今回小国ながら、決勝までのぼりつめたクロアチアの健闘に胸を打たれた方は多いのではないでしょうか。クロアチアのサッカー人口は、36万2,514人。日本の418万,5150人の10分の1以下です(『親子で学ぶサッカー世界図鑑』より)。

そのクロアチアを含む旧ユーゴは、「6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの連邦国家」と表現されていました。

ノンフィクションライターの木村元彦さんは、約20年前に出版された『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』(集英社文庫)の中で「サッカーは、『文化』というよりも民族問題と密接に絡んだ業のようなもの」と述べています。

MVPを受賞したルカ・モドリッチ選手は、幼い頃に紛争を経験した世代。鬼気迫るような闘い方には、クロアチア国旗の重みがそれぞれの選手の肩に食い込むような複雑な一面があるのかもしれません。

一方、「多様性」に乏しい日本においては、幼少期から「国を背負う」ことを意識する機会や、全く異なるサッカースタイルの敵と闘う経験値が磨かれる機会はあまりありません。ただ、今回の大会を通じて「世界の壁」は、高くそびえたっているわけではなく、「向こう側」がある程度見渡せる状態だと実感された方は多いのではないでしょうか。

「日本人は敗者に甘い」と辛口サッカー評論家はベルギー戦の後に述べていましたが、その「敗者への心遣い」によって、たくさんの少年・少女がサッカー選手に憧れを抱いたという面もあるはずです。

いずれにせよ、「世界の壁」を足元から少しずつ崩していくためには、子どもたちのサッカー環境の整備は必要不可欠と言えるのではないでしょうか。

7月の某日、少年サッカーの大会現場では、35度を超える炎天下の中「寄せろー」「違うだろぉ」といった指導者の怒号が飛び交っていました。

【参考】

北川 和子