になります。

我々の主なターゲットとしては、基本的にはアジアのお客さまになります。先ほどもお話ししましたように、すべての訴訟や調査はアメリカで行われますので、訴訟の証拠などはアメリカに提出します。

ですので、日本だけ、韓国だけ、台湾だけで完結するようなことは99.9パーセント、ほぼありません。すべてアメリカでやります。よって、アメリカのエンティティ(法人)の役割は非常に広範囲になります。もともとの市場がアメリカ中心でしたので、アメリカでのマーケティング活動が重要です。またアジア案件でもアメリカで獲得しなければならないため、アメリカでアジア案件の営業サポートも行っています。

実際に我々が対応しているデータ解析の作業に関しても、やはりアメリカでやりますし、証拠提出作業もアメリカでやっています。基本的にアメリカのエンティティが非常に重要で、ここが中心となって各リージョンが協力しながら取り組んでいくかたちです。

最終的な目標としましては、各アジアの企業から直接仕事を取れる体制が望ましいです。しかし現段階ではなかなか難しいということで、まずはアメリカで(案件を)取っていこうということが当面の目標になります。こうした体制をしっかり作っていきます。

現在はアジアの営業チームのメンバーがアメリカに行って、アメリカのチームと協力しながら、現地で……我々は「ロードショー」と言っているのですが……各法律事務所、あるいは現地の日本法人や韓国法人などを回って営業をかけるという体制づくりを着々と進めています。

リーガルテック事業 作業を飛躍的に効率化するための取り組み

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今、リーガルテック産業は大きく変わろうとしています。(その理由の)1つは、データ量がどんどん増えてきて、(以前の)2倍、3倍もあると言われています。それに比べて、マーケットの成長は十数パーセントとなっており、大幅に乖離しています。

我々の事業の課金方法はデータ量による課金……1GBで1万円、2万円といった単価で課金していますので、データ量が増えれば、本当はマーケット自体も2倍、3倍にならなければいけないのですが、実際は(大きく)なっていません。ということは、単価が下がっていくことになります。当然のことですが、世界中の企業さんの訴訟用予算が2倍、3倍に増えるわけがないため、そういうふうになる(単価が下がる)わけです。

今までこの作業は、人の手に依存するところがありました。とくにドキュメントのレビューに関しては人間が見る作業が多く、レビュー以前の作業においても、いくつかの工程の中で人が介在しなければできないことも多かったのです。

今後も(同様のやり方で)やっていくと、おそらく破綻します。現時点ではまだまだ大丈夫なところもありますが、レビューに関しては、もう相当大変な状況になってきました。

現在は、レビューをする人間をインドからフィリピン、そして最近はアフリカまで(範囲を広げて求めており)、少しでも人件費を下げるような動きになっています。しかし、どうにも(人間による作業には)限界があります。データ量の増え方と人件費の変わり方、そして当然、いつかは限界が来るというところで、(このままの体制では)近い将来、このビジネスモデルは破綻します。

ここで重要になってくるのが、テクノロジーです。いかにテクノロジーを使って、この問題を解決していくのか、イノベーションを起こすかが重要です。

我々の業界のなかで、もともとリスク・コンサルティングを行っていた企業であるとか、あるいはビジネス・プロセス・アウトソースの会社……スキャニングであったり、会社のデータを保管したりといった事業から発展して、eディスカバリサービスを手がけている企業は、独自の技術を持っていないことが多かったです。(しかし)我々は自分たちで独自の技術を作ってきたため、その技術をさらに活用していこうと考えています。

先ほどお話ししたとおり、レビューも含め、(これまで)人間しか対応できなかった部分を(変えていくべく)、我々の人工知能を使った新しい技術、新しいソリューションを開発してリリースしていこうということで、現在進めています。

イメージとしては、まさに自動運転(技術の開発)です。自動運転とは……例えば、ある目的地に行くためには当然ルートがあります。しかしそのルートももしかしたら渋滞しているかもしれませんし、途中で人が飛び出てくるかもしれません。そうしたさまざまな障害、障壁があるなか、それらを1つずつ克服していく。それが自動運転(技術の開発)であります。

