かつ丼の「かつや」が牛丼の「吉野家」を超える日

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牛丼もかつ丼も「丼もの」ですが、いずれも多くの人が好きな食べ物ではないでしょうか。

牛丼でいえば「すき家」、「吉野家」、「松屋」といった大手チェーン店があり、店舗数も多いことで、身近であると同時にお得な価格でおなかが一杯になる食べ物といえます。

一方、かつ丼も人気のメニューではありますが、かつ丼などを扱うとんかつ専門店「かつや」などが勢いよく店舗を広げています。今回は、決算データをもとに関連企業や業界動向などを見ていきましょう。

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多角化を進める吉野家

現在の吉野家は吉野家ホールディングス会社として、吉野家、はなまる、アークミル、京樽等を傘下に、様々な外食チェーン店を運営しています。ちなみにアークミルは「VOLKS(フォルクス)」や「すてーきのどん」などの店舗を運営しています。

店舗数でいえば、2018年2月期末には、吉野家が1200店、はなまるが479店、アークミルが178店、京樽が330店、海外が171店で連結合計で3179店あります。2019年2月期には計画として3406店にまで広げようとしています。

こうしてみると吉野家ホールディングスは現在では牛丼チェーン店だけではなく、多岐にわたる外食チェーン店マネジメント会社といえます。

吉野家ホールディングスの業績はどうか

吉野家ホールディングスは2018年7月6日に2019年2月期Q1決算を発表していますが、その時点での会社による今期の連結業績予想は売上高が2110億円、営業利益は41億円を見込んでいます。

また、Q1決算は売上高は対前年同期比で+3%増であったものの、営業損失として1.8億円を計上するなど収益面では苦戦したスタートとなっています。

「かつや」はホームセンターから生まれた?

とんかつ専門店「かつや」やからあげ専門店「からやま」を運営するのがアークランドサービスです。平成5年3月にアークランドサービス社は設立され、平成10年8月に「かつや」の1号店が神奈川県相模原市に開設されています。

話はそれますが、アークランドサービスの大株主でもあるアークランドサカモトは新潟県三条市に本社を構える「ホームセンタームサシ」を運営する会社です。

さて、店舗数は、2018年6月末時点で「かつや」が416店(国内374店、海外42店)、また「からやま」が49店(国内43店、海外6店)、「縁」が23店、その他に37店あり、合計525店あります。

アークランドサービスの利益水準はどの程度か

2018年7月27日に2018年12月期Q2決算を発表しています。Q2累計決算では、売上高は対前年同期比+16%増、営業利益は同+6%増となるなど、増収増益です。売上高の伸びに対して営業利益の伸びが低いのが物足りない株式投資家もいそうですが、成長を続けています。

Q2決算発表時点でのアークランドサービスの2018年12月期通期の連結業績予想は売上高が300億円、営業利益が41.7億円としています。

両社の株式市場での評価はどうか

吉野家ホールディングスとは決算期は異なりますが、先ほど見てきたように吉野家ホールディングスの2019年2月期の売上高予想が2110億円、営業利益が41億円です。

一方、アークランドサービスが今期の業績予想の数値を達成できるとすると、アークランドサービスの営業利益予想が41.7億円ですから、アークランドサービスの営業力規模が吉野家ホールディングスを上回るということになります。

さて、時価総額もみてみましょう。2018年8月10日の吉野家ホールディングスの時価総額は1255億円、またアークランドサービスの時価総額が692億円ですから、吉野家ホールディングスの時価総額は依然としてアークランドサービスよりも大きくなっています。

時価総額は現在の利益水準やその成長可能性、また資産内容などを反映します。したがって、利益規模が同水準だからといって必ずしも同じとは限りませんが、現時点では吉野家ホールディングスの時価総額がアークランドサービスを上回っています。

「かつや」はいかに店舗を拡大していくのか

ここまで見てきたように店舗数に関しては「吉野家」が1200店、「かつや」国内で400店弱の水準であるため、店舗数でいえば依然として「吉野家」の方が多いといえます。

「かつや」の店舗数が1000店を超え、現在の「吉野家」の店舗数に近づけるかどうかは今後の出店ペースがカギとなるといえるでしょう。

2018年7月27日にアークランドサービスは国内の国内外の店舗拡大を促進させるために「第三者割当により発行される第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集」を発表しています。資金調達も含めて引き続き積極的に出店を続けています。

「かつや」のFC店としては異業種ともいえる紳士服専門店「コナカ」のグループ会社のコナカエンタープライズ社も参加しています。コナカエンタープライズ社による「かつや」のFC営業店でいえば、宮城県や神奈川県、千葉県などでFC店を展開しています。

直営店かFC店か

外食チェーン店の展開においては、直営店主体かFC店主体かは様々な議論があるポイントかと思いますが、全店舗におけるFC店比率が高い展開をすることで収益率は高くなります。

もっともFC店を展開していくには商品だけではなく、サービスの品質などをどのように提供していくかなどの難しさもありますが、FC店はブランド運営会社からすれば外部資金をもとに店舗展開ができます。

このように、外食チェーン店は直営店とFC店をいかにマネジメントできるかがカギであり、外部のリソースをうまく活用することで成長を加速させることができます。引き続き両社の店舗展開から目が離せません。

青山 諭志

参考記事

慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット動向、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄や投資といった個人の資産運用動向を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。