ソニーは業績好調だが、次なる成長のための論点とは

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2018年7月31日にソニーが2019年3月期Q1(4-6月期)決算を発表した。対前年同期比は増収増益となり、業績は好調だ。今回はソニーの決算短信やその他の決算説明会資料を振り返りながら同社の次なる成長の可能性を考えたい。

2019年3月期Q1の実績はどうであったか

2019年3月期Q1決算は、売上高及び営業収入は対前年同期比5%増、営業利益は同+24%増、同社株主に帰属する四半期純利益は同+180%増と、増収また大幅増益の決算となった。

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また、同社のセグメント別にも見て行こう。まず同社のセグメントを確認しておこう。ソニーはコングロマリットともいわれるゆえんであるが、複数のまた多岐の分野にまたがるセグメントからなる。

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)
  • 音楽
  • 映画
  • ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)
  • イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)
  • モバイル・コミュニケーション(MC)
  • 半導体
  • 金融
  • その他

と「その他」を除くと、ソニーには実に8つのセグメントもある。

当Q1で最も営業利益が伸びたのが、「G&NS」といわれるゲーム事業である。売上もさることながら営業利益は対前年同期比で+657億円も増加した。セグメントによる収益の変化を一言でいえばゲーム事業を中心とした「G&NS」が好調であった決算といえる。

2019年3月期通期もゲーム事業が収益の柱

ここまでQ1事績についてみてきたが、今回セグメント別の業績見通しが改めて修正されているので、そちらも同社の決算説明会資料で簡単に振り返っておこう。

通期のセグメント別動向を一言でいえば、今年度は「G&NS」が収益の柱であることに変わりはない。会社による連結の営業利益予想が6700億円であるなか、G&NSが2500億円を占める。G&NSに次いで営業利益が大きいのが金融事業であるが、G&NSは金融事業の営業利益予想の1700億円を大きく超えるまでになってきた。

今後の資本市場におけるソニーの注目点は何か

ここまで見てきたように業績が回復してきたソニーだが、株式市場では次にどのような点が注目されていくのだろうか。

筆者が日経BizGateに寄稿した「株価が示すソニーの復活は本物か?」 でも見たようにキャッシュフロー(CF)の改善をベースにして、どのビジネスに投資をしていくかということである。

現時点で見れば、収益性も高く成長している「G&NS」にさらに投資をという声もあるかもしれないが、設備投資の必要な事業はG&NSばかりではなく、「半導体」事業等もある。

一方で、先ほどもコメントしたように同社の事業セグメントは多岐に渡り、同社の源流ともいえるHE&SやMCのように民生品としてのハードウェアを扱っているセグメントもある。MCは今年度も営業損失の会社予想となっているが、ソニーが今後もハードウェアをどの領域で、またどの程度まで取り扱っていくかという議論は常にあるであろう。

つまり、CFが改善したからといって既存の事業に投資をするばかりではなく、事業ポートフォリオの見直しとともにその整理に活用する選択肢もある。もっとも売却資産に価値があればキャッシュアウトばかりというのでもないであろう。

株式市場はリターンの高い事業に投資をするのであれば歓迎をするであろう。ただし、既存事業に目ぼしい投資先がなかったり、M&A対象がないのであれば、ROEをさらに高めるべく、配当や自社株式の買い入れなども要求するのが常である。業績が好調の今、ソニーのグランドデザインが必要な局面といえる。

泉田 良輔

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泉田 良輔

2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(ナビプラ)を共同創業。ナビプラでは個人投資家のための金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。大学卒業後、日本生命・国際投資部では外国株式運用のファンドマネジャー、その後フィデリティ投信・調査部や運用部にてテクノロジーセクターの証券アナリストや小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー。慶応義塾大学商学部及び同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。著書に『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』、『銀行はこれからどうなるのか』、『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』、『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』。ネットメディアにおいては「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」「東洋経済オンライン」「プレジデント」などへの寄稿も行う。東京工業大学大学院非常勤講師。産業技術大学院大学講師。