我々のドキュメントレビューに関しても同様で、ものすごく大量の情報の中から、ある証拠を見つけていくのですが、そもそも「見つけなければならない証拠が、一体どんなものなのか」も、最初はよくわからない状態から始めていきます。

また解析していく中でさまざまな発見があり、方針が変わることもあります。そして、出てくる証拠によっては、見つけなければならないものが変わるなど、道なき道を進むような作業をやっているのです。これまでは「全部を見ていきましょう」ということで作業をしていました。

しかし、今後はそういう体制では難しくなります。もう追いついていけないということで、我々の技術で、人工知能を使ってできるだけ自動化していこうと考えています。現在、我々が開発した「Lit i View」は、自動運転で言えば「レベル1~2」程度を実現できています。今後は、(レベル3で示されている)条件付自動運転くらいのレベルのものを、次世代の「Lit i View」で実現しようということで、現在開発を進めています。

その第1弾が来年(2019年)の3月、今年度の第4四半期後半でリリースする予定でございます。将来的には、ほぼオートでできるくらいのソリューションを提供していきたいなと考えております。

現在アジア戦略を進めており、アジアで勝つ、アメリカでアジアの案件を獲得するということで進めています。今後は、その次の段階として、次世代「Lit i View」を使ったソリューションで、この業界(のシェア)を勝ち取っていく戦略を進めます。

AIソリューション事業 KIBIT活用による具体的な効果を発表

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AIソリューション事業についてお話しします。金融ソリューションに関しましては、すでに発表いたしましたとおり、金融庁のFinTech実証実験ハブで採択されました。その実験結果が発表されまして、人がやるよりもはるかに生産性が高くて、精度が高いという結果が出ました。

金融庁からも「1次レビューに関しては、AIを使っても問題ない」というコメントをいただきました。この効果が確認されたことで、今後は金融業界に対して、このソリューションが入っていけると期待しています。大幅に効率化できるだけでなく、全数チェックが可能になってくる点が大きいと思います。

先ほどのリーガルテック事業と同じで、人が見ていくと、疲れてしまって必ず精度が落ちます。また、疲れなければ1人で対応してもなんとかなるかもしれませんが、複数人で対応すると人の(スキルの)差があって、必ず見落としが出てきます。

AIも完璧ではありませんが、少なくともエキスパートが作業しているのと同等のレベルでできますし、(人と違って)疲れませんし、作業も速いですし、精度はもう完璧ということで、かなり効率化できるということが、今回結果として出ました。

人事ソリューションに関しましても、離職防止ということで、離職するかもしれない人を我々の「KIBIT」が見つけます。これまでは人が見てもなかなかわからなかったものを見つけます。当然ですが「KIBIT」ができることは「(離職しそうな人を)見つけること」だけですので、その後は(人間が)対処しなければいけません。しかし、対処することで、離職率も大幅に下がっていくでしょう。

今後、人材の確保が必要だ、(離職防止のための)リテンションをしたいという業界に関しては、大きな効果が出ると考えています。ここで見ている項目は離職ですが、他に調べたい項目……例えば、その人の能力や得意な分野の判定といったことへの活用が期待されています。

AIソリューション事業新製品リリース「KIBIT Find Answer」

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また、先日(2018年7月17日)「KIBIT Find Answer」という新しいアプリケーションをリリースしました。これはFAQシステムです。大きな特徴を説明しますと、従来はどこかから回答を見つける場合、あるキーワードを知っていたり、言葉を知らないとなかなか(適切な回答が)出てきませんでした。

しかし「なんとなく、私はこんなふうに考えているんだ」といったことを入力すると、文脈全体から(質問の)特徴を捉えて回答を出してくれます。これまでよりも非常に効率的に(適切な回答を)見つけることができるのです。

ベテランであれば、感覚的に「こういうキーワードを使ったら見つかるんじゃないか」ということができるのですが、そうではない人でも(回答を)見つけられるといった効果が出てきます。

すでに大手のメーカーさんで取り入れられまして、本格運用がスタートしています。もともとはこれを「KIBIT」の「Knowledge Probe」というアプリケーションを使ってリリースを予定していたのですが、FAQに特化したアプリケーションとして、今回リリースいたしました。

