たとえば、仕事はきちんと行いつつ、気になることがあれば気軽に相談できたり、会議で一人ひとりの発言が多かったり、休憩時間には和やかに雑談をするといった状態。つまり、メリハリを持って、適度に「ワイワイガヤガヤ」している雰囲気の職場が理想的だといえます。

 実際にそんな職場を訪れたこともありますが、「適度にワイガヤ」な職場は、多くの社員が生き生きとしていて、人事部の方や管理職の方も自然体で明るい人が多い印象がありました。

「交流の場」を設けただけでは意味がない

 最近ではそうした「雰囲気づくり」の重要性を感じている企業も多く、社員同士が交流できるような交流会や休憩所・サロンのような場所を会社側で設けるようなところもあります。

 しかし、「実際にやってみたらあまりうまくいかなかった」「盛り上がらずに数回で終わってしまった」という声もよく聞きます。

 それも仕方のないことで、いきなり社員を集めて「さあ、みなさんで会話をしてください」と言っても、その場の会話が盛り上がるとは限りませんよね。交流の場を設けるのはいいのですが、ただ場所を用意しただけでは、あまり意味がありません。

自然な交流を広げるには、まず「自己開示」する

 そこで、交流の場をつくるときには、誰もが話しやすい空気をつくっていただきたいと思います。特に効果的なのは、主催者や交流を広げようとする側が、まず「自己開示」することです。

 私は企業の講演会に呼ばれた際、参加者同士のグループワークを行うことが多くあります。しかし、「まずお近くの方同士で自己紹介しながら、意見や感想を交換しましょう」と言っても、なかなか誰も話そうとはしない、あるいは話し出してもぎこちなく、一言二言で会話が終わってしまうようなことが多々あります。

 そこで私は、こんな場面では、ある「工夫」をするようにしています。

 それは「まず自分の実体験をお話しする」ようにすることです。その講演会のテーマがストレス・マネジメントについてであれば、「私はストレスの専門家と言われているんですが、私も上司と部下の板挟みのストレスで円形脱毛症になっちゃって、悩んだ時期もありますよ。それはちょうど厄年の42歳のときで……」などと、思い切って自己開示してしまいます。

1人の自己開示から会話しやすい空気が生まれる

 すると、はじめは「講演会なんて、この忙しいときに面倒だな」という顔をしていた社員の方たちが、興味を持ったように少しずつ表情が変わってくるのです。

 その上でグループをつくってもらって、「1人3分ずつ、自己紹介と、自分のストレス体験を話してください」と言ってスタートすると、次のようなことが起こります。