いきなり!ステーキ運営会社による「超」積極出店の秘密とは

Vectorgoods studio/Shutterstock.com

最近は「いきなり!ステーキ」の店舗数も増えてきており、一度くらいは同店舗で食事をされた方も多いのではないでしょうか。同店はステーキをしっかりと食べたい利用者には評判の良いステーキ専門のチェーン店。今回は「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスの業績動向を最新の決算短信決算説明会資料をもとに見ていきましょう。

2018年12月期は大幅増収増益の計画

2018年7月30日に「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスが発表した2018年12月期Q2累計(1-6月期)決算を発表しました。売上高は対前年同期比+82%増、営業利益は同+24%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は+5%増という着地でした。

続きを読む

この成長率からすると、非常に高い売上高成長率に驚くとともに、利益の伸び率が売上高の成長率より低いことが気になるのではないでしょうか。

もっとも、会社の通期の連結業績予想は非常に大きな成長率を見込んでいます。2018年12月期通期の売上高は629億円と対前年度比+74%増、営業利益は40億円で同+76%増、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円で同+89%増を見込んでいます。会社の通期の利益計画の利益成長率と比較すると会社側はQ2累計よりももっと高い目標を持っているということが分かります。

驚きのいきなり!ステーキの店舗展開

急激に業績を拡大するペッパーフードサービスの「いきなり!ステーキ」の店舗数はどのくらいあるのでしょうか。2016年12月末には115店舗(フランチャイズ店27店、直営店76店、委託店12店)、2017年12月末には188店舗(フランチャイズ店47店、直営店110店、委託店29店、子会社2店舗)と大きく店舗数を拡大してきました。

こうして急激に拡大してきた「いきなり!ステーキ」ですが、2018年の出店計画はさらに強気です。直営店で80店舗、またFC加盟店で120店舗と合計200店舗の出店を計画しています。

先ほど見たように、2017年12月末に188店舗ですから、2018年の1年でこれまでの店舗数と同程度の店舗数を拡大する計画というわけです。これには株式市場関係者も驚きを隠せませんでした。

ただし、Q2累計決算内容では、新規出店数が98店舗!(うち海外が5店舗!)という実績で店舗数が284店舗という開示がされています。先ほど見たように年間の出店計画が200店舗ですので、6か月間でその半分近くを出店したことになります。その実行力としては十分に評価されてもよいでしょう

今後の注目点は成長マネジメントに

Q2累計決算である上期は「いきなり!ステーキ」の店舗の出店は計画の約半分を出店することができ、また売上高も営業利益も当初会社計画以上の着地をしています。

先ほどQ2累計決算において利益の伸び率が売上高の伸び率よりも低いとみてきましたが、会社による計画ではもともと下期偏重の利益計画です。したがって、ペッパーフードサービスの今期の業績を見る上では、下期を見極めなければ当初計画が積極的すぎたのか、適切であったのかは言い切ることはできません。

ただし、1年でこれまでの自分の規模の店舗数をマネジメントするというのは誰しもが体験できるものではないでしょう。同社のマネジメントが問われる1年になりそうです。

大量出店を支えるキャッシュ・フローを確認しておきたい

最後に、大量出店の経過を見るにあたって、キャッシュフローを確認していきましょう。Q2累計決算では6か月分ですが、ここまでの進捗を確認しておく上で見ておいてもよいでしょう。

当Q2累計の営業活動によるキャッシュ・フローは36.7億円。また、有形固定資産の取得による支出などを含む投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス37億円。概ね営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローがバランスしていいるといってもよいでしょう。

それ以外に財務活動によるキャッシュ・フローでは長期借入による収入が25億円。一部長期借入金を返済しているが、追加の資金調達は借入でまかなっていることになります。

このように営業活動によるキャッシュフローと追加の資金調達で同社の新規出店は拡大しつつあります。きわめてシンプルですが、小売店が大量出店するにあたっては王道ともいえる方法ではないでしょうか。小売り企業が大量出店というといきなり増資に動く企業もありますが、同社はQ2累計決算時点では借入を軸に展開をしてます。今後の更なる店舗展開に期待をしたいです。ステーキ好きには目が離せません。

青山 諭志

参考記事

慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット動向、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄や投資といった個人の資産運用動向を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。