AIソリューション事業 マーケティングパートナー戦略

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AI事業の拡大ということで、これまで我々は単独で事業を展開してきました。(しかし)AIは、お客さまのニーズを追うのが非常に難しいのです。「AIなら、まだまだ何でも答えを出してくれるんじゃないか」「会社の課題まで探してくれるんじゃないか」ということを言われるお客さまも多くいらっしゃいます。

我々はそういう状況もクリアして、どのようにしてお客さまのニーズを汲み取り、どのようにしてPoC(実証実験)を進め、どのようなかたちで提案して、ローンチしていくかという一定のプロセスを確立しました。今後、我々は(KIBIT)パートナーを活用した販売戦略を実行に移していきます。すでに(スライドにあるような)パートナーさまが活動を始めております。今年度(2018年度)中には(パートナー数を)10社以上増やしたいと考えています。このAI事業の売上の中でも、3割以上はパートナーさまから売ってもらえるようなかたちを考えております。また同時に、我々が提供できるソリューションの拡充もしていこうということで進めております。

現在、我々が持っている人工知能エンジンで独自のものは「KIBIT」の中の「Land scaping」と、医療における「Concept Encoder」です。また我々独自のものではないのですが「Deep Learning」も加え、FRONTEの人工知能ソリューションとして提供していこうと考えています。

我々の人工知能は、非常にあいまいで、ルールもないなかで、感覚的に正しいだろうと思われる判断に基づいて答えを見つけてくるのが得意です。「Deep Learning」は、ものすごく数が多いけれど、もともとルールが決まっているものを(対象にした作業を)行う場合には十分に活用できますので、これも並行して普及させていきます。ソリューション(のレベル)は高いため、さらに踏み込んで進めていきたいと考えております。「KIBIT」「Land scaping」を使わなくても対応できるものに関しては、このエンジンを使ったソリューションを提供していきます。

(スライドに)4つのアプリケーションがありますが、受託開発などを通じてお客様のニーズに合わせたシステムを提供する体制を現在構築しております。また、より広くお客さまに使ってもらうために、(2018年)10月をめどに、API連携したソリューションを提供していきます。詳細が決まり次第、発表したいと思います。

AIソリューション事業 ヘルスケア専用人工知能エンジンCEの特許を取得

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ヘルスケアに関しましては、すでに発表したように、我々独自の「Concept Encoder」というAIエンジンが特許を取得しており、「Concept Encoder」を活用した論文解析システムも提供を開始します。

これは、研究者が自分の考えに基づいて「私はこう考えているんだけど」といったことを入力すると、その考えに合った論文を探してくれるという画期的な論文検索システムです。現在、医療機関などでの活用、トライアルが進んでおります。

また、我々はヘルスケアの分野で取り組んできました「転倒転落予測システム(仮称)」が、安全性などの検証が終わり、ようやく医療機関でもトライアルできるような状態まできました。現在、複数の医療機関における実証実験に向けて進めております。おそらく今年度(2018年度)中には実証実験を進めて、来年度(2019年度)には製品として提供できる体制が整うと思います。

2019年3月期ガイダンス

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それでは最後、今年度(2018年度)のガイダンス・中期見通しの説明を行います。

ガイダンスに関しましては変更なく、このまま進めていきたいと考えております。昨年度(2017年度)におきましては、まずは利益を出すことに注力しました。昨年度第1四半期は惨憺たる結果でしたが、そこから構造改革を行って、利益体質を生み出してきました。

今年度におきましては、成長するための基盤……リーガルテックにおいては、アメリカでアジア案件をしっかり獲得する体制を作ることに注力して、着実に進めてまいります。それだけではなく、次のステージに進むための新たなテクノロジーを用いたソリューションの開発を順調に進めております。

売上に関しましては、我々が今まで培ってきた技術を活用してアプリケーションを拡充し、サービスやパートナーを活用しながら、着実に拡大を進めてまいります。

2020年度(2021年3月期)には、300億円の利益を達成したいと考えております。現在はご報告しているとおりですが、できるだけ早く次のステージにということで、2021年3月期には「ステージ4」を達成できるように進めていきます。

