はじめに

「Project Management Office」の略称、PMO。組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を行う部門や構造システムのことを指しますが、一体それがどのようなものかという点については、想像もつかないという人も多いのではないでしょうか?今回の記事では、PMOの仕事内容や転職時に必要なスキルについて詳しくお話していきます。

目次

1. 企業におけるPMOの意味とはなにか?
2. 企業でのPMOの仕事内容
3. 企業にとってPMOを設置するメリットと意味
4. PMOマネージャーになるために必要なスキル
5. PMOマネージャーになるのに資格は必要か?
6. PMOマネージャーへ転職、ジョブチェンジする方法
7. PMOからのキャリアパスはどのようになるのか?

1. 企業におけるPMOの意味とはなにか?

PMOは日本語で「プロジェクトマネジメントオフィス」とよばれる部門または構造システムのことであり、年々設置する企業が増加する傾向にあります。なお、企業におけるPMOには、以下の働きが期待されています。

  • すべてのプロジェクトの進行状況について集中管理を行う。
  • プロジェクトマネジメントの標準化を行う。
  • プロジェクト間のリソースやコストの調整を行う。
  • 各プロジェクトの遂行に必要な環境を整える。

企業がPMOを設置すると、プロジェクトの監査やマネジメントのコミュニケーション管理までを集中的に行うことができるようになります。このため各プロジェクトが、円滑に進むようになるといったメリットが期待できるのです。また、PMOがプロジェクトの実行に必要な環境を整えておいてくれるので、プロジェクトメンバーは安心して、プロジェクトの遂行のみに集中することができ、プロジェクトの効率化を進めることができるところも、魅力のひとつといえるでしょう。

2. 企業でのPMOの仕事内容

企業でのPMOの具体的な仕事内容としては、以下の5つがあげられます。

プロジェクトの標準化

同じ企業内のプロジェクトであるにもかかわらず、遂行の仕方が違っていると、足並みをそろえることができません。このため、どのようにプロジェクトを遂行していくのかといった基本的な方法論や手続きやコミュニケーションのとりかたを整理し、それらがプロジェクト間で共通となるように、標準化という作業を行います。

プロジェクトの進捗状況の管理

各プロジェクトの進捗がどのようになっているのかを、全体的に把握します。リスクと課題の再確認し、優先順位をつけて状況を解決していくことを目的として行います。

プロジェクトの資源管理

各プロジェクトへの人員や資金、設備といったリソースの配分を行います。

ベンダー管理

売り手や商品の供給業者であるベンダーの調達手続きや契約交渉の管理、契約上の重要事項の識別、コントロールを行います。

レビューや監査

検討中の課題についてレビューや監査を行い、その後のアクションの指示を行います。

このように、企業内のPMOは、プロジェクト全体の進行を把握し、問題点があれば解決に導くなどの役割を担っているのです。

3. 企業にとってPMOを設置するメリットと意味

企業におけるPMOには以下のようなメリットがあります。

  • プロジェクト間の足並みをそろえやすい。
  • PMOで進捗や情報を一括管理することで、プロジェクト間の連絡をスムーズに行うことが期待できる。

また、進行が遅れ気味のプロジェクトに対して、リソースの再配分などの調整を行うことができますから、大きな遅れになってしまう前に、プロジェクト間の足並みを揃えることも期待できるでしょう。

プロジェクトマネージャーの負担軽減

プロジェクトの運営において、プロジェクトマネージャーがひとりで、プロジェクト内の全てを管理するとなると、プロジェクトマネージャーに相当な負担がかかることが予想されます。また、PMOのいないプロジェクト管理では、プロジェクトマネージャーの経験と勘に頼らざるを得ないところが多く、プロジェクトによって、ばらつきがでてしまうこともありますが、PMOが管理やサポートを行うことで、そのばらつきを埋めることが期待できます。また、PMOが関わることで、プロジェクトマネージャーだけでは気が付かない問題などを早期に発見することができるという効果も期待することができます。

リスクの軽減

PMOは、すべてのプロジェクト計画の立案、管理、報告にかかわり、その際に見つかった問題点までをしっかりと報告してくれます。これは、リスクの早期発見につながりやすく、すぐに対策を取ることができるので、リスクを最小限に留める効果が期待できるのです。

