日本を代表する名門私立大学の慶應義塾大学。そのOB・OG会は「三田会」とよばれ、産業界で大きなネットワークを持ちます。さて、その慶應義塾大学ですが2018年に卒業した卒業生はどのような会社や団体に就職したのでしょうか。大学資料を参考にしながら見ていきましょう。

慶應義塾大学の2017年度(2018年4月末現在)の上位就職先

慶応義塾には学部及び大学院があり、それぞれの就職先がありますが、ここでは学部に絞ってみていきます。早速ですが、2018年4月30日時点での3名以上が進んだ上位20社は以下の様となります。

1.みずほ銀行:90名
2.慶應義塾:88名
2.三菱UFJ銀行(旧三菱東京UFJ銀行):88名
4.東京海上日動火災保険:75名
5.三井住友銀行:62名
6.アクセンチュア:52名
7.野村證券:49名
8.三井住友海上火災保険:45名
9.三井物産:45名
10.三井住友信託銀行:44名
11.東京都:38名
12.三菱商事:36名
13.キーエンス:35名
14.アビームコンサルティング:33名
15.デロイトトーマツコンサルティング合同会社:32名
15.全日本空輸:32名
15.損害保険ジャパン日本興亜:32名
18.三菱UFJ信託銀行:31名
18.電通:31名
20.伊藤忠商事:30名
20.日本航空:30名
20.明治安田生命保険相互会社:30名

上位20社をざっとカテゴリー別にすると以下の通りです。

  • 金融機関(銀行・証券・保険)
  • コンサルティング会社
  • 総合商社
  • 航空会社

金融機関、コンサルティング会社、総合商社はいずれも高年収で知られる就職先です。以前から慶應義塾大学の卒業生が金融機関や総合商社に多いということはよく知られますが、今回はこれまでの業種に上位にコンサルティング企業もさらに加わってきた格好です。

意外な企業がランクインした2018年春卒業生の就職先

2016年度(2017年4月末)の上位20社にはなく、今回新たにランクインしたのは製造業であるキーエンス。

東京証券取引所でも電気機器産業部分類されています。時価総額は7.6兆円もあり、ソニーの7.2兆円をも上回る企業です。製造業としてランクインしたキーエンスですが、ビジネスモデルが一般的な製造業とは異なる点が特徴的です。また、同社の平均年齢は30歳代で年収が2000万円を超え、若くして高年収を手にできる企業として知られます。

こうしてみると新たにランクインしたキーエンスに限らず、金融機関、総合商社、コンサルティング会社と慶應義塾大学の卒業生は年収の高い企業を志向する傾向があるように見えます。

理工学研究科(大学院)を卒業するとどこに就職するか

理工学研究科の就職先の上位20社も見ておきましょう。

1.キヤノン:26名
2.ソニー:15名
2.富士通:15名
4.NTTデータ:14名
5.野村総合研究所:13名
6.トヨタ自動車:11名
7.NHK:10名
7.本田技研工業:10名
9.NTTドコモ:9名
10.アクセンチュア:8名
11.日産自動車:8名
12.パナソニック:7名
12.新日鉄住金ソリューションズ:7名
12.新日鐵住金:7名
12.日立製作所:7名
16.ソフトバンク:6名
16.三菱電機:6名
16.東レ:6名
16.日本電気:6名
20.NTTコミュニケーションズ:5名
20.旭化成:5名
20.三菱重工業:5名
20.住友化学:5名
20.電通:5名
20.日揮:5名
20.日本IBM:5名
20.味の素:5名

こうしてみると、製造業、ICT企業が多く、学部全体の傾向とは様相が異なることが分かります。また、一口に製造業といっても、精密機器、電気機器、自動車、製鉄、機械、化学などにも別れ、業種も分散されています。

テクノロジーの進化で気になる慶應義塾大学の文系の就職先

これまで見てきたように文系は「現在」の従業員の年収が高い産業が多いのですが、フィンテックによって銀行にこれまでのような作業が人の手に残るのかも不確定ですし、保険においてもインシュアテックなる言葉も生まれています。

テクノロジーで仕事の在り方も大きく変わりつつある中で、大学としても卒業生の進路先の分散を意識して進路指導なども考えなければならない時代に入ってきたといえるのではないでしょうか。

青山 諭志