我々は、(高度な)技術を使って、(膨大な)記録の中に埋もれたリスクやチャンスを見逃さない、そういったソリューションを提供して社会に貢献しながら成長していきたいと考えております。

以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答:売上は今後大きく挽回できるか

質問者1:まずトップラインについて、(2019年度3月期の通期予算が)13億円くらいだと思いますが、それに対して第1四半期が少し弱く見える部分があります。第2四半期以降、しっかり挽回できるでしょうか。リーガルテックはクロスボーダー営業の話などがありましたが、第2四半期以降、しっかりと挽回できそうかを教えてください。

守本:まずAI事業に関しましては、年度の後半に向かって、予算の執行なども含めて上がっていく傾向がありますし、今は順調に進めているところでございます。AIに関しては、これまでの過去の経験からいえば、順調に進んでいると考えています。

リーガルテック事業は、(2019年3月期)第1四半期時点におきましては、まだ前年度(2017年度)から大幅に営業の効果が出てきているということではありません。これまでのフローの中で、どうしても第1四半期の案件の獲得がうまくいかなかったという状況です。ただし、これは想定内です。

この次の売上、さらに300億円の売上まで持っていくためには、アジア案件をアメリカで獲得する体制へと持っていくことが大事です。そのための施策を現在、第1四半期から着実に行っていますので、第3四半期以降、数字としてしっかり出せるかたちになってくると考えています。施策としては順調に進めていますので、結果は今年度(2018年度)内に、数字として出るものと考えています。

質問者1:2つ目なんですけれども、23ページの中期見通しで、AIが大きく伸びています。2017年、2018年のようなAIの成果は、進捗としては想定どおりなのか、割と早めに進んでいるのか、そのあたりを教えていただきたいです。

守本:想定以上ではないですけれども、現状は想定内だと考えています。

質疑応答:リーガル事業、AI事業の売上について

質問者2:ご説明ありがとうございます。まずリーガル事業についてです。去年(2018年3月期)の第3、第4四半期は大きなアジアの案件があって、ちょっと売上が飛び出ていたという認識を持っています。(2019年度3月期)第1四半期に関しては、それに比べてどういう状況だったかという認識を教えていただきたいです。リカーリングの部分がどれぐらいで、単発がどれぐらいかという明確な開示がないため、そのあたりのニュアンスを含めて教えてください。

守本:リーガルテック事業に関しては、リカーリングと明確に言えるところはホスティングです。よって、ホスティングに関しては少しずつ上がってはきているところでございます。全体として、リーガルテック事業の爆発的な成長は、徐々に上がっていくというよりは一気に上がっていくようになると考えています。それができるのは、やはりアメリカでアジア案件をどれだけ取れるかということです。

ずっと申し上げていますけれども、その体制を今構築して、アジアのリージョンの人間もアメリカに行って(案件を)取ってくる体制を作り、ようやく昨年度(2017年度)の後半から、第1四半期もとくに強力に進めています。ここの部分で効果が出てくると、大幅に変わってくると思います。本年度(2018年度)第1四半期の結果に関しては、これまでの傾向の中のものだと理解していただければと考えています。

質問者2:わかりました。それからAIについです。この資料では、ユーザー数がずっと伸びていて、とくに(2019年3月期)第1四半期もユーザー数を増やしている一方で、売上の上がり方……それは大きく第3、第4四半期で押し上げるということで、これは予算の関係であったらしかたがないと思うのですが、ただ、導入社数がこれだけ第1四半期に増えていて、でも実際の案件があまりないのも不思議な気がします。ユーザー数の動向と売上は、そもそもどう連動すると考えていますか?

守本:我々のお客さまで(ユーザーとして)数が多く出てくるのは「Patent Explorer」という特許解析ツールです。それは単価がそれほど高くないものですので、リカーリングにはなるのですが、なかなか売上の大きな押し上げにはならないところがあります。そういう意味では、売上にも着実に貢献してくるとは思いますけれども、まだ100社というのは決して多い数だとは考えていませんので、今後のさらなる成長(が重要です)。

あと、金融ソリューションにおきましても、今後ラージアカウントを構築していきます。我々の1つのソリューションだけではなく、我々のKIBITソリューション……そのエンジンで、さまざまなソリューションに切り替えていきます。また横展開も進めていくことで、今期については考えています。

質問者2:現在の第3、第4四半期も含めてですが、今現在の四半期の売上は、どういうサービスがどれぐらいを占めているというイメージなのでしょうか?