4. PMOマネージャーになるために必要なスキル

では、実際にPMOとして働くには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。

プロジェクトマネジメントの知識

全体のプロジェクトの管理をするのですから、プロジェクトマネジメントに関する知識はひととおり身につけておく必要があるでしょう。実際に、プロジェクトを運営した経験があると、なおよいのではないでしょうか。

コミュニケーション能力

プロジェクト間の調整役になるわけですから、比較的高いコミュニケーション能力がなければ務まらないでしょう。各種会議にも出席しますし、ベンターとの交渉なども行うことになりますので、ビジネスマナーが身についていることも必須要件となります。

プロジェクトに必要な知識

全プロジェクトの管理にかかわりますので、すべてを網羅する必要はありませんが、報告を聞いて理解し、指示をだすことができる程度には、各プロジェクトに関する知識を得ておく必要があるでしょう。

5. PMOマネージャーになるのに資格は必要か?

PMOマネージャーになるために必要な資格というものは、実は存在していません。しかし、プロジェクトマネジメントについての能力を測る上で目安になる試験はいくつかあります。それが、日本PMO協会が能力をテストする「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」と「PMOスペシャリスト認定資格」の2つです。

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格

プロジェクトマネジメントにおいて基礎となる部分についての資質を測る試験です。PMOマネージャーを目指す第一歩として、プロジェクトマネジメントの知識を身につけるのにおすすめの試験といえるでしょう。インターネットからオンラインで対策講座を見ながら勉強できる上に、自宅での受験も可能です。

PMOスペシャリスト認定資格

PMOの業務を行う上で必要となる基礎知識を測る試験です。なお、この資格は、「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」を取得していないと受験することができません。PMOの意味を理解し、必要なスキルを身につけた後に受ける試験と考えたほうがよいでしょう。PMOマネージャーを目指すのであれば、ぜひ受けておきたい試験です。なお、こちらもオンラインでの勉強や受験が可能となっています。

6. PMOマネージャーへ転職、ジョブチェンジする方法

勤務する企業内に既にPMOの部署なり役職なりが設けられている場合は、異動に必要な経年値を積むことで、PMOマネージャーへのジョブチェンジを期待することができます。しかし、企業内にPMOがないという場合は、PMOがある企業への転職を考えることになるでしょう。

PMOマネージャーとして転職をする場合は、すでに何らかのプロジェクトマネージャーやリーダーとして活躍した経験があると、有利になると考えられます。具体的に参加するプロジェクトが明示されているのであれば、類似したプロジェクトへの参加経験があるとなおよいといえます。また、前述した「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」「PMOスペシャリスト認定資格」の資格もあると、プラスの評価を得ることが期待できるでしょう。

また、PMOとして働くには、高いコミュニケーション能力が必要となります。また、プロジェクト間の調整に必要な資料などを作成する能力も必要とされます。それらの能力が身についていることを、履歴書や職務経歴書で、しっかりとアピールしていくことも大切です。

7. PMOからのキャリアパスはどのようになるのか?

PMOでの業務に就くことができたとして、そのあとのキャリアパスとしては、どのようなものが考えられるでしょうか?

まずは、企業活動において、プロジェクトがなくなるということはありませんから、ずっとひとつの企業でPMOマネージャーを目指して職務を全うするという道が考えられます。

しかし、「同じようなプロジェクトの管理ばかりでは面白くない。」「もっと別のところで力を試してみたい。」ということであれば、これまでの経験を活かして、フリーランスのPMOマネージャーになるという方法もあります。PMOマネージャーの平均収入は一般的なサラリーマンに比べて高い傾向があり、人によっては50万円以上の月収を得ている人もいるということですから、選択肢の候補のひとつとして考えてみる価値はあるのではないでしょうか。

PMOマネージャーの経験は、企業コンサルティングを行う上で、とても役立つスキルとなります。このため、PMOでの業務を経験した後は、それを活かしてコンサルティング会社に転職という人も多いようです。

おわりに

PMOは、企業のプロジェクト管理において、非常に重要な役割を果たします。ただ、仕事はプロジェクト全般に関する内容となるため、豊富な知識や経験、高いコミュニケーション能力が要求されるなど、非常にハードルが高い職種といえるでしょう。それでも、PMOマネージャーになることで、フリーランスやコンサルタントといった道を開くこともできます。興味のある人は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

LIMO編集部