なぜアナゴはウナギの代わりにならないのか、その違いは?

「土用の丑の日」の夏バテ予防にアナゴは向かない

そして、最大の違いは、その栄養分と味です。ウナギはアナゴの約2倍の脂質を有しているため、ウナギの方が高カロリーで“こってり”とした味がします。一方、アナゴは低カロリーで“さっぱり”とした味です。

また、栄養分では、ウナギはアナゴの約5倍にも上るレチノール(ビタミンA)を含み、ビタミンB1、B2、D、E、カルシウムなどもウナギの方が断然多いことが分かっています。さらに、近年話題になっているEPA(血液中のコレステロール減少に効果があるとされる)やDHA(脳の活性化に有効と言われる)も、ウナギのほうが多いことが判明しています。

残念ながら、と言っていいのかわかりませんが、栄養分ではウナギに軍配が上がります。「土用の丑の日」の夏バテ予防効果という観点では、少なくとも、アナゴよりウナギを食べる価値のほうが十分大きいことは間違いないようです。

アナゴの漁獲減少のニュースをあまり聞かないが…

さて、近年はウナギ(注:正確には「ニホンウナギ」)の稚魚が激減したため、ウナギの流通量も大幅減少となり、その結果として価格高騰となっているのはご存じの通りです。しかし、アナゴに関しては、同じような品不足や価格高騰のニュースをあまり聞かない気がします。

現在、アナゴの漁獲量はどうなっているのでしょうか。

アナゴの漁獲量は直近22年間で4分の1に

結論から言うと、アナゴの漁獲量も激減しています。1995年に約1万3千トンあった漁獲量は、2017年には約3千400トン(速報値、前年比▲200トン)へ減少しました。22年間で約▲74%減ですが、この減少ペースは、全体の漁獲量の減少度合(同▲46%減)と比べても大きなものとなっています。

一方で、韓国産や中国産のアナゴの輸入量は増えている模様であり、駅弁、回転寿司、天ぷらで使われるアナゴは、その相当量が輸入品と考えられます。

ウナギとアナゴの市場規模の違いは?

こうした状況にもかかわらず、ウナギに比べてアナゴの品薄に関するニュースが少ないのは、市場規模と嗜好の差なのでしょうか。ちなみに、輸入品(注:加工品を含む)を含めた年間のウナギ生産量(=ほぼ消費量に近い)は2017年実績で約5万3,300トンあります。この数字は、10年前(2007年実績)の約半分の規模です。

一方、養殖がほとんど実施されていないアナゴを同じベースに換算することは難しいですが、前述の漁獲量3千400トンに輸入品を含めても、せいぜい7千~8千トンといったところでしょう(筆者推計)。市場規模としてはウナギの約7分の1~8分の1になります。

これだけ市場規模が小さければ、品薄のニュースが少ないのも仕方ないことかもしれません。

やはり、日本人には“ウナギ神話”が根強く残っていると言うのは言い過ぎでしょうか。今一度、アナゴの美味しさも実感したいところです。

LIMO編集部

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LIMO編集部

LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に構成されています。国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。