守本:もともとのライセンスの売上に加えて、TOCの売上が主だと思います。あとはシステム開発のための準備ですとか、そういう売上でしょうか。今後は、大きなシステム開発や導入というのは、(2019年3月期)第2四半期以降で出てきますので、売上としてはそのあとに反映されてくると思います。

質疑応答:米国会社の内部統制の不備について

質問者3:ご説明ありがとうございました。簡単に3点お願いします。まず1点目ですが、ここ数ヶ月で、御社は米国会社の内部統制の不備が指摘されたり(しています)。それに関しては現時点で姿勢を(示して)いただいたようで、監査法人を変えられたりしていますので、順を追って、どのように改善されているのか、再度確認させてください。これが1点目になります。

2点目でございますが、いずれも(2019年3月期)第1四半期の利益についてです。リーガルテック事業、前期対比、売上でほぼ等倍。一方で、米国事業での構造改革もあって、利益はとんとんといった状況です。この第1四半期、リーガルテックについては、利益はある程度自然に発生しているのか、それともコストの先送りといったようなことがあるのかどうか。それについて確認させてください。それが2点目です。

最後に3点目、AIソリューションについてです。期初の段階で、AI人材を積極採用されるとお話があったと思いますので、こちらの進捗(を教えてください)。あとは、第1四半期は営業赤字で5,000万円くらいですかね、AIソリューションでは見込まれていると思いますので、四半期ベースでどこで解消される予定なのか、こちらについて教えてください。この3点になります。

上杉知弘氏(以下、上杉):管理本部長の上杉です。私から、内部統制のご質問に関して回答いたします。まず、前回(2018年3月期)第4四半期の期末決算に関して、基本的には内部統制の不備に端を発して、監査法人から「内部統制に不備のある状態でチェックをするためには、この資料もあの資料も、こういう証票がいる」ということで、どんどん監査の範囲が広がっていったというのが大きな概観になります。

内部統制の不備に関しましては、昨年度(2017年度)もかなり注力案件として、経営的に関わってまいりました。1つ強調させていただきたいのは、内部統制の不備に関しては、日本・韓国・台湾は適正であり、監査もとくに滞りなく進んでいるということです。アメリカで内部統制に不備があったというところが、一番のポイントでございます。

我々としては、米国の体制を強化するとともに、日本でうまくいっている体制を米国に展開していくことを基本方針としてやっています。昨年(2017年)9月に、営業・経営の構造改革をやりまして、次のステップとして、今年(2018年)2月ごろから、私や本社の要員含めて、経理の体制を強化しました。新規案件については非常に良好な状態で、とくに監査も滞りなく進みました。しかし、やはり古い案件、継続されている案件(に不備がありました)。

3年前に契約が巻かれて、それが不十分だったというような(指摘もありました)。主に過去の案件につきまして、こちらの管理体制に不備があって、その部分の改善に手間取って、間に合わなかったという状況です。監査法人に関しましては、前回の監査がかなり遅れました。それは当然、我々の対応に不備があったというところです。

今期に向けて、どういうふうに改善していくのかという話し合いを、かなり深くやりました。これは、厳しい監査法人から、そうではないように(変更する)という趣旨ではありません。今年度(2018年度)の監査計画をどうやったらタイムリーに、経済合理性を持って進められるのかという話し合いです。その中で、今の体制では監査法人さんも弊社もお互いに難しいということで、今は三優監査法人さんが(関わっています)。

三優監査法人はどちらかと言うと、中堅企業に慣れていらっしゃるため、我々の改善と監査の協力含めて、この体制でやっていくのがいいのではないかというところです。EY新日本有限責任監査法人さんも、我々も、三優監査法人さんも合意の上で変更したという経緯でございます。改善の状況なんですけれども、主に4点ございます。

1点目は、証票や請求書の作り方、業務プロセスの改善(を行っています)。とくに新規案件だけではなく、過去の案件にさかのぼって、もう一度すべてクリーンアップするというプロジェクトを進めています。これが滞りなく終われば、抜本的に改善されるのではないかと思っています。

2点目については、新しい会計システム、ERシステムの導入。

3点目は、経理要員(の補充です)。アメリカは現在9名ですが、15名に増員していきます。すでに3名は増員済みです。

4点目は、外部のコンサルタントに常駐してもらって、外部の力も借りながら進めていくということです。もうすでに6月から動き始めていますので、これをしっかりと進めていくことで改善していきたいと考えています。

2つ目のご質問、リーガルテックの利益状況につきましては、基本的には期ずれが……などではなく、自然体でこの利益を計上している状況でございます。

上杉:3点目のAIにつきましては、今回、昨年(2017年)同期に比べて、非常に大きな伸びを示したものの、売上的にはまだもう少し伸びていくということです。売上的には、先ほど守本が申しましたとおり、第2、第3、第4四半期で伸びさえすれば、十分自然体でプラスになっていくだろうと見ています。以上でございます。

質問者3:AI(関連)の人材採用については、進捗はいかがですか?

守本:人材採用に関しましても順調に進めています。もともと内部での異動も含めて対応していますので、完全に問題ないとまでは言えませんが、着々と進んでいるということは言えると思います。

質疑応答:構造改革後の営業利益について

質問者4:いくつか質問させてください。まず、先ほどの質問にも続きますが、米国の構造改革の結果ということで、今年度(2018年度)もかなり構造改革が進んでかなり利益率が上がるのか、ほぼやりつくしてこれ以上営業利益が伸びないのかといったところを教えていただきたいです。

守本:構造改革のコスト削減による営業利益改善というのは、コスト削減はこれ以上はあまり効果がない。むしろ取り上げる中身が変わってきて、当然売上も上がっているということです。アジア圏の(案件の)数が増えてくると当然営業利益も上がってきますので、クロスマージンも高いですし、それによって営業利益率も上げていくということで進めていこうと思っています。

質問者4:ありがとうございます。次の質問ですが、Concept Encoderに関しては、特許を取れていますが、アルゴリズムで特許を取るというのは難しいため素晴らしい業績かなと思っています。今、次世代のDeepIQを開発中ということですが、こちらに関しても特許は取れるような中身になっているのか、教えていただけますか。

守本:これも特許を取れるように進めています。これはまた、エンジンそのものというよりは、ソリューションの中身が、ビジネスモデル特許的なものになっております。

質問者4:最後に、転倒転落予測システムに関してです。以前のお話しですと、前回のバージョンを使って30パーセントくらい転倒転落が削減されたというお話しだったと思うのですが、今回新しいConcept Encoderを使えて、おそらくさらに精度が上がっているのではと思います。だいたい転倒転落は前回の30パーセントから、どのくらい改善したのかということは教えていただけますか。

守本:前回よりは精度は上がっていると思われます。ただ、実際はまだConcept Encoderを使った後ろ向きの試験はやっているため、前向きな試験はこれからというところで、少し時間がかかっておりました。

実際に導入するには病院でやらなければいけないということと、患者さんのデータを使わなくてはいけないというのもありましたので、今年度(2018年度)中、おそらく第3四半期後半くらいには改善されると思います。(今後も)進めていって、結果を出していきたいと思います。おそらく精度は高くなっていると考えております。

質疑応答:先行投資の状況について

質問者5:もう1つ、質問させてください。(スライド)6ページのところで、この売上金の費用や販管費などについて、前回説明していただいた時は、(2018年3月期)第3、第4四半期は利益を出すために大幅にコストを絞ったので、(2019年3月期)第1四半期にまた先行投資を増やしますとおっしゃっていました。その割には、たいしてコストが増えていないように見えるのですが、これはなにか先延ばしにしたのでしょうか。

上杉:まず売上原価がそれほど大きく増えていない部分については固定費も多いのですが、変動費の部分、これは売上と連動しております。販管費に関しましては四半期ベースで8,000万円ほどすでに増えていますので、人材採用も含めてもう少し増やしていきたいと考えております。以上です。

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